ニーズホッグ
修学旅行に行った生徒が全員、忽然といなくなった。
ヌキナ「きっと、ソッカーの仕業よ!」
時間になっても、宿泊施設にバスがつかない。その日、夜まで待ったが誰一人として見つからない。学校側も宿泊施設側も大慌てで警察に連絡して、今に至る。
フシミ「今日は、一日中、自習になります。悪いわね皆。受験勉強でもしててね。」
騒然となる朝礼、フシミは事情聴取があるからと部屋を出ていった。
ワカマツ「こんな大事になる事件を起こすなんて……」
サエキ「方針転換?オウムマンならやりそうだ。」
アイツがソッカーを動かすようになってから、サエキは撃たれ、シッダー博士はマカった。今度の事件も起こしそうではある。
一体何の目的で?ヌキナはピンときた。
ヌキナ「信者?ハカイソーを増やすつもりなのかな?」
ワカマツ「女の勘かぁ。よく当たるんだよなぁ。」
ヌキナはドヤって見せた。ワカマツはすでに尻に敷かれているようだった。
サエキ「でも捜査かぁ。」
サエキは腕を組んで唸った。自分たちではどこをどうやって探すのか見当もつかない。
ワカマツ「グループでよく使ってる探偵に頼むにも限界があるし……」サエキの机に腰掛けて腕を組んでワカマツもウンウン唸っている。しかし、空いたサエキの前の席に座っているヌキナは悩んだって仕方がない。と、2人を励ました。
ヌキナ「今は、やれることをやるしかないよ。」
ワカマツ「そうだな。俺は席に戻って、受験勉強でもしとくよ。」ワカマツは苦笑しながら、自分の席に戻っていった。
ヌキナ「あ、待ってよ。」ヌキナもワカマツと共に戻っていった。サエキも、もう何回も繰り返し開いていた赤本を机から取り出した。
警視庁も対策本部を立ち上げて全国の警察を総動員して捜査に乗り出した。
対策本部の置かれた広い部屋を警部クラスが埋め尽くしていた。
警視監『こんな大事件を起こすなんてな、与党の洗脳議員どもも、ことごとく雲隠れしたぞ。ソッカーを潰すチャンスだ!』
対策本部長「総員、以前から掴んでいたソッカーのアジトから当たれ、それが済んだら廃屋になった宿泊施設だ。あんな大勢を隠すとなると大きな建物が必要だろう!」
警部達は一斉に席を立ち、部屋を後にするものや、その場でまず部下に連絡を入れていた。
対策本部長「警視監、うれしそうですね?」
警視監「当たり前だ、今まで散々、奴らに好き勝手やられてたんだ。ここらで、しっぺ返ししてやらんと。」
お面の陰陽師A「宮内庁の奴ら動きますかね?」
陰陽S「そうでなければ困る。」
道教施設でもお面をした陰陽師たちが忙しなく右往左往していた。それをエンノもバンコもそろってニマニマしながら見ていた。二人の前で陰陽Sが陣頭指揮を執っている。
お面の陰陽師が日本地図の前で印を結んでいた。しかし、その陰陽師が陰陽Sに向き直って首を横に振る。
陰陽S「うーん、結界が多すぎるか……。やはり、めぼしいところに足を運ばねばなるまい。」
そこへお面の陰陽師が慌てて入ってきた。
お面の陰陽師B「宮内庁の陰陽座から、コンタクトがありました!」
陰陽Sの隣にいたエンノが笑う。
エンノ「あやつら、泣きついてきよったか。」
陰陽S「まぁ、我々も数が足りませんでしたし。」
バンコ「これを機に天皇家に食い込むのも悪くない。陰陽Sうまくやれよ。」
陰陽S「では、行ってまいります。」
陰陽Sは後ろに座っていたバンコに一礼すると何人かの、お面の陰陽師を引き連れて空間に吸い込まれるように消えた。
その夜、サエキは夢を見た。見たこともない階段を下る。
どこかの地下のバー、そこに初老のバーテンダーと赤い和服を着た美しい鬼女がカウンターで談笑して、サエキが来るのを待っていた。
後鬼「おや?前鬼、もう来たよ。」
前鬼「早かったなサエキ。」
後鬼「未成年だから、ミルクでも出してやんなよ。」
後鬼は今飲んでる酒がなくなると、グラスの日本酒のロックを頼んだ。
前鬼「奴らのアジトがわかったそうだ。」
サエキ「もう掴んだの?」
後鬼「皆この時を待ってたのさ。」
サエキが皆?と疑問になった。無理もない。大人たちはほとんど知らないだろうと思っていたからだ。
後鬼「ウチらや宮内庁の陰陽座の連中。」
前鬼「それに警察もだ。」
サエキ「皆、知ってたのか?!」
後鬼「そりゃね、日本を乗っ取ろうとしてるカルトがいる。その筋では有名さ。」
前鬼「もちろん、ナンマイダーもな。」
後鬼は出された、グラスに口をつけた。
後鬼「ちょっと!アンタ!これ、甘いんだけど!」
前鬼「あ、間違えた。日本酒はあんまり注文ないからさ。」
サエキはそれを見て笑った。
前鬼はグラスのミルクをサエキに出した。
前鬼「これが最後だといいな。」
サエキ「ありがとう、皆。行ってくるよ。」
サエキはミルクを一気飲みするソッカーのアジトの場所が頭に浮かんできた。ごちそうさまと言ってサエキは店を出ていった。
後ろで何かを柔らかいものを叩く音がした。
ヌキナ「うっわ!ホントにあった!」
ワカマツ「前に、ソッカーのアジトを夢で教えられたって言ってたのは本当だったのか。」
サエキ「言ったとおりだろ?」
サエキにアジトが分かったと早朝に連絡をもらい、学校に休むと連絡をして、とある山林を目指していた一行の眼前には忽然と廃校が現れた。
ワカマツ「コンクリート製だ。まだ新しいのか?」
ヌキナ「周りは整備したのかしら?草が刈ってある。」
何年か前に廃校になったのだろうか?ふもとに続く道は背の高い草で覆われて見えなくなっていた。一応虫刺され対策に長ズボンで来たヌキナはしゃがみながらお尻をかいていた。
登山のフル装備できたワカマツが黙って虫刺され軟膏を渡す。
ヌキナ「ありがと!シンペイ!」
ワカマツ「お、おう。」
名前で呼ばれた、ワカマツが恥ずかしそうにしている。
ワカマツ「ところで、イナリホワイト、フシミ先生は?」
サエキ「俺たちとは別行動だ。後で合流するんじゃないか?」
ヌキナ「フォックスだった時と変わらないのね、そこは。」
サエキは頷いた。
サエキ「行こう。」
ニーズホッグ「お集まりの皆さん。私の名はニーズホッグ!あなた方はソッカーに選ばれました!スキーはキャンセルです!」
廃校の体育館に集められていた仏教高校の2年の学生たちは何やら全員ボーっとした顔をして、壇上の蛇の頭をした怪人の話を聞いていた。
サエキ「待て!」
勢いよく開いた扉からナンマイダー達3人が入ってくる。
ヌキナ「そんなことさせないんだから!」
ワカマツ「ソッカーの企みもここまでだ!」
ニーズホッグは狼狽した。ナンマイダーに嗅ぎつけられるのがあまりにも早すぎる。
ニーズホッグ「計画と違う!オウムマンはもっと長いって!?」
ワカマツ「日本を舐めてたな!ソッカー!」
ワカマツの隣でサエキが手印を組む。
サエキ「臨兵闘者皆陣烈在前!四天王!」
ズヒュン!
持国天、増長天、広目天、多聞天が一斉にサエキの体から外に飛び出した。サエキは刀印を顔の前に掲げたまま四天王に言った。
サエキ「四天王に命令する!生徒たちを外へ誘導せよ!」
広目天「おう!」
広目天の術で起こしたそよ風が生徒たちをなでると、全員顔がシャキッとして壇上の怪人に驚いた。
ニーズホッグ「くっそぉ!逃がすか!!」
ニーズホッグが生徒たちを追いかけようにもナンマイダーたちが立ちふさがる。
持国天「皆!コッチだ!」
増長天が体育館後ろの扉を開け。持国天が誘導する。
ハカイソーは思った通り一人も出てこない。
増長天「押すなよ!落ち着いてグラウンドまで行け!」
外には多聞天が誘導していた。
ニーズホッグ「おのれ!ナンマイダー!これで勝ったと思うなよ!」
サエキ「四天王に命令する!皆を守れ!」
持国天「任された!」
広目天「そいつの弱点は……」
広目天が立ち止まってるのを増長天が広目天の肩を持って外へ連れ出した。
増長天「ソレはいいから、お前も行くぞ!」
広目天「ソイツのヘビに気を付けるんだ!ナンマイダー!」
ソレだけ言うと、広目天の顔は扉の外に引っ込んだ。
誰もいなくなった体育館でナンマイダーはニーズホッグと対峙した。




