カラクリミョージン ダキニーten
シッダー博士「アミダーZの武器?まだ作っとらんよ。」
ワカマツ「そんな!業績回復で資金は潤沢とは言わないまでも、一つくらいできてるでしょ?!」
シッダーはアミダーZの武器については、首を横に振るばかりだ。そもそも作る気がないのか?
進路指導室でワカマツが珍しくシッダー博士相手に声を荒げていた。
ワカマツ『確かにソッカー壊滅まで後少しだが、不便すぎやしないか?』
ヌキナ「飛び道具下さいよ!博士!」
シッダー博士「八柄の剣で光波が出るんだろ?それよりも今ある武器の性能を最大限引き出す方向に私は舵をきった。」
ワカマツ「と言うと?」
シッダーはメガネの曇りが気になったのか拭き始めた。
ヌキナ「せんせぇ……」
シッダー博士「ヌキナさん、私のことは博士と呼び給え。」
シッダーの眼鏡が光る。シッダー博士は言葉を続けた。
シッダー博士「壊れたフドーソン。あれのパーツを流用して新しい巨大ロボを私は完成させた。その名も、“カラクリミョージン ダキニーten”だ!」
シッダー博士は室内を見渡した。
シッダー博士「ところで?サエキ君の姿が見えないな?」
ヌキナ「今頃?!」
ワカマツ「サエキなら今日は病欠ですよ。」
シッダーはふ~んと興味なさげな反応をする。それよりも今後の研究のほうがよほど大事なのだろう。大ごとに取り掛かる前の小ごとを片付けたと行った感じなのか?
シッダー博士「捕縛用巨大ロボ、ダキニーtenは一人乗り用に最適化した。アビオニクス系はボサッツーのスペアパーツを流用してるからバッチリだ。」
ヌキナ「せんせー、それに誰が乗るんですか?」
シッダー博士「そこなんだ、問題は。誰か協力者は居ないかね?」
ヌキナ「えー!?」
ワカマツ「もう、無茶苦茶だよ、この人!」
ガラッ!
???「それ、私がやるわ!」
風邪で発熱、全身の倦怠感を訴えていたサエキは昼までベッドで寝ていた。
ピピッピピッ
サエキ『……38.1度、朝よりかは、だいぶマシだな。』
共働きの家、昼間は誰も居ない静寂が支配していた。布団を剥いで、起き上がる、衣擦れの音だけでもサエキには大きく聞こえた。
サエキ『なんか、腹に入れとくか……』
ピンポーン。
サエキ『誰だ?NHKの集金?』「はーい。」
2階の自分の部屋からフラフラしながらサエキは玄関に向かった。途中、今、無理して対応しなくも、居留守でよくないかとも思ったが。
サエキ『母さんとかの通販のやつかもしれないし、配達員さんに2度来てもらうのも、かわいそうか。』と律儀に対応することにした。
ガチャッ
サエキ「はい?どちらさま?」
そこにはフシミが立っていた。サエキのボーッとしていた脳が瞬間的にシャキッとする。
フシミ「こんにちは、サエキ君。はい、今日、渡す予定のプリント類。」
サエキ「わざわざ、ありがとうフシミ先生。」
フシミ「いいのよ。ところで、ご飯まだでしょ?レトルトだけどおかゆ持ってきたわ。一緒に食べましょう。」
フシミはレジ袋を掲げてサエキに笑いかけた。
サエキは心臓がバクバクし始めた。ここで帰したら、男が廃る。
サエキ『行け、サエキリョータ。』
サエキ「どうぞ、フシミ先生、上がって下さい。」
フシミも少し顔が赤くなっていた。
フシミ「それじゃ、お邪魔します。」『あわわわ、求められてる?私。』
そのつもりで来たくせにいざとなるとフシミは弱かった。
リビングのレンジにおかゆを2つセットする。
サエキは黙ってフシミの手を取った。
フシミ「……」フシミは目を丸くして押し黙っている。
グイ。
サエキ「フシミ先生。俺。」『俺がリードするんだ。頑張れ、俺!』
フシミ「ダメ。こういう時はキョーコって呼ばなきゃ。」『大人なとこみせなきゃ。マグロじゃダメよ私!』
サエキはフシミを抱き寄せると、キスをして、ソファに押し倒した。
夕方、フシミは身支度を済ませるとサエキに向き直った。
フシミ「ねぇ、サエキ君は私がナンマイダーの仲間に加わったらうれしい?」
サエキ「うれしい。」即答。フシミはキョドった。
サエキ『かわいい人だなぁ。』
フシミ「じゃーん!」フシミはホワイトクォーツのブレスレットをバッグから取り出した。
サエキ「それって。」サエキ達と同じブレスレット?
フシミ「シッダー博士にもらったのよ?イナリホワイト。よろしくね?サエキ君!」
サエキはフシミと抱き合った。
サエキ「無理してない?」
フシミ「大丈夫よ、ずっとフォックスでやってきてたんだから。」
帰り際、二人はもう一度熱いキスを交わした。
フシミ「それじゃ、明日にはちゃんと学校に来れるよーにシッカリ治しなさいね?」
サエキ「はい!キョーコ先生!」
フシミ「フフ、こーら。ちゃんと他の人がいる前では苗字で呼ぶのよ?」
ソッカーのアジト、教団の拝殿は閑散としていた。
イケダ尊師の血の跡が残っている玉座に座るオウムマンは天を仰いだ。
オウムマン「我が神、モルゲッソーよ。この試練は私には大きすぎます。」
顔から袋をかぶったような見た目の3体の男性神達。それらがオウムマンを見下ろしていた。
そこへケンドーンが入ってきた。
ケンドーン「随分と、荒れ果てたな、ここは。」
オウムマン「皆、居なくなった、ソッカーはほぼほぼ壊滅状態さ。お前は羽振りが良さそうだケンドーン?」
ケンドーン「そりゃな?檀家から金を巻き上げて、お祓いの動画を毎日上げるだけで大金が手に入るんだからな。」
ケンドーンは今は寺の住職に化けているのか袈裟を着ている。
ケンドーン「信者はそれがインチキだって構わない。プラシーボってやつさ。」
オウムマンはケンドーンに向き直ると玉座に座りながらケンドーンに頭を下げた。
オウムマン「ソッカー再建に力を貸してほしい。ケンドーン。」
ハッハッハ……、ケンドーンは笑った。
ケンドーン「俺は、ソッカーなんてのに興味はない。今日は冷やかしに来たのさ。オウムマン。」
オウムマンは声を荒げた。
オウムマン「貴様!言わせておけばっ!」
ケンドーン「まぁ、怪人手術のヨシミもある、お前らの支配下にある会社の株式なら買って支援はしてやるよ。」
オウムマン「本当かっ?!」
ケンドーン「あぁ、儲かるんならな?」
オウムマン「よーし、ナンマイダー。今に見てろよ。」
その夜、自分の研究室に戻ったシッダーは、ソッカーの怪人セッショーが持っていたとされるジョーモンブレイドのかけらを顕微鏡で見ていた。
シッダー博士「間違いない。オリハルコンだ。」
金属のかけらはピンセットでつつくと嫌がっているようにトゲを生やして威嚇している。
シッダー博士『これを使えば、クリカラソードをパワーアップできるかもしれん!』
その隣では小人の怪人たちのモーゴとキーゴがネットサーフィンしていた。
モーゴ「おい、これって……」
キーゴ「アニキ、それ、インサイダーじゃねぇですかい?」
二人は株式のチャートを見ていた、シッダーも何事かと気になって二人を見る。株式が急上昇している銘柄が一つ。
モーゴ「だろうけど、問題はそこじゃない。ソッカーの下部組織の企業じゃなかったか?ここ?」
キーゴ「そう言われてみりゃぁ、そんな名前のとこあったでげすな?」
創菓製作所。お菓子の新興メーカーだ。
確かに、遠い国の穀倉地帯を巻き込んだ戦争が数年前に始まって、原材料の高騰が続く中、変な値動きではある。
シッダーは甘いものが好きなのでお菓子メーカーには詳しかった。
シッダー『そう言えば、これも創菓のだったか……』
パキッ!
甘い板チョコを気持ちいい音を響かせながらほおばるシッダーの陰に隠れて、何かが始まろうとしていた。




