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飯テロ①新たな出会いと駄目押しメニュー

物語に美女は必要不可欠です。

そしてレシピ無駄に大量投入。

店は完全に子供達、シスターで回るようになった。最近は暇を持て余して、肉確保もかねて狩りしたりする日々を送っている。因みに明記し忘れていたが、孤児院を初めて訪れた翌日、町の外れに小さな家を買った。田舎だからかなり安かったので奮発した。まぁ、岩塩はまだまだ豊富にあったしね。この小さな家をベースに必要な時だけこっそり孤児院に行く生活。あの役人はガラ悪小麦野郎がチクったから知っていたが町の人たちで俺が出入りしていることを知っているのは少ないはずだ。


さて、ある狩の日、いつもより森の深くに入りすぎてしまい引き返さなければと考えていたら獣のけたたましい呻き声が聞こえてきた。

瞬時に走り出すこだま。

慌ててこだまを追いかけると、行き止まり、崖を背にした場所で狼みたいな獣の群れがボロボロの女性を相手に襲い掛かろうとしている。動物園で見た狼より数倍でかい。

余りの大きさに怯んでいると、こだまが手を挙げなにやら呟く。途端にブワッと風が起こり、女性に一番近い狼の首が落とされた。

やば、魔法やっば!

慌てて負けじとボウガンで参戦。最近矢の訓練に力を入れているから、大分スムーズに連射できるようになった。テンポ良く矢を放っていき、あっという間に獣たちを全滅させた。

警戒をゆるめず、女性に近づいてみると耳のとんがったいわゆるエルフな女性だった。

ドロドロだけど淡い黄色の髪、端正な顔立ち、日焼けしたことなさそうな肌がうかがえる。ど美人ですね。

しかし身体中傷だらけ、服だったのかなー?っていう布切れ纏って、見えちゃいけないマイッチング(古!)な場所が見えちゃってます。右肩から手首にかけては淡い色の模様が見えます。おしゃれかな?

って!紳士なら見ちゃダメ。絶対。

心の良心の声が一瞬聞こえずガン見してしまった。

慌てて「どこでもYEAH」から毛布と水を持ってくる。

え、「どこでもYEAH」久々登場かって?いえ、毎日使ってますよ?

治安がアレな町では家一軒持ってても安心して寝れないですからね。

毛布をかけると、すかさずこだまが俺を助けてくれたあの黄色に光る魔法で癒し始める。

あれ、凄いから傷はきっと大丈夫。


「ゔ…ゔゔ…。」

「大丈夫か?」

「み…みず…」


目を覚まし、こだまに差し出された水をあっという間に飲み干した女性は漸く周りを見渡す。

そして、俺の存在に気づき「ヒッ」と怯えた目を向ける。


「楽、怖くない。大丈夫。」

「あ゛…、イ、イヤ…人族…。」


俺を見て異常に怖がり、そのまままた気絶してしまった。まさか、人族の実被害なのだろうか?

とにかく家に連れ帰る。翌日目を覚まし、俺をみてまたひと騒ぎあったが今は落ち着いている。

まぁまだ全力で俺に怯えていますが…。

そして、こだまに事の顛末を教えてくれた。

曰く、エルフの女性は親友と森で狩りをしている時に人族に捕まり、拉致された。

奴隷として売りとばす前に、楽しもうといやらしい目を向け迫ってきた。

慰みものにされるくらいならと命を断った親友。

事切れた親友の体を弄ぶ人族。

自分も命を絶とうとしたが売れなくなっては困ると、回復魔法を使われた挙句のひどい暴行。

しかし次第に激しさが増していき、ついに回復魔法をかけても意識が戻らなかったことから死んだと勘違いされ、気がついた時には森に捨てられていた。そうして森を彷徨ってきたが獣の群れに襲われ今度こそダメかと諦めかけた時にこだまが現れたらしい。

人族が忌嫌われる理由を目の当たりにし、言葉にならない楽。

糞人族どもめ。


「私の名前はリア。こだま、あなたは命の恩人だ。獣に襲われた時は、魔力が尽きていてもうダメかと思った。

エルフ族は基本魔法も狩りも得意だ。この力、あなたのために役立てたい。可能ならここに置いていただけないだろうか。」


大変な目にあったってのに…、強い人だな。

男はもう見るのも怖いはず。しかも俺はみためこそ人族。それでも恩人に仕えることを選ぶとは。

きっと俺はトラウマえぐっちゃう存在なんだろうなー。

うん、節度を持った距離感心がけよう。


こうして、我が家に初めて新しいメンバーが加わることとなった。

リアは言葉の通り狩りがすごく上手だった。子供達を指導しながら定期的に肉を調達してきてくれる。血抜きも解体も上手で、質の良い肉がタダで手に入るように。やったね。


しかし、この事件で人族へのお仕置きを忘れていた事を思い出した。そろそろ王都に向かい時かな。

そうとなれば、しばらくこの町を離れることだし、孤児院にとどめの一手、新メニューを残していこう。やるなら徹底的にだ。


「そろそろ新メニューを取り入れようと思う。まずは【びっくりピーマン】だ。」


久々訪れた孤児院で生徒達…いや、子供達を前に宣言する。


「おじちゃんもうじゃがいも使わないの?」

「もちろん使うぞ。じゃがいも食堂だからな!」


【びっくりピーマン】


材料

(アリゴ)

・じゃがいも

・バター

・にんにくのすりおろし

・チーズ

・牛乳

(びっくりピーマン)

・ピーマン

・卵

・挽肉

・塩

・胡椒


まずはじゃがいもを茹でてマッシュポテトを作る。鍋にバター、にんにくのすりおろしを入れ香りが立つまで炒める。香りが出てきたらチーズ、牛乳を加え、チーズが完全に溶けるまで混ぜる。チーズが溶けたらマッシュポテトを加え、全体が混ざればアリゴの完成だ。


続いてピーマン。種を取るのって面倒くさいよね?でも実は…ヘタの部分を親指でグーって押し込み、ひっくり返して中を捨てると、あらびっくり種が全部取れちゃってるー!


「わーすごい、簡単に種が取れる!」

「おじちゃん見て見て!私にもできたよ!」


このように子供にも出来るくらい簡単だから是非一度試してみて欲しい。

さて、くり抜いたピーマンに卵の白身に塩胡椒で炒めた挽肉を混ぜたもの、アリゴ、卵黄、最後にアリゴで蓋をフライパンで焼く。全体に焼き色がついたら完成だ。


「切るとトロトロの卵が出てきた!」

「チーズが入ってるからじゃがいもすごい伸びる!」

「肉が卵白で固められて食感も面白い!」

「そう、このピーマンは食感がびっくりなメニューだから【びっくりピーマン】。メニューを考える時は楽しさもポイントなんだぞ。楽しいとまた食べてみたいってなるだろ?」

「本当だ!俺もう一個食べたい!」


お調子者、お喋り上手の猿少年フィンが即座におかわりをアピールする。

メニュー開発のポイントを実感を交えて学んでくれいているようだ。


「次はトマトを使った料理。これもピーマンと同じ中に入れる料理【トマトファルシ】。今度は楽しいじゃなく可愛いメニューだ。」


【トマトファルシ】はフランスの定番料理の一つだ。女子人気を狙ったお洒落メニューを考えたら、フランス料理お洒落じゃない?と考えての一品だ。


【トマトファルシ】


材料

・アリゴ

・トマト

・玉ねぎ

・挽肉

・バター

・オリーブオイル


トマトのヘタを後で蓋にすること意識して切り落とし、中をくり抜く。

みじん切りにしたトマトの中身と挽肉を塩胡椒で炒める。

アリゴに炒めた具材を混ぜ合わせ、くり抜いたトマトに戻し入れ、ヘタの部分で蓋をする。

オリーブオイルを塗った鉄板に並べ、上にバターをちぎって乗せ、さらにオリーブを回しかける。

180℃のオーブンで30分焼けば完成だ。


「わーかわいい!」

「こっちはチーズの伸びる感じがいっぱい楽しめる!」

「そう、こっちはかわいいがテーマだ。ピーマンはいろんな食感が楽しい。トマトのほうは見た目が可愛くて女の子とか好きだろ?」

「うん、私こっちの方が好き!」

「女性は見た目にこだわる人多いからな。誰に食べてもらいたいか考えながら作るってのは大切なんだぞ。」


ブームを狙うには女性人気を獲得できるかがポイントだ。この辺を狙えるようになればこの店は王都でも通用する店になるだろう。是非頑張って欲しい。


本当はこの2品がとどめの一手だったが、徹底的に小麦粉を潰すなら、パンは避けては通れないのでは?ということで、【じゃがいもパン】も伝授した。

膨らみにくいじゃがいもパンはベーキングパウダーかイースト菌が欲しい。

そう考えてまず天然酵母。


【天然酵母】


材料

・りんご

・砂糖

・水


消毒した瓶…はなかったので壺に皮を剥いたりんごを角切りにし、砂糖、水を入れ2・30度の暖かいところに置いておく。かまど近くに置くことにした。

あとは1日2・3回かき混ぜながら1週間寝かせれば完成。

瓶ならカビてもすぐ気づけるが、壺なのでカビには細心の注意を払った。

最初はカビることもあったが、何度かトライしたら上手に作れるようになった。

これでふかふかなじゃがいもパンが作れる。


【じゃがいもパン】


材料

・じゃがいも

・塩

・片栗粉

・小麦粉

・天然酵母

・牛乳

・砂糖


じゃがいもでマッシュポテトを作り、塩、片栗粉、小麦粉、天然酵母、牛乳、砂糖を入れてよく捏ねる。しっとりまとまったら1時間くらい寝かせる。後は一口大に丸めて、180℃のオーブンで20分焼くだけ。もちもち【じゃがいもパン】の完成だ。

次戻ってきた時、小麦の存在がどうなっているか、実に楽しみだ。

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― 新着の感想 ―
[一言] 飯テロと言うか...お料理wikiですね...。思てたんと違いすぎて...
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