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一般市民の成り上がり騎士道  作者: 軒下晝寝
騎士を生む地下迷宮
5/7

第四話 Sophy

 ひたすら作中時代の言語の文字を作ってたら時間が空いちゃった

 本当は数種類あるから全部作ろうと思ってたんだけどね……

 フォントソフト弄るのメンドクセー!

 あと、画像化もメンドクセーしエラー吐くからフォントファイル出力もメンドクセーよぉッ!


 そのうち使うかもね 趣味で作っただけだから使わない可能性が高い

「中に気配はない。多分大丈夫だ」

「よし、開けるぞ」


 第1通路。

 隠し扉に次ぐ隠し扉の先。

 他の場所の探索を行うことで10×10の最低ブロックと判明した小部屋の扉の鍵をゆっくりと下ろし、静かに開ける。

 まだ途中の隙間からレオーネの魔術による光球が入れられ、中で眩く輝く。

 少し時間を空け、光が弱まってから一気に中へ突入。ウォルフリックの察知どおり中にモンスターはおらず、そこには無人の空間があった。


「なんだこれ、お前らわかるか?」

「板棒? 材質は……知らないねぇ」

「……」

「知らない」

「俺も知らねえな」

「それって鍵じゃない? たまに他の開拓兵たちが話してるの聞いたことあるの。ダンジョンの中には鍵が必要な扉があって、その鍵はダンジョンの中にある、って」


 幅は1センチ強、長さは10センチほど、厚さは5ミリ程度。

 材質のわからない純物質らしき全体同じ様子の板か棒か曖昧な物体。

 それが部屋の奥。

 台座の上にあった。


「鍵ぃ? ならダンジョンには鍵が大量にあるのかよ? アタシなら手当たり次第に鍵集めて地上で売り捌くぞ」

「ムリよ。話によると鍵はダンジョンから持ち出すと消えるらしいの。だから一度地上に戻ったらまた鍵を集め直さなきゃならない、って」

「へぇ? 面倒なこった」

「まあまあ、そのお陰で俺たちにもチャンスがあるんだからさ」


 騎士の地位に興味がなく金に意識を向けている者ならヴィクトワールの言ったように地上で売ることで金稼ぎを目論んだかもしれないが、騎士の地位を欲している者が鍵を手に入れれば独占されたかもしれない。

 鍵の数が一つあるいは少数なら出遅れのカードたちにチャンスはなかった。

 けれどそうではなく、全員にチャンスがあるのだから、と笑う。


「ま、何はともあれ鍵ゲット~――ああ? 取れねぇぞ?」

「それはオリジナルキーよ。台座に固定されてて取れないの。私たちが使う鍵は――こうやって作るの」


 レオーネが台座に手を触れると自動的に魔力が集められ、モンスターの霧散を逆再生するかのように、カードの【複製】のように、魔力が台座に乗った鍵と同じモノを生み出す。


「ああ、だから残ってたんだな」

「資格があれば万人に門を開く、か」

「どうしたの?」

「ん? 早い者勝ちってワケじゃなくて良かったな~、って」

「そうね。早い人だけが、ってルールならこのダンジョンはとっくに攻略不可能ね」

「フッ」

「あ、ソフィアが笑った。珍しい」


 王の宣言時、いち早くダンジョンに潜った者たちが既に死ぬか意欲を失っている者が大半。

 それを嘲笑うように肩をすくめるレオーネの言葉に無口ぎみなソフィアも思わず笑った。


「私も、笑う時は笑う」

「珍しくはあるからさ、気に障ったならゴメンね」

「別に、構わない」

「ちなみにもっかい笑ってみてもらっていい? 顔見てなかった」

「……ニコッ」

「笑顔? 表情変わらないね……」

「動かすの、苦手」


 微動だにしない表情筋。

 まれに動くことはあるがほとんどが反射反応である。


「あ、レオーネ。この鍵についてなんだけどさ」

「どうしたの?」

「いや、ダンジョンには鍵が必要な扉があって、それは1つ?」

「違うわよ。色んな所にあるって話」

「鍵は共通? それとも別?」

「別のハズ」

「……じゃあこれは使い道を探さなきゃなんだね」


 鍵のどこを見てもどのような扉に対応しているのかがわからない。

 最悪、なくとも途中までは進めるだろうが、そこまでで終わる。

 かといってどこで使うのかわからない鍵を探索の度に取りに来るというのは手間だ。


「アタシには細かいことはわかんねーけどよ、どうせ最後まで進むなら探す必要もないだろ?」

「……ま、そうだね」


 あれこれ考えても意味はない。

 鍵が各所にあり、扉も各所にある。

 考えたところで鍵の場所も扉の場所も変わらない。

 思考を無駄に走らせて鍵の場所と扉の場所が近づくならそれでもいいが、そんなモノはない。

 意味があるとすれば鍵と扉の最短効率くらいだろう。


「さて、このルートもざっと調べたな」

「マッピングはどうなんだ?」

「ん~、ちょっと待ってね」


 背嚢から取り出すフリをしてその中でアルバから地図を受け取る。

 そしてペンで作図をするフリをして線をなぞり、さも描き終えたようにメンバーに見せる。


「ところでよ、なんでお前はこの扉のことわかったんだ? 調べてもねえのに隠し扉があるってよ」

「それは構造から考えてあるかな~って。通路を見て、引き返した通常扉の部屋があったじゃん? あそこを探索してわかったダンジョン構造と照らし合わせたら空間に空白があるって思ったんだよね。さっき無効を調べたときにあるかもしれない壁は調べたから、残る可能性は通路として見ただけのこっちかな、って」


 カードたちが今いる小部屋。

 そこは縦4横3のL字通路と縦3横2の部屋が隣接した部分の空白にある。

 3×2の部屋が一つ分下に移動すれば通路含めトータルとしては4×3になるがそうではなく、隙間は2ブロック分あった。

 だからそこに通じているとしたらL字通路の縦部分右方向1面分か右下の上方向2面分、あるいは部屋の下2面と、部屋を抜けた先にあった2×3の部屋の左下1ブロックの左方向1面に可能性がある。

 初めのウォルフリックの調査で部屋下2面分にはないのがわかっていて、その先の部屋では怪しんだカードがウォルフリックに調べて貰ったからないことがわかっていた。


「ほ~。マッパーがいるとそういう利点があるんだな」

「ねえカード」

「んにゃ? どったの?」

「これまでの通路で他にそういう怪しいところはないの?」

「あるよ。ここを出た先の突き当たりに1ブロック分だけ未探索領域がある。扉があるとしたら……突き当りの壁か、通路に入った時の部屋の左下の下方向の壁、あとは扉が2つあったけど意味のなかった部屋――スティキニのいた部屋ね。あとはそこの手前にあった部屋が2つ並んでたトコの奥側の部屋に入る扉の正面だね」

「ここと、ここと、ここと――ここ?」

「そそ。ちなみにどうする? 先に行くか帰りに寄るか」

「先で良いんじゃないか?」


 次に探索するエリア。

 共通する基点から考えてせいぜい片道100メートル。

 つい今しがた鍵の話をしたからか全員の頭の中には程度に差はあれど共通して『その1ブロックに鍵があるかもしれない』という思考があった。

 もしその1ブロックを無視し、その先で鍵が必要な扉に当たったら。

 そんな思考で帰り道でも寄れる1ブロックを優先することに。


「反対意見はなさそうだし、行こうか」


 結論をいえば何もなかった。


――――――――――


「あ゙~ッ、クッソ! 散々歩き回って扉通りまくったのに同じ場所に戻るのかよ!!」

「お、落ち着きなよ。気持ちはわかるけど……」


 20メートル×20メートルの大きさの柱を囲う40メートル×40メートルの通路にある16の扉。

 うち1つは入ってきた一方通行の扉で残るは15の扉。

 探索のセオリーに従って入った通路から右手側の扉を順に調べ、2つの小部屋を調べたのちの3つ目の扉には無数の小部屋が繋がっていた。

 その多くにモンスターがいて、次ぐ連戦を終えての終着点は16の扉がある循環通路。

 無駄に終わった長い移動と戦闘にストレスを溜めたヴィクトワールが叫ぶ。


「どーすんだよ! 来た道は引き返せねーんだぞ?!」

「もう! 叫ばないでよヴィクトワール!」

「お前も叫んでんじゃねーか!」

「ハイハイ! お・ち・つ・い・て!」


 不安な状況に直情的なヴィクトワールのみならずレオーネもストレスが溜まっているようで、苛立つヴィクトワールに苛立つレオーネ。

 他のメンバーも状況に動揺しているらしく。

 ウォルフリックは険悪な二人に僅かなストレスを見せ。

 ソフィアは煩わしそうに視線を背けている。

 軽いマッピング程度ならできるようになったカードは、その作業があり意識がそこに向くからかストレスが軽く、他メンバーの様子を一歩引いて見ることができていた。


「こんな状況だしストレスが溜まるのは当然だから態度に出すなとは言わないよ? でも命を預け合う仲間相手にストレスをぶつけちゃダメだからね?」

「……」

「……」

「かといって溜め込んだままもダメだからさ。みんなで叫ぼうッ」

「……は?」

「はい?」


 宥めるカードから出た言葉にヒートアップしていた二人も思わず疑問符を口から発した。


「さぁ、無関心装ってるそっちの二人含めて皆さんご一緒に!! ――」

「えっ、あっ――」

「ええっ?! ――」

「「「「「うおぉぉぉぉおおおッ!!!!」」」」」


 揃え、力の限り叫ぶ5人。

 各々で差異はあれど、促されるままに有無を言わさず叫ばされつつも、叫ぶ途中から全力になる。


「あ~、スッキリスッキリ」

「喉、痛い」

「ごめんごめん」


 常にというほどではないが状況によってはノリの良さを見せるソフィアもしっかり叫んでいて。

 普段あまり声の大きな方ではないうえに叫び続けることがないため少し喉を痛めたソフィアだったが、少し満足げな雰囲気を感じさせる。


「ほら、お水飲んで」

「ありがと」


 アルバを介して加工魔石をほぼ無制限に扱えることを良いことにカードは水を生成する革水筒から全員に水を配る。


「人間だしさ、ストレスは仕方ないけど。こういう誰も悪くない状況だったら叫んで発散しよ?」

「それは良いが……叫んでモンスターが来たらどうすんだよ」

「今回は大丈夫だよ。16のうち12が空だからね」

「?」

「構造的に左と上の扉は全部小部屋だからね、先に開いて敵の有無だけ調べておいたんだよ」

「ふ~ん」

「だからさっき俺連れてウロチョロしたのか」


 循環通路に戻って来た直後の周辺探査のとき。

 経路と構造から同じ場所に戻ってきていると真っ先に察したカードは斥候と称してウォルフリックと調査をし、扉を右手に見たとき手前から2つ目に来る扉を順に確認していた。

 その際に調べたのは下側左から2番目と、右側下から2番目の扉。

 前者は開けて敵の有無を調べ、後者は一方通行の扉のため、そこで戻ってきたことを確信した。

 そうして構造を大まかに把握したカードは先に調べていたループ入り口の隣から反時計回りに扉を開けて調べた。

 上3つと左3つの小部屋はループに囲まれる形をしているため構造からそれぞれ小部屋とわかり、敵の有無を調べるだけなら2人で充分である。


「そゆこと。ダンジョンの感覚変動で認識がおかしくなってる可能性があったからいくつか調べてね、確信がなかったから説明は控えたまま一緒に調べてもらったんだ」

「ま、そういうことなら納得だな。それに俺の仕事だ、理由があるなら説明は事後でもいいさ。最悪なくてもいいけどよ」

「ははは、無茶振りは極力しないから安心してよ」


 笑いながら背嚢から食糧を配るカード。

 ストレスを発散しても状況が悪いことに変わりはないし、それを打破するために考える必要がある。

 思考のためにも雑念は少ない方がよく、飢えを満たすためカードはそうした。


「じゃ、状況の整理しようか」

「そうね」

「まず第1に、この通路に入ってきたあの扉が一方通行で引き返せなくなった。これが現状」

「おぉ」

「第2に、地上に帰るためのルートを見つける。これが目的」

「そうね」

「付け加えるなら……通ってきたルートへの合流ができればこれが1番だけど、最悪地上出入口から西に続く第2通路と通じているルートの発見も視野に含めた方がいいかな」

「? 第1通路じゃ、ダメ?」


 首をかしげるソフィア。

 他のメンバーもレオーネを除いてあまり理解できていないらしく、興味を向けている。


「地図を見て欲しいんだけど。これが今まで俺たちが探索してきたルートね?」

「そうだな」

「大体の探索はしてきて、隠し扉がない限りはここの空白地帯が戻れる可能性のあるエリア。――あ、ここどこかに隠し扉ある……まあそれは今度でいいや」


 地図を見ていて不意に四方を探索済みエリアに囲まれた小部屋があることに気づいたカードだが、本題からそれるため捨てる。


「そっちのエリアは160メートル×240メートルの範囲」

「広いわね」

「もしこのエリアに探索済みエリアと通じている隠し扉がなければ残る候補は2つ」

「俺ら、かなりヤベーな」

「左側は帰れる可能性が低いから放置として、あとは下側。調べてないのは下4つの扉と右側1番下の扉。下側の左から2つ目は敵がいるか調べた時に先に続く扉があった。っていうのが解説だね」


 第1階層は他の開拓兵から情報を得ることで大まかなサイズ情報を知っている。

 縦が50ブロック500メートルで、横が100ブロック1000メートル。

 右上空間は以前既に調べて端が判明している。

 つまり、今残っている右側空間には限りがあるのだ。


「話を戻して、第3に、右側に行くルートを探すか、下側に行くか。これが行動の選択肢」

「? あ、そっか。左4つと上4つと右3つは全部先が塞がってるから右に行くルートは『探す』で、下に行くルートは普通に『行く』なのね」

「まあ、ここに関しては正直どう通じているのかが不確定すぎて地図を見て予測するしかないから選択肢にすらなってないね。選択肢を上げるとすれば……残った5つの扉のどれから調べるか」

「どういうことだよ? 普通にセオリー通り、というか最初の順番通り反時計回りに調べるんじゃないのか?」

「普通は、ね。ただ今は状況が特殊で、行動が『探索』じゃなくて『脱出』なんだよね。だから選ぶべきは可能性の高い扉」


 探索時の取り決めというのは、場合によっては無視すべきだ。

 目的が変わっているのだから当然ではある。


「だからどういうことだ?」

「すまん、俺もわからん」

「えっと、俺の考えとしては本来最後になるはずの右側1番下の扉から順番が良いと思うんだよね」

「そうね」

「理由としては右側だから。残っている扉が行く方向は多分3パターンで、そのまま下方向に行くルートと、迂回して右側に行くルート、それと左に行くルート」

「右に行くルートは迂回するんだろ? だったら右の扉は遠いんじゃないのか?」

「うん。行きたいのは下だからね」

「はぁ?」


 構造を考えると右に行くルートというのは下の扉からCの字状に伸びている可能性が高い。

 とすれば、左の扉ほどルートが短い。

 そう考えおかしいと言うヴィクトワールに、カードは笑いながら目的方向が違うと話す。


「まず、下側には突き進んだとしても必ず第2通路にあたる。合流するか、隣接するだけかはわからないけど、第2通路は徐々に広がる感じらしいから広がり方が少し狭いとしても現在位置からそう遠くはないはずなんだよね」

「??」

「あ~、簡単にいえば右側の扉は範囲が狭そうだから候補を減らせると思うんだよね」

「…………先に可能性を消しときゃ残った扉に調査を集中できる、ってことか?」

「ま、そういうことだね」


 付け加えるなら、右の扉は右沿いで下へ伸びている可能性が高く、右側なら帰ることのできる隠し扉に繋がっている可能性があるからだ。


「ま、独断で選ぶわけにもいかないし。俺が言ったのも『かもしれない』でしかないからみんなで話し合って決めるのが良いと思うかな」

「カードの案でいいぞ」

「私も」

「賛成」

「俺もそれで」

「……あとで責めないでね?」

「うっせー、連帯責任だ」


 軽食を済ませ、右の扉から順に進むパーティー。

 結論をいえば200メートル程度の道のりで元のルートに合流することができた。

 話し合いが無駄と思えるほどあっけなかったが、元のルートに戻ったことを理解した時の安堵は強く。

 そしてそのまま帰り、久しぶりに感じる地上ではオレンジ色の月光が出迎えた。

 なお160メートル×240メートルの範囲は循環通路から通じてる範囲じゃほんの少ししか探索出来ない模様

 残る部分は探索済みのエリアに隠し扉があってそこから探索する


 開拓兵のダンジョン探索はそういうモン

 色々探索して、もう探索し尽くしたなって次に進んで、次のエリア探索の結果未探索領域があるのに気づいて、隠し扉見つけるのに四苦八苦する。っていう

 控えめにいってカス



 てな感じで後書き終わり

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