■初心者案内人マカロンさんとワールド巡り。
マカロンさんについていった先は、暗がりの中で雪のちらつく、冬の夜のワールドだ。
「わぁ~、すごい……きれい……」
ボクはワールドの入り口から一望できる景色に思わず息を呑む。
周囲は一面、降り積もった雪で真っ白で、眼下には幾つもの露天風呂があって、そこから温かそうな湯気が立ち昇る。
道沿いに点々と並ぶ和風の灯篭が、あたりを橙色にうすぼんやりと照らしていて、雪降る冷たい夜に、暖かな雰囲気を添えていた。
「ふふっ、いい雰囲気でしょ。ここの温泉、落ち着くからすきなの。さ、こっちよ」
そういうと、マカロンさんは雪の積もった小道を下っていく。
「あ、待って」
そのまま彼女についていくと、マカロンさんは躊躇なく温泉の『女』とかかれた暖簾をくぐって、脱衣所へ入った。
「あ……女風呂……いいのかな……?」
少し戸惑いながらも、現実世界じゃないと自分に言い聞かせて、ボクは女子脱衣所に入った。さらにそこを抜けると、幾つもの岩を組み合わせて作られた大きな露天風呂があった。
「せっかくだから……たまには、ね」
マカロンさんはそこでバスタオル姿になる。
(……あ……マカロンさん……ボクがいるのに…………)
そうして湯舟へ入ると、リラックスしたように身体を伸ばした。
「ふぅ~っ……気持ちいい~……やっぱり、お風呂よね~」
「あ……い、いや……その……いきなりお風呂だなんて……」
彼女のナマ入浴を目の当たりにして、ボクはどう反応したらよいのか困ってしまう。
「…………その……バスタオル姿で……だ、ダメだよ……やっぱり……」
「あ……意識してるんだ、かわいい~♪ けど、今は、キミも可愛い女子なんだからね」
「そ、そんなこと、言われても……」
そのままマカロンさんはお風呂のふちに手をついて、身を乗り出してきた。ゆらゆらと立ち昇る湯気につつまれた色っぽい彼女はひどく艶めかしくて、その姿にボクは引き込まれてしまう。
裸身に巻きつけられたバスタオルにぎゅむっと押しだされるように、リフトアップされた双乳にかたちづくられた淫らな峡谷が、ボクを妖しく誘惑してくる。
(……あうう…………むにって、おっぱいがエッチにへしゃげてて……マカロンさん、VRChatの中とはいえ、大胆すぎだよ……ごくっ……)
ぷりっぷりの乳球同士がぶるんと震えて、ひらべったく潰れながら織りなす、淫猥な景色にボクの視線は釘付けになってしまっていた。
「見るぐらいなら、大丈夫だから。デスクトップで、手も動かないだろうし。んふふっ♪」
マカロンさんの言うとおり、VRモードで入ってる彼女と違って、ボクは手を動かすことができない。
(……さ、触ったりできないけど……でも、モニターから見る景色だけで、充分すぎるよ……)
目の前に差しだされた爆乳のたわわな実りに、ボクの心臓の鼓動が早鐘のように鳴りつづけた。
「なんにもしないから。ただ、一緒にお風呂、入るだけだよ」
(……ううっ……どうして、ボクが襲われる側みたいになってるんだろ……)
マカロンさんの鋭い視線は肉食獣のそれで、牝豹を思わせる。
「ほら、いいよね。せっかくふたりきりで温泉、来たんだから」
「……うん……入るだけだったら……」
結局、意思の弱いボクは押しに負けて、マカロンさんと露天温泉に入ることになった。
「あ……服、脱げるよ……」
服のまま湯に浸かろうとしたボクに、彼女が声を掛ける。
「ぬ、脱げるって……ここで……」
(……たしかに。服のままで、温泉も変だよね……)
「うん、手伝ってあげよっか……」
「て、手伝うって……ううっ……」
マカロンさんは笑顔で微笑みながら近づいてくる。からかわれているのは、さすがにわかったが、悪い気はしない。
「じゃ、ピコん、って……メニューだして♪」
「あ……う、うん……」
ボクはマカロンさんに手取り足取り指示されて、言われるがままにメニューを操作する。緊張しすぎて、幾度か操作を間違ってしまうほどだ。
「……で、できた……よしっ!」
サンプルアバターでも、上着やスカートは脱げるようになっているらしい。ボクは下着姿になると、そのままお湯に入った。