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目指す道

「ただいま。戻ったわよ。シエリィ」


「お帰りなさいませユフィーア様。本日もお疲れ様でした。」


学院寮の私の部屋に戻ると、シエリィがお出迎えしてくれた。ここに来てからも私の身の回りのお世話をしてくれている。元の世界では一人暮らしということもあって自分のことはある程度自力で出来たのだけれど、異国の地だということで護衛もかねて父がつけてくれたのよね。その結果身の回りのことは彼女がやってくれることになり、正直私が元の世界に帰った時に身の回りのことが出来なくなりそうではある。まあ助かるのだけれどね。察して部屋を出て1人の環境を作ってもくれたりもするし…。本当に私には勿体ないくらいよ。

ちなみに、部屋には本来1人部屋ということもあってベッドが一つしかない。だから彼女は某青いタヌキよろしく広い空きクローゼットの中で寝ている。心配になった私が同じベッドに入りましょうと誘ってもずっとクローゼット睡眠だ。遠慮する必要なんてないのにね…。


「早速ですが、この後はどうなされますか?お食事でしょうか。ご入浴でしょうか。それとも…」


「そうね…。では、付き合ってくれるかしら?」


「はい。かしこまりました。」


そう言って私たちは外の空きスペースに移動した後に剣の鍛錬を行った。










「…本日はここまでにいたしましょうか。」


「…ハァ……ハァ…………そうね……。ありがとう付き合ってくれて。」


「いえいえ。ユフィーア様にとっても大事なことかと存じ上げます。私でよければいつでも鍛錬の相手になりましょう。それでは、私は先に戻り夕食の準備を致しますので暫しお待ちくださいませ。」


そう言ってシエリィは寮の厨房に戻った。やはりというか魔族に対してよく思っていない人間たちも少なくない。そういうところもあって私は皆が夕食を食べ終わった後に食べている。ちなみに、準備はシエリィがしてくれる。厨房の料理人に食材分のお金を払い適当な食材を使っている。大体余りものや廃棄寸前の食材から作ることが多いみたい。でも、それでも彼女の作る料理は凄くおいしい。流石使用人頭もしているだけあるわ…。彼女の作るお菓子を学院に持っていったら案の定評判良かったわね。特にヒナとネプトが絶賛していたわ。




「おや、お戻りになられましたか。それでは、早速ではございますが夕食をいただきましょうか。」


そう言って私とシエリィは料理を食べる。ちなみに今日の献立はパン、ウサギ肉ときのこのシチュー、野菜サラダだったわ。美味しい。


「ユフィーア様。両手で剣を持つことには慣れましたでしょうか。」


「そうね…。これには大分慣れたわ。でも、貴女から一本取るのはまだまだ時間がかかりそうよ。」


彼女、家事全般だけじゃなくて武器まで扱えるなんてね…。それを知った時は驚いたわ。確かに妙に隙がないなとは思っていたけど…。


「さようでございますか。ですが、ユフィーア様の剣の腕は正直なところ私が考えていたよりも早い上達でございます。いずれは私からも一本取ることは容易くなられると思いますよ。本日出された蹴りも、実践で避けられる者は多くないかと…。」


いや、そうは言ってもあの蹴りだって私がキックボクシングやってた時に鍛え上げた切り札みたいなものなんだけど…。そのとっておきを彼女に軽くいさなれたんだけど…。これでも武器の扱いの成績がノアとヒナの次点の3位なんだけどね。


そうそう、私は両手に剣を持って戦う戦闘スタイルよ。かっこいいしね。

別に最初から二刀流だったわけじゃないけど、シエリィに「ユフィーア様は剣速や防御は速いのですが、剣を持ってない方の手が無駄になっております。その手に剣をもう一つ持ってみてはいかがでしょうか。ユフィーア様の剣速や反応の良さを上手く活かすことができると考えたのですが、どうでしょうか」と言われてね。実際やってみたら悪くなかったし、このスタイルで行こうって決めたのよ。




そして夕食を食べ終えた私はお風呂に入ってそのまま眠りについた








__________________________________
















「なあ、お前らってコースはどうすんの?」


数日後、私達は同好会の部屋に集まっているところ、ネプトが皆にそう聞いた


「ああ、そのことであったか。自分は騎士コースにしましたぞ。」

「私も同じく騎士コースですわね。そしてクレハは魔導士コースですわね。」

「私は、迷ったけど学術コースにした。」

「僕は魔導士コースですね。学術の方とは迷ったのですが…」

「俺は色々迷ったし魔導士や学術も悪くないとは思っていたが、騎士コースだな。やはりこれが一番しっくりくる」

「私も騎士コースね。」


「そうか。それなら、ユフィーア、ヒナギク、カルド、ノアが一緒だな。俺も騎士コースだし。」

「ネプト様は騎士というよりは蛮族の方が似合っておりますわね。」

「なんだとクレハ!もう一度言ってみろ!!」


ネプトとクレハが追いかけっこをしているのを私達は笑いながら眺めている。

結局私はノア達と共に騎士コースに進み武器の鍛錬をすることに決めた。これはこの後に来ると思われる破滅の未来への対抗策、要は自衛のためというのが大きいわね。あとは単純に私の適正からよ。

ラファエルとクレハが魔導士コース。レベッカが学術コースのようね。コースに関しては、このグループは大方予想通りの結果となっていたわ。

2年になれば、選択したコースをより深く学び鍛錬し、一つ上の先輩の下について共に修行したりもする。誰につくかは学院の先生方が先輩方と相談して決めるみたいだけど…。3年になれば、自分についた後輩に指導することもあるわね。折角なら私好みの美少年が私の下について私があれこれと指導してあげたいな…とか考えている私がいるわね。正直私好みの美少年に飢えているから、変なことを考えてしまったわ…。


「ユフィーアさん。また何かよくわからないことを考えていらっしゃいますわ…。」


「…え……あ…。き、気のせいよ…。あはは……。」


「いや、気のせいには…まあ、そういうお年頃でしょうし、あまり追及するのはやめておきましょうか。」


「いや、なんでそうなるのよ!?」


私の言葉にヒナが微笑みながらそう言った。まるで自分の子供の部屋からアレな本を見つけた時の表情みたいで正直ヒヤっとしたわ…。










そうこうしていると時間が過ぎ、学院が閉まる時間が近づいた。


「さて、そろそろ寮に行った方がいいわね。それじゃあ、また明日。」


そう言って私達が学院の校門まで歩いていると、複数人のグループから声をかけられた。




「おやおやぁ~?そこにいるのは、お飾り王子とお飾りの腰巾着貴族とエルドラドの小猿共と汚らわしい平民と魔族ではありませんかなぁ~??」


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