禁断の兵器を手に入れます
新しい調理法を手に入れたようです。
「エティ、折角だから鬼ごっこしながら行くぞ!」
「遊びながら探検だな!面白そうだぞ!」
折角だからダイエットしながら出口を探そうと思う。歩いていたらいつたどり着けるかも分からないし、時間短縮も兼ねてね。言い方を変えればエティも積極的にランニングしてくれる。ちょろいものだ。
走りながら、たまにちょっと壊しちゃったりもしながら、どんどんいろんな部屋を見つけて行った。前日見付けた仮面やら朽ち果ててたベッドらしきもの、食器らしきもの、本らしきものなどを見つけたりした。仮面以外はどれも石化してて、形から判別するしかないものばかりだった。たくさんの人が住んでいたことは伺えたが入り口の日本語の謎に繋がるものは見つかっていない。
気がついてみれば数日経っていた。
「出口見つからないな〜。」
「楽!食べ物!」
ボヤいていたら未だ元気なエティが、一際大きい部屋にたどり着き、りんごを拾って戻ってきた。
「拾い食いはダメだぞ!ん…エティそれ貸してみ。」
エティから受け取ったりんごはからっからに乾いていた。しかし、石化はしていない。部屋に入ってみると、りんご以外にもいろんな果物が落ちていて、そのどれもが乾いている。時間がかなり経っているようで触るだけで崩れるものが殆どだったが形を維持しているものもあった。そして部屋の奥には、埃まみれの巨大な箱が置かれていた。埃を払ってみると、めちゃくちゃ細かい文様がビッチリ描かれている。デザインは気持ち悪いが…。
「これって…もしかして!?」
その箱の正面は全面が扉になっていて、開けると鉄の網棚で区切られている。そこにも乾いたりんごが残されていた。箱の上部には3つのボタンが付いていて、日本語で「冷却」、「真空」、「乾燥」の文字が刻まれていた。
「これ、絶対フリーズドライするやつだよね?」
そう、あの宇宙食とかを作るフリーズドライ機、別名、真空凍結乾燥機だった。フリーズドライはざっくり説明すると、食材を冷却→真空→乾燥の順で処理してからっからにすることで、長期保存を可能にする1950年頃から研究開発された技術だ。近年では医療や東日本大震災の津波で泥だらけになった古文書などの泥を除去するためにも活用されていたりと進化している。精子のフリーズドライ保存も実験されているとかいないとか。実に未来的な技術なのだ。昔家庭用ってあるのかな?って調べたことがあって、購入できる店を見つけたことがある。ただ、とても手が出る価格ではなかった。あの時みたやつより大きそうだからこれは業務用だろうか?もしかしたらここは転生してきた日本人がひっそりと暮らしていた集落なのでは無いだろうか?現代の技術を再現したか、一緒に転生してきたかで、保存食作りつつ生きながらえていた。とか?
「真相は分からないが、俺たちは危険な物を見つけてしまったかもしれないな…。」
「楽、悪い顔してるぞ!」
えぇ、にやにやが止まりませんよ。食産業革命起こっちゃうよ、これ。
他にも掘り出し物はないかと探して回ったがこの箱だけしか見つからなかった。
「ここで住人達が滅びたか、はたまた大きすぎてこの機械だけ諦めてこの地を去ったのか。謎は深まるばかりだが…エティ、食材もなくなってきたし、そろそろ帰るぞ!」
「すごいぞ!楽、帰り方わかるのか!?」
「もちろんさ!まずは…おやつだ!」
そう言って、卵と砂糖とさつまいもでんぷんを取り出す。今から【クラウドブレッド】を作るのだ。
「おぉ!おやつ!いっぱい食べるぞ!!」
俺たちはダイエット中なんだけどねぇ…。ま、気を取り直して早速調理。
ちなみにさつまいもでんぷんはすり下ろしたサツマイモを絞って乾かす、さつまいも版の片栗粉だ。片栗粉でもいいが、甘いものを作るのだしこれにした。
【クラウドブレッド】
材料
・卵白
・砂糖
・さつまいもでんぷん
ボウルに材料を全部入れ、泡立て器でひたすら混ぜる。固めのメレンゲ作りだ。メレンゲができたら鉄板に丸くのせて200℃で25分焼く。ほんのり甘いメレンゲのパン【クラウドブレッド】の完成だ。
甘さほんのりで卵感割とあるので、合わせるソースも作ろうと思う。
【レモンカード】
材料
・レモン汁
・すり下ろしたレモンの皮
・砂糖
・黄身
・さつまいもでんぷん
・バター
・塩
・水
水、砂糖、黄身、さつまいもでんぷん、塩を入れて混ぜながらコトコト煮る。煮立ったらレモン汁、レモンの皮を入れてよく混ぜ、火から下ろしたらバターを加えてさらに混ぜる。後は冷やすだけ。
焼き上がった【クラウドブレッド】を半分に割れば甘い匂いが立ち込める。そこに【レモンカード】をたっぷりかければ甘酸っぱい香りに。はちみつバージョンも作れば十分だろう。
「おぉ!おやつの時間だぞ!」
「うむ、やはり甘味は大切ですわね。」
「楽、紅茶を入れてくれ!」
はい、精霊召喚完了です。こっちもちょろい。ということで紅茶を入れつつしばしおやつタイム。
「このふわふわは女子受け抜群よね。」
「うまいが軽すぎて物足りん!この間のミルク餅も作ってくれ!」
「オラはホットサンドがいいぞ!」
はいはい、しょうがないですね。ホットサンドはおやつじゃない気がするけど、久しぶりだし作ってあげた。ストイックすぎるのも良くないからね。
「さて、ウィリデにガルゥボーイ、ちょっとお願いがあるんだがこの機械直せない?後、デカすぎてドア通らないから家に移動してくんないかな?」
「何かしら、この道具?直し方ねぇ、ちょっと分からないから壊れる前に戻すわね?」
流石の精霊コンビもフリーズドライ機は知らないようで、直し方が分からないらしい。しかし魔法で壊れる前に時間を戻したら、あっという間に新品の状態に。ありがたいけど、いろいろずるくないですかその魔法?
「ごっそり魔力取られたな。大分時間を巻き戻さなきゃならんかったようだ。」
「ありがとうございます。でもそんな古い時代のものだったんですね。因みにこれ、動力源ってなんですかね?電気でしょうか?」
「ふむ、魔力を電気に変換して使うものらしいな。どれ。」
何ということでしょう。精霊様が魔力を大量チャージしてコンセントなしでも使えるようにしてくれました。10年くらいは保つほどのチャージ量らしい。そんなにこの世界にいる予定ではないが、万一足りなくなってもまたチャージして貰えばいいし完璧です。
「流石です!神様、仏様、精霊様ですね。ついでにパタタまで送ってもらえませんか?」
「精霊使いがあらいわねぇ。」
「あ、こちらお土産の【クラウドブレッド】です。」
「お安い御用よ、はい!」
あっという間に帰ってこれました。便利な精霊様です。そんな精霊コンビは「また食べにくるわ」と言い残し帰って行きました。運動にもなり、フリーズドライ機も手に入るいいダイエットでした。
その後こだまとリアと無事合流し…
「どう、俺の腹?」
「…?ぷにぷに?」
流石難攻不落。
結果手に入れたのは新しい武器と、エティとの連携力だけでした。とほほ…。




