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仏具戦隊

夕日で赤く染まる校舎、まだ肌寒いというのに、

サッカー部員達はコレから日が落ちても練習に励む。

生徒がまばらの教室に、体育系のむさ苦しい面子達がたむろして、だべっている。これから、部室に行くのだ。

サッカー部員「サエキー!今日は来るのかー?」

サエキ「わりー!これからバイトだわー!」

えー?

またかよー!

サッカー部員達は口々に落胆した声を上げる。

サッカー部員「ま、お前がいれば次の試合も大丈夫とは思うけどよ。怠けてっと、1年にぬかれるぜー!」

サエキ「わかってるって!」

サエキリョウタはノート類をカバンにしまうと教室を出ようとした。そこに大人なニオイを漂わせた女教師が入ってきてサエキの席の前まで来た。

???「サエキ君。ちょっといいかしら。」

サエキ「?フシミ先生。珍しいですね。俺になんか用スか?」

音楽の教師が俺になんか用があるのか?まぁ、その豊満な体が拝めたんだから良しとしよう。

ボブカットを茶色く染め、右の耳に髪をかける仕草と大人の女性のほのかな香水の香りは青少年の健全な教育に悪影響では?と前かがみのサエキは思った。

フシミ「シッダー博士が呼んでたわよ。後で進路相談室に来てって。」

サエキ「シッダー博士?あの化学の?」

フシミ「あの先生、進路指導もしてるのよ。」


進路指導室

サエキ「用ってなんスか?シッダー先生。」

シッダー博士「サエキ君。私のことは博士と呼び給え。」

在日インド人2世のシッダー先生は少し変わっている。そのせいでこの公立の仏教系の高校くらいしか就職先がなかったと聞いている。

で?要件はなんなんだ?バイトの時間が押してるのに。

サエキは焦っていた。

シッダー博士「コレを君に渡しておく。」

数珠のブレスレット?もらえるものはもらっておくのがサエキ少年のモットーだった。

サエキ「なんすかコレ?」

サエキは色黒の先生から数珠のブレスレットを受け取ると、左手で確認した。特に変わったところはない、赤のタイガーアイの、そこら辺のパワーストーンのお店で売ってそうな、ブレスレットだ。なにかの字が彫られてて金箔が貼られている。

最近、授業で習ったやつだ。確か、ボンジ?とか言う。

サエキ「……博士ぇ、要件はそれだけっすか?」

シッダー博士「いいや、君は体育の成績が5だったな……」

話が長くなりそうだ。そろそろでないと間に合わない。

遅刻したらバイトリーダーのワカマツにまた怒られる。

サエキ「シッダー先生!進路指導はまた今度にしてください。俺、これからバイトなんで!」

シッダーが後ろで何か言っているが、サエキにはバイトが優先だった。サエキは走って自転車にまたがると郊外にあるコンビニに向かった。


郊外と言っても、駅から住宅街に続く幹線道路沿いにあるコンビニで住宅街には最近、有名な大学の寮もできたということで、

そこそこの売り上げを出し、そこそこの賑わいを見せていた。

ワカマツ「おせーぞ!サエキ!さっさとそこの品出しをヌキナさんと片付けてくれ!」

バイトのシフトはバイトリーダーのコイツ、

ワカマツシンペイが決めている。いつもこのメンバーだ。オーナーに変えてくれと頼んでるが一緒の高校だからという理由で聞いてくれない。

サエキ『シッダーのせいで、とんだ災難だ。』ブツブツ

ヌキナ「ゴメンね?サエキ君。私じゃ数さばけなくて。」

ヌキナタエ。最近、SNSで有名アイドルグループの新曲を歌ってみたがバズって、フォロワー数が一気に万単位になったせいか、ちょくちょくスマホをチェックするようになった。

ヌキナ(ピコピコ)

サエキ『……がんばろう。』

そこで突然変な男たちが店に入ってきた。他の来店者は時が止まったように動かない。外の景色も心なしか紫色のように見えた。

サエキ「うわ!なんだ?!」

その男たちは明らかに常軌を逸した、変なお面を被った全身タイツだった。手には警棒のような鈍器を持っている。

サエキ「強盗!?」

ワカマツ「こんなところにも現れるとは!?お前ら、隠れてろ!」

?警察は呼ばなくていいのか?サエキはそう思った。


ワカマツは青のパワーストーン(ラピスラズリ?)のブレスレットをポケットから取り出した。それを見た変質者達は動揺している。商品陳列棚の影で身を低くするサエキとヌキナはその様子を隠れてみていた。

サエキ『……ボンジ?俺と同じやつか?』

サエキ「おいワカマツ、お前、ソレを何処で?」

言い終わる前にワカマツはブレスレットを左手に通して胸の前で合掌するとその身体はぱっと光り、

ワカマツも青い全員スーツに身を包んでいた。

ワカマツ「シンランブルー!行くぞ!ハカイソー!」

ハカイソーと呼ばれた変質者達は持っていた警棒を振り回してワカマツに襲いかかった。

ワカマツは華麗にそれらを避けるとカウンターパンチをハカイソー達の顎にお見舞いして倒していく。

ヌキナ「わ!」

脳震盪を起こして気を失ったであろう倒れたハカイソーは黒い瘴気とともにその体は消えてなくなった。

サエキ「どうなってんだ……」

全てのハカイソーを倒すと店は元の静けさを取り戻した。また、耳に残る店内コンビニソングが始まり、何事もなかったように、コンビニに人が入ってくる。

ワカマツはブレスレットを外すと元のコンビニの店員姿に戻った。

ワカマツ「やれやれ。確かにここなら若者を拉致、洗脳できるのかもな……」ワカマツは独り言を言っている。

そこへヌキナが駆け寄る。

ヌキナ「ワカマツ君!あれどうやったの?!アイツラは何者?!」

そんなことより、先ずは

サエキ「ワカマツ、そのブレスレット、シッダー博士からもらったのか?」

サエキはさっきもらった赤いブレスレットを見せた。

ワカマツ「え!お前も貰ったのか?」

ワカマツはそれを見て驚いた。のはいい。ヌキナも驚いている。

ヌキナ「え!?サエキ君も?私も貰った!」

ヌキナはビンクのブレスレットをしていた。

ワカマツ「なんだよ。お前らも貰ってんなら加勢してくれりゃいいのに。」

サエキ「いやぁ、もらったはいいけど、話をちゃんと聞いてなくて……」

ヌキナ「私も。返信で忙しくて……」

ワカマツは首をすくめた。怒っても無駄だ。そんなヒネタ態度である。少々、鼻持ちならなかったが、話をちゃんと聞いていない自分が悪いと、サエキは内省した。

なので、3人は後日ちゃんと、シッダー博士に話を聞くことにした。

ワカマツ「とりあえず、今はバイトだ!お前らしっかり働け。」

レジに呼ばれたワカマツは対応にその場を離れた。

将来の夢が警察官になることだったサエキはいまさっきの光景が忘れられずバイト中、ずっと興奮していた。


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