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本格的な戦いはまだ先
グエンの視界が暗い暗黒に染まったとき、グエンの視界の左上に緑の細い線と紫の細い線が上下に平行して並んでいる。グエンの脳内に再び無機質な声が響いた。
『心理武装・ヘルヴァーナ起動。マスターノ生体登録開始シマス。』
「な、なんだ? これは…?」
男でも女でもない無機質な声とは異なり、今度は無機質な女性の声だ。
「ヴァァァァ!」
急激に身体の力が抜けていく。思考のまとまりもなくなり、緑の細い線と紫の細い線が一気に残り僅かまで小さくなっていた。これが何を現しているのか、意識が薄れて今にも倒れそうなグエンにはどうでもよくなっていた。
漆黒の馬に暗黒の翼を生やした姿のペガサスを睨み付け、ハーピィどもやキマイラ連中にも警戒しているが、聖剣を引き抜いた瞬間に疲労困憊。
「死んでたまるかよ!」
ギリッと歯ぎしりし倒れそうな身体に力を込める。
薄れていく意識の中、再び無機質な声がグエンの脳内に響いた。
『肉体ヲ最適化シマス。シバラク肉体ヲ自動デ操作シマス。』
その声と共にグエンの意識は闇に沈んでいった。