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引き抜かれた聖剣
先に聖剣を引き抜こうとしたスヴェンに宿る朱い光りを操る力がハーピィ数体に直撃し行動不能にさせている様をオレは視界の端に入れつつ、煌めく刃の聖なる剣。その持ち手に触れる。
「オレに力を貸してくれ……。もうオレの身体がどうなったって構わない! だから!」
『力ガ、欲シイカ?』
オレの脳内に男でもない女でもない無機質な声が響いた。
「誰でもいい。力が必要なんだ!」
『ナラバソノ精神之写鏡之剣ヲ引キ抜クガ良イ。』
「ココロの写し…?はあ、なんて?」
謎の声が聖剣を引き抜けば力が宿るって言っているが引き抜こうとするだけでも力が手にはいるのに意味があるのかと疑問をオレは抱いた。
『ウダウダ悩ムナ、ソレデモ男カ?』
オレは内心で謎の声にイライラしながら聖剣を引き抜いた。それと同時に聖剣の白刃が漆黒の闇に染まり、暗黒の旋風が吹き荒れオレの視界さえ闇に包まれた。