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意識の先には

はじめまして。そして、この作品に少しでも触れていただきありがとうございます。

至らない点は多いとは思いますが、頑張って執筆していく所存でございます。どうかよろしくお願いします。

目が覚めた。

今日もいつも通りの日常が始まる。そう思っていたが…


「あれ…。私の部屋、こんなに豪華な部屋だったっけ…?窓の外もなんか暗いし…。というか、私の名前は…?」






______________________________________












そう。私は目が覚めたと同時に、自分の名前が思い出せなくなっていたのよ。

…自分の名前は記憶に霧がかかったかのように思い出せないけど、自分がOLをやっていることはちゃんと思い出せるわね。


私は、まあごく普通のOLとして生きている。他に特徴を挙げるとするならば、アニメや漫画やラノベやゲーム。それにかわいい美少年が好きな、俗にいうオタクと呼ばれる人種。それが私である。


私はとある一般家庭に生まれた。父はサラリーマン、母は少し年の離れた叔母が営んでいる自営業の飲食店のお手伝いをしている主婦である。子供である私たちも、偶に手伝いに行ってたわね…。

兄弟には兄と妹がおり、兄妹仲は悪くなかったと思うし、経済的にも、親からの愛情的にも、それなりには恵まれたほうではあると思う。現に、3人とも大学に行かせられるくらいの余裕はあったし、オタク趣味についても特に何も言ってこなかったし、文武両道な兄や学業優秀な妹と比較されて悪く言われることもなかったからね。

中学生の頃、宿題の読書感想文に書く本に困っていたところ、兄の部屋からこっそり拝借したラノベの感想を書こうと思い読んだら、これが大変面白く、気づいたら読書感想文のことを忘れてラノベを読み漁っていたわ。思えばこれが始まりで、それ以来私はオタク街道を駆け抜けていったわ。

大学を卒業し、就職してOLとなった今、私は実家から少し離れたアパートで一人暮らしをしている。

恋人もおらず、友達もそこまで多くはないため、休日は家でゲームやアニメ等を嗜むか、気の合うオタク友達や兄や妹とオタク街に出て遊ぶか。それくらいね。



そんな私が、ここで目が覚める前、仕事を終え、いつも通り私の選りすぐりのかわいい美少年たちと一緒に晩餐会…という名のパソコンの前でお気に入りのアニメキャラ達を見ながらの晩酌をするべくスーパーで色々と購入した後に家に帰るその途中、空腹に耐えかねた私はコンビニに寄ってホットスナックをいくつか購入した後すぐ隣の公園のベンチに座りホットスナックを食しスーパーで買ったビールを口の中に流し込む。

そうしたら意識が朦朧としてきて気がついたら先ほどの状況に至る。というわけよ。


とまあ余談はこれくらいにしておいて、本題といこうと思うわ。


先ほど言ったとおり、今私がいるこの部屋は私の部屋ではない。そして、この部屋の窓を見てみると、真っ暗というほどではないけど、やや暗い。そして、空の色も私の知っている色ではなくて、どういうわけか紫がかっているのよ。まるでファンタジーゲームの魔界の空みたいな?まあとにかく、空の色がなんかおかしいのよ。


流石におかしいと思った私は、ベットから起き上がって正面のすぐ横にある鏡台をのぞき込む


「…え?嘘よね……!??」




すると、そこにはもちろんいつもの見慣れた私の顔……ではなく、自分ではない全くの別人の顔が鏡には存在していた


やや癖毛であり雪のように白い色をしたのボブカットに、まだ幼さは残るものの高飛車そうではあるが整っている、それでいて気品も感じさせる顔立ち。それに二本の角。まさにアニメや漫画に登場しているキャラクターみたいな姿が鏡の中にあった。

ふと目線を少し下にやると、本来私にはなかったはずのものであるそれなりに豊かな胸部がそこにはあった。それでいて腰周りにはくびれが存在しており、均整の取れた体つきの持ち主であった。

本来の私は全体的に線が細かったため、豊かな胸部は自分にはなく、正直羨ましいと思っていたわね…。


と思ったのと同時に、私の疑念は確信に変わる


どうやら、本当に私は本来の世界とは別の世界に行ってしまったようね。

どういった理由でそうなったかはわからないけどね。


問題は、私が今いるこの世界は、いったいどのような世界なのか

つまり、ここが私が知っているアニメや漫画、ゲームの世界なのか、それとも私の知らない作品の世界なのか、或いは何かの作品の世界ではない異世界なのか


実を言うと、ここが何の世界なのか、一つ心当たりがある。


先ほど鏡を見た時に、鏡に映った自分の姿にピンときたのよ。

私が最近読んだ漫画のキャラクターにそっくりだったわ。まあそっくりといっても、私の記憶に存在しているそのキャラクターの容姿とは、少し異なっているのだけどね。


それに、そのキャラクターの生い立ちや住んでいる場所、種族を考えると、確かに私の心当たりと一致する。

でも、やっぱり容姿の乖離が…いや、あの作品は数話限りの短編漫画で過去とかの掘り下げはなかった。だからここは過去の時系列の世界、それなら辻褄が…


とか考えていると、部屋の扉からノックが鳴った


「あ、どうぞ~」


そう言うと、「失礼します。」と言いながら、一人のメイドが入ってきた。


やや白みがかった水色のウェーブロングの髪型で、ロングスカートのメイド服と十字架のペンダント、そして物腰柔らかそうな印象のある細い目の笑顔のメイドだ。


「おはようございます。ユフィーアお嬢様。もうすぐ朝食のご準備が出来ますのでお迎えにあがりました。」


そう。私の疑念は確証に変わった。


ここは短編漫画『強欲の代償』の世界であり、私はその漫画の主人公、ユフィーア・フォン・テスタロトになっていたのだった。



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