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■アバターファッション ~可愛いに魅せられて~ ①


 そこは前から気になっていたワールドで、多くの服のサンプルを自分のアバターに着せ替えることが出来る場所だ。


(バーチャルだと移動するのも、一瞬でいいね。それじゃ、と――)


 試着ワールドの入り口へ飛ぶと、そのままボクは衣装の展示されているエリアへ向かった。


 そこでは、様々な販売衣装を試すことができた。


 奥までズラりと陳列された衣装はどれもが魅力的で、わくわくしてくる。


 小悪魔系に、天使系ファッションと、サイバー系ぴっちり衣装から、フリルたっぷりの可憐なドレス、そうしておでかけ用の愛らしいコーデまで。


 様々なカッコいい、可愛い、そして色っぽさに溢れていた。


「あ、これ、いいね。こっちも♪」


 ボクは衣服をボタン一つで着替えて、ミラーの前で表情を変えたり、ポーズを取ったりして、その愛らしい姿を楽しむ。


 装着しているVRゴーグルで、頭と両手――つまり、上半身が自在に動く。それだけで可愛いポーズも、格好いいポーズも取り放題だ。


(……誰も見てないし、いいよね)


 人前でファッションを楽しむのは、さすがにまだ抵抗があった。けど、ひとりなら気にせずに、自分の可愛いを堪能できる。


「うぁ……ボク…っ……かわいい……! マジで、気分爆上がりだって~~~~♪」


 テンション最高潮のままでファッションを楽しむ。女子がウィンドウショッピングを続けていられる気持ちが理解できた。


(……これ……ヤバいかも……リアルの服代を削ってでも、アバターの服をたくさん買っちゃいそう……)


 ボクが軽く身体を左右に動かすと、盛りあがった胸元も、ゆさゆさと可愛く、そしてほんのりえっちく揺れるのだった。


(……しかも……おっぱい……すご……見てるだけで、幸せになれるね……)


 ちょうど来ていたゴスロリ風のドレスの胸元へ、そっと手を当てると、双球が柔らかくへしゃいだ。


(あ……ヤバ……自分で触るの……へ、変だよね……ううっ……)


 そう思いながらも、好奇心に勝てなくて、胸乳を下から支えるように持ち上げたり、はてはムニムニと揉みしだいてしまう。


(……こ、これ以上は……マズい……かも…………)


 手には、ふにふにとした爆乳の柔らかさ、くわえて胸の先に、ほんのわずかだが、ムズムズと奇妙な感触を覚えていた。


(……触られてるみたいで……これ、VR感度、ってヤツ……)


 目の前の視覚情報に引きずられて、まるで触られているかのような気分に陥ってしまう。意識をそちらへ集中すれば、スイッチが入って、乳房の触感が生えてきそうに思えた。


(……くふ……んふぅ……こっ、声、出そう…………ううっ……)


 ボクは最大限の理性を行使して、自らおっぱいを揉みしだく手を止めるのだった。


(……ヤバっ……VRの没入感、全然違う……誰かに触れちゃったら、どうなっちゃうんだろ……)


 今もミラーの前にいるボクは可憐な爆乳ガールで、可愛くて、ちょっと媚びた仕草を取ってみたくなる。


「えへへっ、キミのこと、好き▼ とか?」


(あ……これ、マジでいいな……可愛くなったら楽しいだろうな、ぐらいには思ってたけど……美少女の姿で、なんでも出来ちゃうじゃない……)


 VR世界の妖しい重力に、身も心も自然と引かれつづけているのが、よくわかった。そうしてボク自身、抗おうという気さえ湧いてこない。


(……ボク……元から、こうしたかったのかもしれない。そのための言い訳がここには揃ってるし)


 美少女アバターになることに抵抗を感じ、ロボットや動物アバター、ネタアバターから始めて、ややあって少しずつ女の子になる人もいるらしい。


 ただ、ボクには適正があったのだろう。身も心も、女子になることを欲していた。


 興奮のままに、身体をくねくねと揺らして、鏡の向こうの自分を見つめて、さらに自撮りしまくる。


(……最高……もっと、もっと可愛くなりたい……!)


 ボクは可愛いの魔力に魅入られ、それに呑まれて、アバターファッションを夢中になって堪能するのだった。


 ――と、画面にぴょこん、ジョインと通知が現れる。


(……あ……誰かきた……!?)


 そこへ入ってきたのは、なんとマカロンさんだ。



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