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サクラ

春休み。サエキは近くの神社にお参りに来ていた。

そうでなくても悩みごとがあると、ここにきては自問自答して時間を過ごしていた。

サエキ「仏教高校に通ってるから、行くなら寺院だろうか?」

しかし、サエキは妙に赤い鳥居と狛狐に惹かれていた。

何故か、ときめきのようなものを感じる、サエキは自分でもよくわからず、少し、とまどっていた。

サエキ『レギュラーに返り咲けますよーに!』

賽銭を入れ、鈴を鳴らし、二拝二拍手一拝。

サエキは一心に祈願した。

帰ろうとして、振り返るとお守りなんかが売ってある授与所にフシミが居た。

フシミもサエキに気がつく。サエキはフシミに歩み寄った。

サエキ「フシミ先生も何か願い事ですか?」

フシミ「うぅん。私は御朱印もらいに来たの。みて?一冊終わりそうなの!」

フシミは分厚い御朱印帳を嬉しそうに見せてくる。

サエキ「すごい、九州のがある!」

フシミ「休みに旅行がてら神社で御朱印巡り。」

サエキ「でも、教師やりながらは大変そうだ。」

フシミ「老後にやってたら、逆に足腰悪くしそうだから、今のうちに、ね。その分、彼氏に縁が無いの。」

フシミは自虐的に笑った。サエキはその美貌でもったいないことだ。と思った。

フシミ「ところで、サエキ君は何願ってたの?」

サエキ「あぁ、サッカー部でレギュラーに戻れますようにって。」

ふーん。そう言ってフシミは御守りをかった。

ソレをサエキに渡す。

サエキ「先生。これ、学業成就のやつですよ!」

フシミ「この前のサラダのお礼。おとなしく受け取っときなさい。少年。」

2人は花びらに気が付きそちらに目を向けると、神社のサクラは満開だった。


学校は休みと言っても、バイトはある。

春休みの行楽日和ということもあり、お酒やホットスナックが飛ぶように売れた。

嵐のような昼前のレジ打ちが一段落してワカマツがサエキに声をかけた。

ワカマツ「サエキ。品出し手伝うよ。」

サエキ「わりぃな。」

ヌキナは駆け出しアイドルのほうで忙しいとかで、ほとんどバイトにはこなくなった。まぁ、居てもスマホばかりいじっててサエキが2人分働いてた感じだったが。

サエキ「誰か、バイトに来てくれないかなぁ」

ワカマツ「募集は掛けてるみたいだぜ?オーナー。」

この日は出る商品が多く、その分、入れる商品も多く、品出しは1人じゃ無理なことは一目瞭然だった。

ワカマツ「シッダー博士に頼んでみるか。」(ブツブツ)

ワカマツが何か独り言を言っているが、サエキにはよく聞こえなかった。

その日は、フルタイムで働くこことなったサエキ。

オーナー「夕方も客入りが多そうだから頼むよ!」

人手が足りない。人のいいサエキは二つ返事で残業を了承したが、ワカマツはさっさと帰っていった。

サエキ『アイツは、バンドとかやってるしなぁ。』

慣れないレジ打ちの対応をしながらサエキは思った。

自分はこのままでいいんだろうか?と。

悩みには答えが出ないまま時間だけが過ぎた。

サエキ「次のお客様どーぞー。」

背の曲がった老人「マルボーロも。」

チューハイ380ml缶と惣菜パン。

サエキ『マールボロ(たばこ)のことかな?』

サエキ「1番ミリ数の低いのでいいですか?」

頷く老人。

サエキはすぐに対応した。

ソレを見た老人が言う。

老人「この頃は番号でしか言わんから通じんと思ったワイ。気が利くの、小僧。」

サエキは愛想笑いした。その年なんだから禁煙を勧めようかと思ったがやめておいた。人生の感じ方は人それぞれだろうから。

ゴゴゴゴ……

サエキ『時間停止力場?!』

ピキッ

店の外に、ハカイソー達が見えた。

ハカイソー「ギギ!見つけました!ヤツです!」

サエキは店を飛び出し、合掌した。

サエキ「赤き海、クウカイレッド!」

見るとハカイソー達の中に亀の怪人がいた。

亀の怪人「ワシの名はワールドメイト老師。クウカイレッド。お前に話がある。我々の仲間になれ。」

サエキ「何ぃ!」

ワールドメイト老師「お前の願い、それはソッカーの妨害ではないだろう?」

サエキ「うっ、それはそうだが、シッダー博士に頼まれて……」

ワールドメイト老師「ワシも頼む、な?我らの仲間となってくれ。」

サエキはハッとしたソッカーが時間停止状態の世界でやってきた事を思い出した。

サエキ「お前たちは悪い奴らだ。目的のためなら手段を選ばない!俺は、俺は悪には染まらない!」

ワールドメイト老師「そうか、残念だワイ。アック、お前の出番よ。」

ハカイソー達の間からシマシマの怪人が出てくる。

シマシマの怪人と目が合うとサエキは苦しみだした。

亀の怪人が高らかに笑う。


サエキ「ここは?」

真っ白な空間。そこに一人立つ。

サエキ「俺は、ソッカーと闘って……」

そこに兄が出てきた。若い、まだ、10代の時の兄が親からおもちゃを買ってもらっている。父がこちらを見て言う。

父「お前は、テストで赤点だっただろ?また今度さ。」

俺は。

次は兄が大学2年で大手企業の内定をもらった時のだ。

父「すごいな!今日はお祝いだ!リョウタ!コレでツマミを買ってきてくれ!」

……わかったよ、父さん。

そして

シッダー「ソッカーを倒してくれ。」

亀の怪人「仲間になれ。」

俺は……

正直、時間停止で女性を好きにできて羨ましいと思ったんだろ?

心の中の誰かが言う。

違う。俺はそんな卑怯なことしない。

フシミ「サエキ君。」サエキの目の前を桜が舞う。


サエキは我に返った。

アック「バカな?!催眠が破られた?!」

ワールドメイト老師「くそう!もう少しでマインドコントロールが上手くいったものを!」

そこへシンランブルーとニチレンピンクが駆けつけてきた。

ワカマツ「すまん、サエキ!」

ヌキナ「待たせたわね!」

サエキ「よし!ミョーオーキャノンだ!」

3人は、大きなキャノンを持ち砲口をソッカーに向けた。

ナンマイダー「「「ミョーオーキャノン!発射!」」」

爆散。

しかし、ワールドメイト老師はアックが庇って無傷だった。

アック「ワールドメイト老師。お逃げを……」

ワールドメイト老師「お前にはまだ働いてもらうぞアック。」

ビビビ……

ワールドメイト老師が放った光で怪人が巨大化した。

それを見たワカマツが叫ぶ。

ワカマツ「俺達も仏具合体だ!」

サエキとヌキナは頷いた。

サエキ「シンゴーン!」

ワカマツ「ジョードー!」

ヌキナ「サン=ロータス!」

3人は光になって巨大ロボットに乗り込んだ。

ナンマイダー「「「仏具合体!」」」

巨大ロボットが合体してカラクリミョーオー、フドーソンが大地に立った。

巨大化したアックは目からビームを発射する。

パァン!

フドーソンの装甲に火花が弾ける。

ワカマツ「くそ!」

サエキ「コーミョービーム!」

ヌキナ「うん!」

フドーソンの胸の印から極太のビームが発射される。

ドカーン!アックはモロにそれを食らい、ひるんだ。

サエキ「今だ!!」

ナンマイダー「「「クリカラソード!」」」

ワールドメイト老師「くそぉ!」

ナンマイダー「「「必殺!降三世明王斬り!!!」」」

光る剣が怪人を一刀に両断する。

アック「ぐわぁぁぁ!」

爆散。

グワァァン。鐘を打つ音とともに。世界がもとに戻った。

3人は、地面に降り立った。

サエキ「悪は滅びる!俺は悪に染まらない!」

ワカマツ「何いってんだ?お前。」

ヌキナ「いけない!台所で油ものしてたんだ!」

え?アイドルは?

ヌキナの晩御飯のコロッケはコゲていた……


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