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マチェール王国・パタタ町

取り敢えず町に向かってみます。

長くなってしまったがご理解いただけただろうか、俺が憤っているいる理由は?

順風満帆な人生を突然奪われ、しかも人族が忌み嫌われる世界。見つかった途端殺されかけたのだ。

なにより、俺の結婚を踏みにじりやがった!最後のチャンスだったのに!!

必ず帰る方法を探し出して幸せな家庭を築くんだ!


「ってか、自分勝手やった人族にもムカついて来た。そいつらが好き勝手やったせいで俺があんな目にあったってことだろ?あのバカそうな高校生召喚して何企んでるかも怪しいな。」


心の回復と同時に、恨み節もすくすく育った。


「糞人族にはたっぷり嫌がらせしてやること決定として、さて。人族と間違われるのは心外だか、間違われた場合の防衛考えなきゃな。その上で金を稼いで食材とかを手に入れる術を構築しなくては。」

「武器?」


お気に入りのサロペットスタイルでアウトドアチェアによりかかり、こだまが聞いてくる。


「察しがいいな。そう、武器だ。そしてそれはもう持っている!ジャジャーン!」


取りいだしたるはシックだがシンプルでかっこいいボウガン 。

以前海外のウォーキング系ドラマで男の中の男がメイン武器にしていたのを見て一時期はまっていたものだ。

小学校の頃親の仕事で海外で暮らしたこともあり、日本ではそこまでメジャーでなかったが、アーチェリーを嗜んでいた。そんなわけでボウガンもそこそこ上手いと自負している。


「何それ?」

「これはな、ボウガンって言うんだ。こうやって…」


5m位先の木の幹に、矢を放つとど真ん中に刺さった。


「弓矢みたい。」

「そ、弓矢みたいなもんだ。ただ問題は、使い切っちゃったら矢が補充できないことか…。」


幹から矢を回収しながら呟くと、こだまが木を魔法で削って再現してみせた。


「おぉ、こだますごいな。でも流石に羽の部分まで木製だと重心がブレてダメだな。やっぱ羽は自作できるようにならないとか。」


解決の糸口を見つけ、それからしばらく体力強化と矢の大量確保、ボウガンの練習で狩などに勤しんだ。

やってみて分かったが、そこそこ上手い位じゃボウガンは実践では通用しなかった。

そこで食材確保と羽の補充のため鳥多めで特訓の日々。鳥の方が難易度が高く結果よい練習になった気がする。更にこだまのレクチャーの元、痺れ薬の元となる草を使った痺れ矢、眠り薬の元となる草を使った煙玉など、変わり種もいくつか作っておいた。

準備に数ヶ月を要したが、今ならゾンビの世界でもやっていける気がする。


さて、改めて町チャレンジ。

あまり思い出したくない暴力事件だが、ひとつ覚えていることは、言葉が通じなかったということ。

ロリ女神イベント経てないから仕方ないか。

あの高校生は通じてた気がするが、それも魔法なのかな?


「ってか、こだまはなんで言葉通じてるの?」

「こだまはどんな言葉もわかる。」

「文字は読める?」

「読める。いんたーねっとも読めてる。」

「お前天才じゃないか。もしかして言葉がわかるようになる魔法とかってあるのか?」

「聞いたことない。」

「残念。まいっか、こだまがいるんだから。」


言葉問題はこだまでなんとかなりそうだが、こだまと会話内容をこっそり相談できる方法があるといいな。

相談してみたら、こだまは頭の中の声聞くことができるし、話しかけることもできるって。

試しにやってみたら、念話みたいに会話できた。

あらいやだ、スパイみたいでワクワクする。

もう、こだまがいれば無敵じゃないですか。


「時は満ちた。いざ、出陣だ!」


無駄に声を張り上げ自分を奮い立たせる。

再び森を出て、あの忌まわしい街道を1日程南下したところに町はあった。

若干緊張しながら踏み入れた町は、こだまが一緒だったからか、問題なく入れた。

転移から数ヶ月が経ち、髪が伸びて俺の顔が隠れがちになったのも功を奏したのかもしれないが。


「□$▷+>”#(こだま君っていうの。かわいい格好ね。)」

「αΣς&%▼□(よく来たね。ここはマチェール王国の南側にあるちいさい町、パタタよ。)」

「▷▲σ”&ς&%(見ての通り、畑ばっかしかない町だよ。小麦や野菜が欲しければ、市場で買えるけど、ここでも売ってあげるよ。)」


典型的な自給自足の貧乏町で、これと言って目玉の産業もない。

自分たちで作れないものは王都からくる商人から購入しているが、結構高いので最低限のものしか買わないようにしているらしい。


「πα&%+●⁑<>□(こだまは5歳か。うちの子と一緒だな。学校にはいくのかい?。)」

「▲◉σ”#&$≧(うちは余裕ないから、学校には行かせられないんだ。早く仕事覚えてもらわないとだからな。)」


異世界あるあるで学校がない、なんてことはなく、基本子供は5歳から15歳まで学校へ通い、そのまま高等教育へ進むか就職するかを選ぶようだ。この町は小さくて流石にないが王都の学校に行くそうだ。ただ、教育は義務ではないため経済的に余裕がない家は学校に通わず家を手伝っているらしい。

そこはかとなく感じる後進国感。経済的に余裕がないと教育が行き届かない。教育が行き届かないと稼ぎにくい。どこの世界でも悩みは一緒ですね。

したがって治安はそこそこ。騎士が暴力振るう世界ですから、正義の定義は緩め。民度に難ありの町でした。


それより、こだま5歳だったんだ。身長は2・3歳くらいなのに。

君は種族的には何になるんでしょうか?

知らない?うん、そうだと思ってました。

心読まないでもらっても良いですか?


こだまは学校行かれると困るから、勉強は俺が教えていくか。ってか最近こだま、気になる事があればネットで調べてる現代っ子だから、勉強の必要はなさそうだが。むしろ必須なのは、俺の語学勉強。この歳から勉強とは…。


この町のことはいろいろ分かった。だが肝心の人族の情報は皆無だった。人族は忌避する種族、交流があるはずもなく、殆ど知らないのだと。ただ、王都の方では定期的に争いがあるらしい。

王都に行って聞き込みしないことには帰る方法にも辿り着けないのか。

まぁ、王都はゆくゆく目指すとして、無事町には入れたので、次は生活の拠点探しといきますか。

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