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フ"ンカサイ[後編]

フォックス「陰陽S!人の無意識を誘導したな!?」

陰陽S「それがどうした?彼らには自然な事だし、これからの戦いには必要なことだ。」

フォックスは陰陽Sに詰め寄っていた。とある山の道教施設にフォックスの怒号が響く、陰陽Sはどこ吹く風と聞き流していた。

フォックス『だからこの人たちに関わりたくなかった!人の気持ちをもて遊ぶ!』

フォックス「私の生徒に手を出さないで!」

陰陽S「嫌だね。続ける。特に、クウカイレッドには。」

フォックスと陰陽Sが一瞬即発の雰囲気になるなか他のバンコやエンノは落ち着いて彼らをなだめた。

エンノ「落ち着けフォックス。奴には、我らのために働いてもらわんといかんのだ。」

バンコ「タオの導きよ。ヤツには素質がある。フォックスが選んだだけはあるな。」

フォックス「くっ!」

エンノの後ろに控えた鬼たちが言う。

前鬼「フォックス。気持ちは分かる。しかし……」

後鬼「成長しない魂に未来なんて無い。いつか来ることさ。アタイらはその後押しをしたにすぎない。」

フォックスは怒りで震えた。あの子たちにはもっと純粋でいてほしい。そう願っていたからだ。

フォックス『……私はこれから、あのコ達にどういう顔で接していけばいいの?』


文化祭当日、サエキはクラスの出し物、カフェのウェイターとして接客をしていた。

ワカマツ「サエキ……」

サエキ「ん?ワカマツとヌキナさんか。ここはいいから、二人で文化祭楽しんでこいよ。」

ワカマツとヌキナは黙って部屋を出ていった。サエキはあのあと、二人ともシッダーとも距離をとっていた。

サエキ『俺は大丈夫、一人でもやれる。』

フヨッ。

いつもの香水の香り。

サエキ『フシミ先生だ。』

フシミは暗い顔をして店に入ってきたが、サエキを見るとほころんだ。サエキの案内で最寄りの席に腰掛ける。

フシミ「私も一杯もらおうかしら、それと、あ!このサンドイッチも!」

サエキ「ミント香るハムトマトと卵のサンドイッチですね?かしこまりました。」

サエキは丁寧にお辞儀をした。

フシミ「サエキ君、なんか似合ってるわね!」

サエキは意中の人にほめられて顔をあからめた。

サエキ「へへ……そうですか?」照れ隠しに頭をかく。

そのフシミの頭に陰陽Sの声がする。

陰陽S『なんだ?ソイツが気になるのか?雌狐。』

フシミ『陰陽S。この子に手を出すな!』

陰陽S『そうはいかない。成長してもらわんと。』

フシミ「私がやる!」

フシミは店全体に響くような声を上げた。サエキや他の生徒達も驚いている。

サエキ「ご注文の品です。フシミ先生。」

フシミ「あ、ありがとう。私、疲れてるのかしら?」

サエキはフシミの向かいの席に座りフシミの顔をのぞく。

サエキ「大丈夫ですか?先生、保健室連れていきましょうか?」

グォン

陰陽Sの術で性欲を掻き立てられる。

フシミ『やめて!お願い!』

陰陽S『ふん。好きにしろ。いいシチュエーションだと思ったんだがな。』

フシミは青ざめている。

フシミ「ほんと、大丈夫だから、ね?」

フシミはコーヒーをすすってみせる。

フシミ「あっま!」

サエキ「ははは、シッダー先生監修なんです、そのコーヒー、疲れには効くって。」


夕暮れの校舎、サエキは店じまいの支度をしていた。

そこに、腰の曲がった爺さんがフラッと入ってきた。

爺さん「まだ空いとるかね?」

サエキ『一般の方?』「あ、あの時のマルボロの人。」

爺さん「お?顔を覚えてたのか?」

一瞬、戸惑った爺さんは落ち着き払って、席に着いた。

サエキ「この辺に住んでるんですか?」

爺さんはそっけなく頷いた。サエキは爺さんに手書きのメニュー表を渡す。

爺さん「簡単なのを、これと、これにしよう。」

サエキ「コーヒーとハムサンドですね?かしこまりました。」

深くお辞儀をする。フシミの「似合ってる」が妙にサエキの心をくすぐっていた。

サエキはカウンターでコーヒー豆をミル器で細かくした。

爺さん「若いの、何かあったのか?何だかうれしそうじゃないか?」

サエキ「顔に出てます?」サエキは顔を撫でた。爺さんは頷く。

サエキ「色々あったけど……その、好きな人に褒められたら、どうでもよくなって。」

誰かもわからない、老人に何を言い出すんだこの口は、しかし、サエキは見るからにウキウキしていた。

爺さん「いいのぉ、青春じゃな。」

サエキは最後にその爺さんに料理を出して、高校生活最後の文化祭を終えた。


PLパーフェクトリバティ伯爵「で、何もせずに帰ってきたのか?WMワールドメイト老師。」

ソッカーの秘密のアジトの一室に集まった幹部たちが外から帰ってきた亀の怪人に詰め寄っていた。

WM老師「いやぁ、青春はいつ見ても若返るわい。」

LTラストテスタメント卿「何をしに行ったかと思えば……」

タコ足の怪人が深い溜息を着く。オウム顔の怪人もヤレヤレと肩をすくめていた。

WM老師「でも、まぁ。収穫がなかったわけでもない。クウカイレッドはナンマイダーから抜けたがっているようだ。」

PL伯爵「と言うと?」

WM老師「アヤツだけで居た。他の二人は見当たらんかった。ヤツのクラスの生徒に聞けば、最近、仲違いをしているという。」

LT卿「これは、チャンスではないか!?」

タコ足の怪人は興奮気味で言う。

PL伯爵「だな。罠を張ろう。一人づつ倒す好機になるやもしれん。」

怪人達は怪しく笑っていた。


夢、灰色の世界。しかし、そこは確かに見覚えのある世界。

サエキ「カフェ……後片付けしなきゃ……」

陰陽S「待て待て、我らの注文がまだだぞ?」

気がつくと陰陽Sの他に、行者の老人と、昔、ビデオで見た道士風の姿をした老人が座っていた。

エンノ「お初にお目にかかる、ワシはエンノ行者だ。」

陰陽S「そしてこちらの方がバンコ様だ。お前も挨拶しとけ。」

サエキは陰陽Sに言われるがまま二人に挨拶した。

バンコ「風神を使いこなしてるようだな。サエキ。」

サエキの隣にいつの間にか風神が立っている。

風神『おかげさまで、快適です。』

風神の口は動いてない。心でしゃべっている。

エンノ「コヤツにはまだ入るのではないか?陰陽S?」

陰陽S「そうだと思って、もう一人連れてきた。」

陰陽Sのすぐ隣にカラス顔の男が姿を現した、ラフな風神と違いこちらは鎧具足を身にまとっている。

陰陽S「炎を操る迦楼羅天だ。使いこなしてみせろ。」

サエキは新しい式神、ナカマが増えて喜んだ。

サエキ「ありがとうございます!コレで、この力で!俺一人でソッカーを壊滅させてみせます!」

エンノ「頼もしい限りよ。」

ワッハッハ……!

3人の男たちは笑いながら闇に消えた。

向こうにカウンター席が見える。初老のバーテンダーと

サエキ「フォックス?」

フォックスは泣いているようで肩を震わせていた。

顔は向こうを向いているので見えない。

フォックス「私は、あの子の恋心を利用している。」

バーテンダー「ソレは違うぞ?彼はお前が好きなんだ。進んでお前の力になりたがっている。利用じゃない。」

フォックス「ソレは本当の私にでしょ?!」

バーテンダー「……ソッカーのアジトが分かった。」

初老のバーテンダーがサエキの方を向くと、サエキとバーテンダーの二人だけになった。あたりは闇に包まれている。

サエキの脳裏にアジトの場所が浮かび上がった。

バーテンダー「やれるな?」

サエキが左右を見渡すとそこに風神と迦楼羅天がいた。

サエキは二人に向き直ると力強く頷いた。


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