幕間 宣戦布告
文字数:1622字
「あたしはレインと一緒がいい! 鬼婆の二人と一緒は死んでもイヤ。レインと一緒がいいの!」
ムカつく。
何よ、何なのよ、マジで。
アマガミサラ〜、絶対に許さないからね。
この私を一度ならず二度までも〈鬼婆〉と呼ぶなんてあり得ない。
そんなスーパーワードが愛しき人レインにインプットされてしまったら、洒落にならないでしょーが!
ま、バカ女にはぴったりのネーミングだけどね♪
ナイスですねぇ〜って感じ。腹筋大崩壊で草ぼうぼう生えちゃったもん。
……それはちょっと置いといて。
くぅ〜〜!
私のレインにまたしても抱きついたわね!
「絶対離れない! あたしはレインと一緒に戦う!」
はん! 笑っちゃうよね! 何が〈絶対離れない! あたしはレインと一緒に戦う!〉 よ。
へそで茶を沸かすとはまさにこのことだ。
何かしら理由があって日本からこの世界に召喚されてきたんだろうけどさ、能無しの、スキル無しのマヌケ女なんか役立たず以外の何物でもないから。
「フフン、それなら、あたしと一緒に戦うべきだよ! だって、天神沙羅は敵の姿が丸見えだからね♪」
丸見え!? 今、丸見えって言った?
ウソでしょ? 私の最強である聖騎士スキルでさえ、まったく探知できない敵なんだよ?
……忍者……白装束……目出し帽……ウソを言ってる感じじゃない……敵は6人…………見えてる、見えてるんだ……アマガミサラには……この見えざる敵が見えているんだ……。
極めつけはマヌケ女が言った通り、影の軍団のボスが木の上から落ちた音だった。
その時、私は見た。
一瞬だったけれども、確かに白忍者をこの目にした。
何なの、何者なの、このマヌケ女。
レインに抱かれ、ともに戦いへ赴く女。
アマガミサラは、私とカリン・リーズに右手を掲げてニヤリと笑う。
それは紛うことなく宣戦布告だった。
――レイン・アッシュはあたしのものです――
後に私は知ることになる。
日本からこの世界に召喚されてきたアマガミサラなる人物が、次期聖女様にして真なる聖女スキル所持者だということを。
そして、愛しき人のバディになる女だということを。
♢♢♢
拝啓、堕女神様。
いかがお過ごしでしょうか。
妾探しの旅を満喫しているのでしょうか。
もう二度と念話なんてしたくないけど、わたしの頭の中に必ず語りかけてくるのは明々白々。
はぁーって感じですよホント。
師匠と弟子ね。
そんな面倒くさいことはしなくても平気じゃないの?
もちろん、わたしは端から師匠になる気などないし、サラ・アマガミを弟子にする気もないけど。
影の軍団の襲撃を受けている間、愛しの人に抱かれていた影響なのかどうなのか分からないけれども、サラ・アマガミは真なる聖女スキル所持者として、その能力を覚醒しつつあるようだった。
きっとこの世界で彼女を覚醒させることができるのは現聖女ではなく、レイン・アッシュだと思う。
……あぁ、ムカつくよね。
愛しの人に抱かれているだけでも超腹立たしいのに、あんながっちり抱きついちゃってさ。
マジで死ねばいいのに。
ま、それはちょっと置いといてと。
驚いた、真なる聖女スキルの力に驚いた。
三聖スキルでさえ、探知が不可能だった見えざる敵を難なく視認できるなんて。
わたしが聖女なんだといくら足掻こうが無理なものは無理なんだと悟った。
……うん、分かったよ、堕女神さん。
クラスチェンジする。
わたしは女神スキルにクラスチェンジする。
どうして気が変わったか?
知りたい? 知りたいなら教えてあ・げ・る。
それはね……。
愛しの人レインに抱かれ、バディとして影の軍団との戦いに赴くサラ・アマガミ。
その次期聖女様は、わたしとエミリー・ファインズに右手を掲げてニヤリと笑った。
それはまさしく宣戦布告に他ならない。
――レイン・アッシュはあたしのものです――
ダメ、絶対ダメ、認めないよ。
レイン・アッシュはサラ・アマガミのものじゃない。
聖女スキルを遥かに凌駕する女神スキル。
そう、女神たるカリン・リーズのものだからね。
というわけなので、よろしく。
女神アフロディーテ様♪




