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読み飛ばし回

短調な作業ってやるのも読むのもだるいものです。そんな時は即読み飛ばしましょう。

気分転換の寄り道だったはずなのに、何故か非常に疲れる寄り道となってしまった。

「おうちYEAH」バレるし、変なの押し付けられるし。

クォーツ鳥&卵、貴重な食材が手に入ったのとリアとの間のよそよそしさがちょっと緩和したのは良かったけど。でも、変なの押し付けられたしな…。


いや。


忘れてはいけない。


稲麹。


速攻戻って作らなきゃ、味噌、醤油!ネットで作り方勉強済みだから、どんなに時間がかかったって、きっとたどり着けるはず!


立ち寄った王都でビーバーおじさんに紹介してもらった卸店で米を大量購入。目敏く王都にいることを見つけたアルマじじいに捕まり【エッグインクラウド】を伝授させられたりしながらも、帰っていました、パタタ。

あ、アロスとの米の流通経路のこともちゃんと話しておきましたよ。

因みにこちらの世界にはアルミホイルがないので、アルマジロの料理屋ではバターを塗ったパンに直接メレンゲ、卵黄を載せて220℃のオーブンで5分焼く、【エッグインクラウドトースト】をサイドメニューに加えることにしたようだ。


それではみなさん、本日からは地味で地味で地味なひたすら仕込み作業です。

漣を立てず無心でこなすことをお勧めします。


因みに仕込みの前準備で、家を大胆改造し1部屋麹室にリフォームしたことをここに明記しておきます。

バケツに焼石入れて水かけて、程よい湿度を保った麹ちゃんのお家だ。


【種麹】


材料

・ちょっと精米した玄米(97%位がよいらしい)

・木灰

・稲麹


王都で米を買うときに、アロスの農家産に頂いた玄米をちょい精米してもらった。

さすがに自分で精米大変だからね。

そのちょい精米玄米を蒸して、麹室用意した大きな作業台の上に布を広げ、玄米を広げる。

因みに玄米は栄養価が高いので【種麹】作りに向いているそうだ。

ただ、皮が硬く、ちょい精米してあげないと麹が玄米の栄養を食べられないのだと。

手間のかかる麹ちゃんだぜ。


70℃まで冷めたら木炭を入れ満遍なく混ぜる。

ほとんどの微生物は灰のアルカリ性に弱いらしいが、麹菌は強く、灰を混ぜることで余計な雑菌が淘汰されて、麹菌だけを純粋培養できるんだって。

ありがとう、ネットさん。


玄米が35℃位まで冷めたら、稲麹を粉状にしたものを振りかけてよくなじませる。

昔麹屋さんに社会科見学させてもらったことがあるのだが、職人さんはパウダー状の麹菌を蓋の部分がふるい状になったお茶葉の缶みたいのに入れ、粉砂糖をかけるみたいにふんわり振っていた。

なので、麹ふるいを自作してみた。


後は布を被せて暖かい麹室で保温。

ここからは、麹菌の発酵熱でどんどん温度が上がってくるので、40℃を越さないように定期的に拡散。

2日程度で白っぽい胞子が出てきて、1週間後には緑色の胞子がついてくる。

この緑色の胞子がついたらクジ室から出して乾燥。

奮いにかけて緑色の胞子だけを集めたら【種麹】の完成だ。


1週間後、うまく緑色にならないものも結構出たが、何とか【種麹】を集められた。

麹屋さんでみた、あの麹菌の色だ。

きっとこれなら【米麹】も作れる。

さぁ、続いて【米麹】。


【米麹】


材料

・白米

・種麹


作り方は【種麹】のシンプル版だ。

まず、白米を蒸して布の上に広げて冷ます。


40℃以下になった【種麹】をまんべんなく散布し、白米全体にからめる。

後は一塊にまとめて布を被せて保存。

今回も40℃を越さないように気をつけながら定期的に拡散。

理想の発酵温度は38℃らしく、どのくらいで温度が超えるかわからずすごくこまめにチェック。

職人さんともなれば感覚でわかってくるし、見た目で状況も判断できるって麹屋さんでいってたな。

俺にはとてもじゃなけどできないので、超こまめに監視せざるを得なかった。

手間暇かかる子ですよ、麹ちゃんは。


2日位して表面に白っぽい菌糸が生えていれば【米麹】の完成だ。

因みに自家製【米麹】は紙袋に入れ、冷蔵庫の野菜室保存で2・3週間、ジップロックに入れて冷凍庫で1〜3ヶ月保つらしい。


それにしても麹作り、すごい大変だ。

失敗もあったりしつつ気がつけば1ヶ月近くかかりっきりの作業となっていた。


俺が忙しくしている間、こだま、リア、エティは狩りをしたり釣りをしたり、優雅な自給自足ライフを満喫していた。

こだまは大好物のハンバーグの為に、獲物を仕留めては、大量のミンチづくりを頑張っていた。

リアはこだまを手伝いつつ、ソーセージを同時進行で作る。

エティは魚も欲しいとよく釣りをして持ってくる。

立派な職人化していた。

因みに、この1ヶ月で2回、ウィリデとガルゥボーイの訪問を受けている。

割と頻繁にご飯をたかりにくるのね…。


さぁ、ラストスパート、【自家製味噌】【自家製醤油】作りだ。


【自家製味噌】


材料

・大豆

・麹

・塩


まず大豆。大豆をよく洗い、大豆の3倍量の水につける。18時間以上。

というわけで、初日はこれだけ。


2日目、大豆割って芯まで水が浸透しているか確認し、浸透してたら炊き上げる。

細かいけど、美味しい味噌のためにはちゃんと浸透してるか確認しておくほうが良い。


3時間くらいかけて、指で簡単に潰せるくらいの硬さになるまで炊き上げたら冷水で今回も35℃を目指して冷ます。そう、この35℃前後が麹のベース温度なのだ。


冷めたら潰す。なるべく細かくひたすら潰す。

豆ミンサーとか使うらしいが、ないのですり鉢でひたすら混ぜる。

潰し終わったらあともう一息。


麹と塩を混ぜ合わせる。混ぜ合わせた後の硬さが耳たぶくらいが理想だってさ。

後は木の樽に空気が入らないよう気をつけながら敷き詰める。

味噌は空気が苦手でカビが発生しやすくなるらしい。

最後に落とし布で空気を完全に遮断し、中蓋、重石を敷きます。

10ヶ月ほど寝かせれば完成です。

はぁ、まだまだ長い道のりだ。


【自家製醤油】


材料

・麹

・塩

・水


水と塩を混ぜて食塩水を作る。麹を入れてよく混ぜる。

後は1年じっくり寝かせる。めちゃくちゃざっくりいうとこれだけだ。

因みに醤油は本来は大豆で作った麹、醤油麹が良いらしい。今は最短目指すからこのまま行くが、ゆくゆくはちゃんと醤油麹で試してみようと思う。


最初の1週間くらいは毎日よくかき混ぜてあげる。

1週間後から2ヶ月の間は2日に1回軽く混ぜる。

その後は気づいたときに軽く混ぜてあげる。

3・4ヶ月経つともろみ(醤油のあかちゃん)がどろっとしてきて表面に白いカビ状のものが浮いてくる。

これ、酵母の一種らしいので嬉々として混ぜ込んであげる。

放っておくと酵母ちゃん死んじゃうみたいなので気をつけよう。

1年くらい経ち、もろみが醤油色になったら、布で絞ってあっというまに【自家製醤油】の完成だ!


死ぬほど時間かかるので、それはもう死ぬほど仕込んでおきました。

美味しい日本食への道のりはまだまだ遠いです。ぐすん。

味噌や醤油って人族の国にあるのかな?

完成を待つより行ったほうが早かったりして…。

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