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3人目の

あれから私は2年生になった。2年生になってより専門的に学ぶことになったから学業というか鍛錬というか…まあそこらが少しきつくなったけど、それ以外は特に変わらないわね。強いて言うなら、一つ上の先輩との共同訓練をしたり、先輩についてもらっての指導が増えたということくらいかしらね。


「ユフィーアちゃん今日はもう終了でいいよ。お疲れちゃん。」


現に私は今先輩から指導を受けている。


「畏まりましたガレット王子。王子こそ、本日はお疲れ様でした。」


私についているこの先輩は、リベルテ公国のガレット・リベルテ公子という方よ。黒に近い茶髪で顔立ちは綺麗だけど、小太りで服装もラフすぎてなんか残念な人扱いされている先輩ね。正直公子と聞いたときは耳を疑ったわ。だってとてもじゃないけど公子とかそういう風には見えないもの。そういうこともあって、他の生徒からは最初はドンマイみたいなことは言われたわね。めんどくさがりなのか人と極力関わりたくないのか、あまり共同訓練の時間も取らないし…。

まあそんな先輩だけど、怪我とかにはきをつけてくれたり、さらっと剣のアドバイスをしてくれたりとなんだかんだで悪い人ではないのかなと思ったりしてるわ。


でも、正直今日の鍛錬は物足りない。まあ今日が長期休業前最後の日だから軽めにというのもあるのでしょうけどね。


「本日はここまでにしましょうか。皆様、お疲れ様でした。」

「今日も駄目であったか。やはりシエリィ殿は強いですぞ」

「そうですわね。私が未だに一本も取れないとは…。」


結局私達はシエリィに鍛錬を付き合ってもらっている。やっぱ全然敵わないわ…。


「ですが皆様、私が初めに見た時から大幅に上達しておりますよ。」


私達…私、ヒナ、カルド、ノア、ネプトの五人が付き合ってもらっているけど、彼女は全然バテているように見えない。

あの日から数日後、ノアが私達のもとに来て「俺を強くしてください。」と土下座で頼み込んできたからシエリィがノアの鍛錬も私のと一緒に見るようになって、そこからはどんどん増えていって…という感じね。彼女曰く「お仲間の方々がいればユフィーア様の刺激にもなりますしから。」と快く受けてくれていたわね。


鍛錬を終えた私達はそれぞれ自分の部屋に戻り各々の時間を過ごす。私は明日魔界に帰省するためその準備をしている。

この学院には夏と冬に長い休みがあり、その期間を利用して私達は自国に帰省しているわ。

といっても、学院からは結構距離があるから滞在期間は短いのだけれどね。

私達は準備を終え、明日に備えて早く休むことにした。






_________________





「やっと帰ってきたわ。やっぱりここが一番落ち着くわね!」


馬車を走らせて私達は自分の屋敷に帰ってきた。

まずは両親や弟に挨拶に向かわないとね。


「やあユフィーア。おかえり」

「お父様。ただいま戻りましたわ。」

「ユフィーアが無事に戻ってきてくれて嬉しく思いますよ。」


両親と弟のカイルが出迎えてくれていた。ちょうど夕食時だったこともあってそのまま色々とお話した。学院のことや仲間たちのことが多いわね。


夕食を終えてしばらくして、私は剣の鍛錬を始めた。腕が鈍ると私も困るし、それに暇だったし…。

流石にシエリィは屋敷では忙しそうだったから付き合ってもらう時間があまりなさそうだったので、こっちにいる間は自主練が主になりそうね。

私が素振りをしていると、一人の男性に声をかけられた。


「こんな時間に訓練とは、お嬢ちゃん随分と頑張り屋じゃないか。」

「お褒めに預かり光栄でしてよ。…ところで、貴方は?」

「ああ、自己紹介が遅れたな。俺はサフィーユ。この屋敷の警護を任されてる者だ。まあ、よろしく頼むぜお嬢ちゃん。」


サフィーユ!?

まさか私が接触したかった人物とこんなところで出会うとはね…。


「そうでしたか。私はユフィーアと申しますわ。」

「ユフィーア…失礼しました!ユフィーアお嬢様!」


彼は驚いた様子で頭を地面につけて下げていた。要は土下座ね。


「気にしなくてもいいわよ。よろしくねサフィーユ。」


そこから、彼と少し話した。

とにかく体がでかい。2m以上はあるのかしらね…。顔は…なかなかに悪くない顔立ちの青髪の男性で背中には大きな剣を背負っているわね。それにこの剣、よく見ると斧にも変形出来そうね。某狩猟ゲームにも似たようなものがあったけどあれに近いものかしらね。私も一時期使っていたことがあるけど、変形する武器ってロマンがあってかっこいいわよね。対象のある係数によって威力を変える銃とか…。

って、話がそれてしまったわね。

どうやら彼は巨人族…オーガやトロールとの混血の魔人で、巨人族の集落の中でも一番強かったらしいわ。巨人族の中では小柄な方だったみたいだけど、どうやら魔人と他種族の混血は通常の個体よりもかなり強くなるらしいわ。理屈はよくわからないけどね。

ちなみに彼はこの屋敷の警護を担当しているみたいよ。正直勿体ない気がしないでもないけど、基本戦争とかしてないからまあそんなものなのかしらね。


「そういえばユフィーア様。先程剣の訓練をされていたようで…申し訳ありませんでした。」

「ああ、そのことね。貴方が気にすることではないわよ。でもそうね…折角だし、剣の訓練に付き合ってくれないかしら?貴方、強いのでしょう?」

「御意」


そう言って私達は剣の鍛錬を始め、気付くと夜遅くになっていて私は自室に戻るのだけれど鍛錬に加えて長旅の疲れや久しぶりの自室の安心感から夏の夜だというのに着替えもせず汗も流さずにそのまま寝てしまい、翌日寝坊してしまった挙句シーツが汗臭くなってしまいシエリィに怒られてしまうのであった…。









_________________







あっという間の夏の長期休業ももう終わりに近づいている。

私達は学院まで長い距離を行かなくてはならないため休業が終わる数日前には屋敷を出なくてはならなかったため、現在私達は馬車に乗っている。

この夏休み、屋敷にいる臣下達に稽古をつけてもらったり、書斎にある本…主に物語を読み漁ったり、デモンディアを治めている他の貴族たちの会合に同伴させてもらったりと色々なことがあったわ。特に他の貴族との会合。ストラエル家やポルオソ家の臣下とは話すことが出来なかったけれど、リザードマンとか種族はわからなかったけどロン毛の美形とかがいたわね。こうしてみると、改めて異世界に来たんだなって実感したわ。

マルセルム殿やアルマルク殿ともお話出来たわ。マルセルム殿は気品のある白髪の老人で私自身話していて好印象を持ったわね。特に、「随分とお綺麗になられましたなユフィーア嬢。」って言われたときは正直嬉しかったわね。素の自分ではないとはいえ、元の世界ではあまりそんなこと言われたことって多くないからやっぱり嬉しかったわ。

アルマルク殿は、青緑色の髪をした目つきの鋭い男性で、年は私より少し上くらいかしらね。野心家で冷酷さはあるけどデモンディアの繁栄をと考えているようには見えるわね。まあポルオソ家は兄弟姉妹が多く後継者争いも苛烈と聞いたから、自然とそうなってしまうのでしょうね。


そんなこんなで学院につき、後期のカリキュラム、そして私の学院生活後半戦が始まるのであった。


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