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巨人刀 八柄の剣

ハカイソーの死体が発見されたことを受けて、警視庁は騒然としていた。

警視監A「まさか、奴らが?」

警視監B「ありえん!」

警視監C「鑑識からの報告は?!」

警視「たった今、上がった報告によりますと、80%強、間違いなくハカイソーであるとのことです。」

会議室に集まった全員が絶句した。

警視監A「ソッカーが表立って活動を始めただと?!」

警視監B「公安も、宮内庁の陰陽座もお手上げの連中をウチで面倒を見きれるものかっ!」

警視監C「ソッカーに洗脳されてる与党からは犯人探しをしろと通達が来てるぞ?どうする?」

警視監A「ソッカーにも手を貸さない。ナンマイダーにも表立って支援はできない。と、なると、ここは若者たちに任せるしかあるまい。」

壁にかけられたスクリーンにサエキ、ワカマツ、ヌキナの3名の顔写真が写っている。

警視監B「頼むぞ、ナンマイダー。」


夢、灰色の背景、ここは山の入り口?サエキが辺りを見渡すとフォックスが向こうから歩いてやってきた。

フォックス「ようやく起きた。」

サエキ「フォックス?ここは?」

フォックス「稲荷山の入り口。ついてらっしゃい。サエキ君。」

サエキはフォックスの後を追って山に入っていった。

中腹まで来ただろうか?そこには地下に通じる鉄格子の扉があり、フォックスが術を使うと扉は勝手に開いた。

サエキ「先生。」

フォックス「この中よ。行きましょう。」

フォックスとサエキは地下に降りていく。緩やかな下りの続く階段。2人はフォックスの術の狐火の光を頼りに進んだ。

フォックス「旧日本軍が本土決戦用に作った地下施設、アレを見つけたから完成間近で閉鎖されたけどね。」

サエキ「アレ?」

突き当たりの扉を開けると、今までのコンクリートの壁とは違って土がむき出しの壁、そこは大きな空間だった。真ん中には巨大な長い柄の片刃刀が地面に突き刺さっていた。

フォックス「巨人刀、八柄の剣。」

サエキ「こんなものが……」

フォックス「サエキ君。これをアナタに託すわ。」

サエキ「俺に?」

フォックスは頷いた。

フォックス「式神を呼び出すみたいに巨大ロボに乗った時に術で召還しなさい。これが切り札になるはずよ。」

どこからか、遠くで母が呼ぶ声がする。

フォックス「そろそろ、起きないと。」

フォックスはもと来た道に戻ろうとした。サエキはその場で立ち止まっていた。

フォックス「?どうしたの?早くしないと遅刻するわよ?」

サエキは意を決したように語りだした。

サエキ「フォックスのその香水、俺の好きな人のと同じなんだ。」

フォックスは明らかに動揺する。お面から見える目は見開かれ、口をパクパクさせて、声にならない声を上げていた。

サエキ「もし、コレが、ソッカーとの戦いが終わったら顔を見せてほしい。」

フォックス「わ、分かったわ……」


イケダ尊師「何!ケンドーンが逃げただと!!?」

イケダ尊師の御前に跪くホワイティ博士が口を開く前にイケダの雷撃がホワイティ博士を襲った。

ホワイティ博士「うぎゃー!」

ホワイティはその場に突っ伏して動かなくなった。慌てて、横に控えていたオウムマンが確認した。

オウムマン「イケダ尊師!死んでしまいましたぞ!?」

度重なる夜を徹してハカイソー達を作り変えていたホワイティ博士は辛労辛苦がたたり立ってるのもやっとだった。そこへとどめの雷撃だった。

イケダ尊師はやり場のない怒りに吠えた。

イケダ尊師「最後の怪人、セッショーは完成してるのか!?」

オウムマン「完成率80%と聞いています!」

イケダ尊師「オウムマン!お前が完成させろ!」

オウムマンはイケダ尊師の無茶振りに全てを投げ出して逃げたかったが耐えて了承した。

オウムマン『イケダ尊師をこれ以上怒らせるのは得策ではない。……ケンドーンと連絡を取ろう。』


コンビニでのバイトは今日が最終日。あとは受験勉強に充てる。ワカマツもサエキも一ヶ月前から給料日が最後と決めていた。

オーナー「そうか、受験頑張ってな!2人とも!それと、下の学年にいい子がいたら紹介してよ!」

店内の客がハケた頃合いを見計らって、バックヤードにみんな集まって、激励式をささやかながら行っていた。

ボサッツー「俺がいるから、心配すんなよっ★」

オーナー「ワカマツ君、ボサッツーはもう一人……」

ワカマツ「すみません、オーナー。増えません。」

だよなぁとオーナーはため息をついた。

ヌキナ「私もやめよっかな。」

一同はその言葉に驚愕の表情を浮かべてヌキナを見た。

オーナー「そんな!ヌキナ君までいなくなるの?」

ヌキナ「私、あんまり、仕事してなかったし。」

サエキ『自分で言うかぁ、それ……』

オーナー「困るよー!一気に3人いなくなるとかー、ワカマツ君!止めてよ!」

ワカマツ「ヌキナ、さんは頑固だからなぁ……こうと決めたら、その道を突き進む。」

ヌキナはワカマツの腕に抱きついた。互いによく理解し合えているのだろう。2人は顔を見合わせて笑い合っている。

サエキ『俺も、二人に負けてられない!自分の気持ちをフシミ先生に告白するんだ!』


フシミはダイジョースーパーで夕飯の惣菜を選んでいた。

サエキ「今日は、ビールなんですか?」

フシミ「そうなの、特売棚にあったから……って、サエキ君?!」

後ろから、声をかけられて、何も考えずに答えていたのと、それがサエキだったのでフシミはすごく驚いた。

フシミ「きょ、今日も買い物?」

サエキ「給料日なんで。」サエキはニコニコしていた。

自分のほうが年上なのに、いつも彼に百面相を見られているようでフシミは恥ずかしくなった。

フシミ「えい!」『なんか、悔しいからお返し。』

サエキの鼻先をつつく。

サエキ「ハハハ、あ、先生。そこの惣菜取って下さい。」

フシミ「コレ?」ほぐしたササミのサラダ。ソレをサエキは受け取った。

サエキ「ありがとう、先生。」『コレを先生に渡そう。』

フシミ「どういたしまして。」『じゃぁ、お言葉に甘えようかしら?』

フシミにはサエキの心の中が読めていた。陰陽道の術、相手の心を読む。“スカシ”の術。

彼が自分に好意を抱いてることも知っていた。だから、ソレがバレた時に嫌われるんじゃないかと不安だった。

フシミ「……」『こんな私を嫌いにならないで。サエキリョータ。』

私も好き。

サエキ「!」『幻聴かな?』

フシミ『アレ?聞かれた?』

二人は無言でレジに向かった。サエキは頭の中の出来事、幻聴が現実だとは思えなかった。全部、自分がこうだといいなと勝手に想像した妄想だと思っていた。

サエキ『けど、もし今のが先生の気持ちならすごくうれしい。』

サエキ「先生、コレ。」

フシミ「あ、ありがと。」フシミはキョドってサエキの目を見れないでいた。

フシミ『あぁ、見れない。ごめんなさい。嫌わないで。』

サエキ「先生。俺。」

フシミ「な、何?」

サエキ「す、す、好きな人がいて、受験が終わったら、その人に告白しようと思ってるんです。」『あぁぁ、どうしてこの口は思ってもないことをスラスラ言うんだ!好きな人は目の前にいるだろ!』

フシミは高鳴る胸を抑えながら、何とか平静を装った。まだ彼の前ではいい先生でいなければ。

フシミ「進路相談?いいわね、青春だわ。若返っちゃう。」

サエキ「まあ、その人いつもお面をつけてて顔見たことないんですけど、初めて会ったときから好きなんですよね、なぜか。ハハハ……」

サエキは自分でも変なことを言っていると頭を掻いた。

フシミは自分のことだと分かって目を瞑った。照れ隠しをしたい彼女なりの必死の抵抗だった。

フシミ「ふーん、なんだか焼けちゃう。一人身の女には毒だわ。」

けど、とフシミは続ける。

フシミ「結果が知りたいから、教えてね?その続き。」

サエキ「はい!」

二人はしばし見つめ合って、それぞれの家路についた。




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