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飯テロ①そうだ、飯テロで嫌がらせしよう。

「目には目を。食べ物には食べ物を。」とハンムラビ法典に刻まれてましたよね?

当面の資金は異世界ものの定番、塩を売って稼ごうと思う。他に思いつかないから。と言っても地球の塩ではない。家にあったのはもうとっくに使い切っちゃったからね。

実は準備の一環として森で岩塩をゲットしていた。しこたま採取して、こだまに収納してもらっている。

何を隠そう、こだまアイテムボックス持ち。こだま様々です。

俺の「どこでもYEAH」もある意味アイテムボックスだが悪目立ちするので、こだま収納に入れてもらっている。アイテムボックスは結構レアなスキルみたいだけど、いきなり目の前にドアが現れるよりは怪しまれないはずだ。


塩を買ってくれそうな店を探しながら町を歩いていると、物騒な現場に遭遇。


「π$#△(そんな塵と俺様の小麦を一緒にするな!)」


ガラの悪いイタチっぽい男と、ネズミっぽい男が執拗に蹴り付けているその足元にはガリガリのハリネズミっぽい少年が小さく丸まって、痛みに耐えている。

少年の周りには小ぶりなじゃがいもとじゃがいもを入れていたであろうカゴが転がっている。

ぐしゃり。男達は構わず散らばったじゃがいもを踏み潰していく。

外道が。

そう思うより先に、背負っていたボウガンでイタチの腿を撃ち抜いていた。


「⌘×∃□(い゛でぇぇぇえ゛ーー!)」

「△○&%α(え、な、なんで人族がここに…!?)」


糞人族と間違われている気がしたので、失礼なネズミの方の腿も撃ち抜いてあげました。


「楽、人族じゃないって?」


悲鳴を上げて転げ回るガラ悪さんに、呑気に答えるこだま。

その後ろからボウガンを構えたまま見下ろす。


「◆π$#%ヒッ、わ、悪かった。い、命だけは…。)」

「なんでその子いじめるの?」

「ς▲◆π$(え、子供ってガキ…か?)」

「うん。」

「▼△○&%α(そ、そうだ!元はそのガキが悪いんだ!孤児院のやつのくせに、うちの小麦を譲れって。しかもクズ野菜と交換しろってんだぞ!)」


要約するとこの子は孤児院の子で、妹がお腹空きすぎて死にそうだから小麦屋さんに自分たちで育てたじゃがいもと交換して欲しいって懇願しにきたんだと。なんと、ガラ悪さんたち小麦屋さんらしい。チンピラじゃなかったのか。で、ガラ悪さんたちは孤児院に売る小麦はねぇってなもんで丁重にお断りしたそうだ。丁重に。

事情を粗方聞けたのでシッシッってガラ悪さんを追い返し、少年の元にいくと、少年は痛みに耐えながらもじゃがいもを必死でかき集めている。


「ねぇ、そのじゃがいも売ってくれる?」

「∃□◉⊆∮(え、買ってくれるの?)」

「楽が買いたいって。」


じゃがいもは久しく食べていない。ここ最近は狩りでしとめた肉中心の食生活だった事だし、哀れな少年をみて、何となく買い取ってあげようという気になったのだ。買取を提案してみると、驚きつつすごく嬉しそうな顔をするハリネズミ少年。しかし、じゃがいもはかなりの数踏み潰されてしまっていてあまり数が残ってなかった。滅多にない買い手に、孤児院に戻ればまだあるからって必死に懇願してくるハリネズミ少年。しかたなく連れだって孤児院へ向かうと、本日2度目となる物騒な現場が待っていた。


「◆π$#%(いい加減出て行け!お前らみたいなのにこんないい場所もったいないんだよ。)」

「○&%ασ(ここはうちの先祖代々の土地くま。取り上げられると思ったら大間違いくま。)」

「π$#●⁑&(でも金を返すあてはないんだろ?)」

「ς▲◆π□(まだまだ期限は先なんだくま。邪魔だからあっちいくくま。)」


孤児院かなー?

なに言ってるかわからないけど、地上げかなー?

と眺めていたら、中からガリガリのウサギ少女が飛び出してきた。


「ασ(マイキー!)」

「#%&⌘(あぁん?誰が出て来ていいって言ったかなぁ!?)」


飛び出したウサギ少女をハイエナは漫画みたいに綺麗に蹴り飛ばす。

はぁ。イキっている人ってなんか見苦しいよね。

躊躇なくハイエナを撃ち抜く。俺は優しいから今回も腿で許してあげたよ?


「∃□◉⊆∮▷▼△○&(な、なんだ!?俺が何したって言うん…だ…!?)」

「こだまたち孤児院に用ある。お前目障り。」

「$#%(な…凄い魔力…!?)」


んん?ボウガンでビビったのかな?凄く怯えてるよ。


「▲◆π$#%&⌘×(そ、そうだ!こいつらには借金があるんだ!100万リロだぞ、100万!返せないんだから、ここは俺たちのもんだ!)」


こだまに聞いたら、この孤児院には借金が100万リロあるんだと。

100万リロって日本円でいくらだろう?

まぁ、でも俺たちには何も関係ないけどね。


「こだまたち、ここにじゃがいも買いに来ただけ。お前邪魔。帰って?」

「▼△(な゛…。)」


そうしていろいろ丁寧にお願いしたらダッシュで帰ってくださいました。


「○&%(チッ覚えてろよ!)」


小物特有の決め台詞を吐ってるっぽい口ぶりで何か呟いてたけど。

たっぷり哀れみの視線を送っておいた。

そして、怯えた様子のくまと子供たちを物ともせず、ずかずか孤児院に上がり込む。


「∮▷▼(あ、あの…。)」

「楽、人族違う。」

「●⁑#%&(え、あの、そうなのくま?てっきり…。)」

「こだまたち、じゃがいも買いに来た。」

「◆π$#%(そ、そう。勘違いしてごめんなさいくま。)」


わかりやすく気まずそうにするくま。


「⊆∮▷▼△○ασ(私はこの孤児院のシスターくま。じゃがいもを買いに来たそうですが、生憎あまり良いじゃがいもがないくま…)」


案内された食糧庫は貧相な野菜がいくらかと、小ぶりなじゃがいもが山積みになっていた。

あまり育ちが良くない感じだ。

シスターも子供も全員ガリガリ。明らかに、食うのに困っている雰囲気。


「食料はこれだけ?」

「%&⌘×∃□◉(この孤児院にあるのは、それだけくま。)」

「みんなガリガリ。ご飯食べてないの?」

「▲◆π(…その、十分に買うお金がないくま…。)」

「そのじゃがいも売っていいの?」

「&⌘×∃(いいくま。…どうしても小麦が欲しいから。)」

「小麦?」

「π$#%(マイキーの妹のシェリーに食べさせたいの…。もう最後のチャンスかもしれないから…。)」


どうやらハリネズミ少年の妹シェリーが死にそうなのだと。

最後に大好きなパン食べさせてあげたいと、なけなしの食料と交換しようとしていたらしい。

色々話を聞いたら、孤児院は町では結構虐げられてて、食べ物も値段を相当釣り上げられてしまうのだと。ただでさえ資金不足なのに、雀の涙ほどしか食料を買う事ができない結果、みんなガリガリ。餓死しそうなほど弱ってる子もちらほら。そのシェリーってのは幼いから限界が近いのかもしれない。


何だろう。むかつくな。

自分と同じように虐げられている孤児院の状況に同情しちゃったのかもしれない。

小麦野郎に、そして虐げる町の人たちに嫌がらせしてやりたくなってきた。

食べ物には食べ物で報復を。小麦至上主義には、じゃがいもの価値を爆上げして小麦粉の価値を暴落させてやる。あのガラ悪小麦やろうの悔しがる顔を拝んでやろうじゃないか。

飯テロじゃー!!

飯テロって本来そういうものじゃないのでは…なんてことは誰も突っ込んでくれない。

もしかしたら飯テロは人類が作り出した最大の武器かもしれない。後の楽はそう語ることになるのだが、この時はまだ呑気な嫌がらせ気分だった。


「じゃがいも、野菜、全部買う。でもこだまたちまだお金持ってない。これ売ってきて欲しい。」

「Σς▲◆π$(それはいいくまけど…。でもそんなじゃがいもでいいくま?)」


売るつもりだった岩塩を代わりに売ってきてもらおう。通訳してもらいながら売るのは手間だし。

シスターに大量の岩塩を渡すと相当驚いていた。上質な岩塩らしく、かなりのお金になるそうだ。

換金した金でついでにバター、牛乳など足りない食材もいろいろ買ってきてもらおう。

そして岩塩を換金してきてもらう間、子供達に手伝ってもらって買い取ったじゃがいもと野菜を調理することに。

前段がダラダラ長くなってしまったが、漸く飯テロ。と思いきや決意のみ。テンポ良くまとめるってむずいな。

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