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青と緑の精霊様

たまに無性に食べたくなる味ってありますよね。これってやっぱり中毒症状なんでしょうか。

一瞬でした。

一瞬で鳥の大群が蹴散らされました。犯人は、こだま、リア、エティです。正直鳥たちが可愛そうに感じてしまいます。まぁ、この世は弱肉強食ですから…。


「そう、弱肉強食。楽、ご飯。」


こだまには食材にしか見えてなかったようですね。可哀想だからせめて美味しくいただいてあげましょう。

鳥たちの中にはまだ取り込まれてまもないやつもいるのか、クォーツ鳥、普通の鳥が入り乱れていた。

巣には結構な量、卵が産み落とされていて、こちらもクォーツ卵、普通の卵があった。


「手触りは普通の鳥だな…。」


せっかくなので、両方調理してみようと思う。

食べても大丈夫かどうかは…エティに味見させれば良いか。

大量な鶏肉と卵。試しがいがあるな。

鳥といえば、たまに無性に食べたくなるあれにしよう。


【白髭おじさんのフライドチキン(風)】


材料

・手羽先、手羽元

・すりおろしにんにく

・すりおろし生姜

・塩

・胡椒

・コンソメ

・牛乳

・卵

・小麦粉

・オールスパイス

・ガーリックパウダー


手羽先、手羽元は予め食べやすい大きさにカットして、すりおろしにんにく、すりおろし生姜、塩、胡椒を揉み込み1時間ほど味を馴染ませておく。今日は3分間クッキングよろしく、こだま魔法で一瞬です。

鍋に水とコンソメを入れ、沸騰したら下味をつけた鶏肉を入れて煮る。冷めると味がグッと染み込むので、煮えたら火を止めて冷ましておく。煮物と同じ原理ですね。


牛乳と卵を混ぜ合わせたバッター液、小麦粉、オールスパイス、ガーリックパウダーを混ぜた衣の順にまぶして180℃の油でカラリと揚げたら完成だ。


ちなみにオールスパイスはフトモモ科の果実からできた香辛料で、中世ヨーロッパの人が珍重したスパイスらしい。世界4大スパイスと言われる「シナモン・胡椒・ナツメグ・クローブ」のうち胡椒を抜いた3つの香りを併せ持つってネットに書いてあった。この世界、中世ヨーロッパ位の文明っぽいので、スパイス商のパッパさんに聞いてみたら簡単に手に入った。オールスパイスが馴染みのスパイスなら【白髭おじさんのフライドチキン】こっちでも人気出るかもな。みんなの反応が楽しみだ。


あと、やっぱり卵料理も必要だろう。


【卵の巻き巻きオムレツ】


材料

・卵

・牛乳

・塩

・胡椒

・小口ネギ

・バター

・チーズ

・お好みの具(今回はもちろんチキン)


卵に牛乳、塩胡椒、小口ネギを入れてよく混ぜる。

フライパンにバターをひき、溶き卵を流し入れる。

チーズを満遍なくふりかけ、蓋をして蒸し焼きに。

端が固まってきたくらいで、お好みの具、唐揚げ、トマト、玉ねぎを中央縦に並べる。

フライ返しで、真ん中の具を包むように巻き、焼けば完成。


さらに、ハムバージョンも作っておこう。

こちらも溶き卵、チーズを入れ蒸し焼きに。

今度は、前面にハムを敷き詰め端からくるくるローリング。

ハムの巻き巻きオムレツだ。


あと女子受けを狙って、見栄えバッチリのこいつ。常に女子受けを意識する。できるサラリーマンの基本です。


【エッグインクラウド】


材料

・卵

・塩


卵を卵黄と卵白に分け、卵白は塩を少し入れひたすらかき混ぜてメレンゲに。

余談だが、卵白を一度冷凍庫で凍らせておき、レンジでちょっとだけ解凍、シャリシャリを潰しながら泡立てると40秒くらいでメレンゲができる超裏技がある。

時短のためにこだまにシャーベット状に凍らせてもらって作ったから、メレンゲ作りは楽チンだった。


角が立つくらいのメレンゲができたら、フライパンの上に敷いたアルミホイルにこんもりと盛り付ける。


アルミホイルはもちろんこだま産。

メレンゲの中央に小さく窪みを作り黄身をそっと乗せる。

アルミホイルのはじから、下に水を注ぎ入れ蓋をして3〜5分蒸し焼きすれば完成だ。

温泉卵のようにどんなものにでもトッピングできるので大量に作っていこう。


ふぅ。やり切りましたよ。新披露のメニュー以外にも唐揚げやチキンカレーなどもガンガン作った。

パーティーです。チキパー。

さぁ、食べますか!とみんなで車座に並ぶと首長竜まで参加している。

足りるかな…。

ま、まだまだ鳥あるし作りながら食べますか。


「おぉ、クォーツ鳥で作ると、全体的にプルプル度が増してる。ジューシーさが半端ない。」


と俺が驚けば、


「うまうまうまうまうま」

「すげーうまいぞ!オラ、スケスケなの好きだ!」


安定のこだま&エティ。エティ誤解を招くからその言い方やめようね?


「お肉も卵もまるでゼリーみたいなのに、普通の鶏肉よりも味が濃い…。すごく不思議だけど美味しい。あと、この雲みたいな卵、ふわふわで楽しい。」


よし!美味しい、楽しい、頂きました!!

普通の鳥より旨味ランクアップのクォーツ鳥最高です。もちろん、普通のも食べ応えありで旨いが、クォーツ鳥はまるで熟成したみたいです。もしかしたら出汁をとったりするには、クォーツ鳥の方が旨味が強く、しかもクリアな出汁になるかもしれません。後で試してみたいですね。


逆に唐揚げ系は、そもそも味が濃いので普通の鳥の方が向いているようです。

肉自体の旨味は強いが肉汁に関して言うと普通の鳥の方が多い印象だ。


【エッグインクラウド】は案の定みんなに好評で、カレーにトッピングするのが一番人気だった。

温泉卵のようなとろり感もあるが、そこにふわふわ食感がプラスされた感じ。

スープと絡んでめちゃくちゃ旨し。

トーストやナポリタン、牛丼なんかもすごい合うし、定番メニュー入り決定だな。

見た目にも豪華だから、アルマジロ親子のレストランに今度教えてあげるか?


新食材とアレンジアイディア広がるメニューに、ニマニマしていると、隣の首長竜もグゴゴゴ言いながらすごい勢いで食べてる。おっと、追加追加。


相当量いたクォーツ鳥の群れもかなりの量みんなの胃袋に収まった。主に、こだま、エティ、首長竜の胃袋に。俺とリアはさすがに早々にお腹いっぱいに。

でもまだまだクォーツ鳥&卵は残っている。こだま収納に仕舞っておこう。いい食材が手に入ってほくほくだ。ってか、俺たちここに何しに来たんだっけ?


「楽!楽!緑の卵があったぞ!」


エティが卵の中から、緑に光り輝く卵を見つけて来た。そういやぁ緑の光探してるんだった。

鳥の中に緑に光るやついなかったし…まさか産み落とされてた?

すると、緑に光る卵が突然動き出し、


ピキッピキッ


孵りました。


生まれたのはうっすら緑のクォーツ鳥の雛。

緑の光、完全に融合しちゃってません??

すると緑クォーツ鳥の雛は不慣れな感じではあるが羽ばたき、エティをくちばしで高速突きし始めました。


「いたい、いたい!オラ何もしてないのに、ひどいぞ!」


いや、死ぬほどやらかしてますけどね。絶対緑の光怒ってますね。執拗に突かれるエティを誰も助けることなく眺めていると、溜飲が下がったのか漸く解放された。


「み、みんなひどいぞ…。」


身体中の毛がボサボサになったエティ。

緑クォーツ鳥の雛は今はエティの頭の上に座っています。足を組んで。

雛なのにどことなく漂う女帝感。


「皆様助けていただき、ありがとうございます。」


おぉ喋れるの?しかし、俺たち助けたっけ?勝手に孵っただけな気もしますが。。


「この鳥の雛として生まれて、声帯を手に入れたおかげで言葉を交わすことが叶いました。私は森の精、ウィリデと申します。以後お見知り置きを。」

「それはそれはご丁寧に。私は地球から転移してきた楽というものです。」

「存じております。今回は大変な目にあいましたね。」

「おぉ、知ってるんですか?」

「私は森の精ですから。森は全ては私の目であり手であり命なのです。そして、そこにいるガルゥボーイは空の精。空から見えるすべてのことを見る力があります。そちらの方、どうぞお顔をお上げください。」


よく見ると、リアが跪いています。ウィリデの許可を得て立ち上がるリア。


「エルフ族は自然の神を敬愛しております。お会いできて光栄です。ガルゥボーイ様も高貴なお方と気づけず大変失礼いたしました。」

「ガルゥボーイも気にしないでと言っているわ。」

「は!ありがたき幸せ。」


リアさん、みたことないくらい凛々しいモードになってます。心酔してますなこりゃ。信仰心の弱い日本人にはわかりづらい感覚だ。そして青い光、ガルゥボーイはウィリデと何やら交信したしたかと思うと何処かへ飛んでいってしまった。


「案ずることはありません。私のこの姿が便利そうだと、ガルゥボーイも依代を探しに行っただけです。それで、そちらにあるふわふわしたもの、私にも頂けるかしら?」


ウィリデの翼で刺した方向にあるのは【エッグインクラウド】でした。


「クォーツ鳥の雛なのに召し上がるんですか…?」

「私は精霊ですので。」


気にせず食べ始めるウィリデ。


「美味ですわ!殻の中からずっと見ておりましたが、これほど美味でしたとは!」


精霊様もお気に召したようです。

そこにクォーツトラの赤ちゃんが猛烈な勢いで走ってくる。


「うわっ!」

「安心してください。あれはガルゥボーイです。」

「私にカレーを!」


第一声がご飯の催促とは。

ガルゥボーイさんもずっと見ていたのでしょうね。


「やっぱり旨かった!もっと早く体を手に入れてれば…。チーズフォンデュ食べ損ねたではないか!」


そして食べた感想が昨日のチーズフォンデュのこととは…。


「それにしても、エティがご迷惑をおかけしました。私たちも大分迷惑かけられてますので、被害者仲間ですね。」


二人の精霊様は、すごくフレンドリーに事の顛末を教えてくれた。エティはあの森を守る種族だそうだ。でも幼い時期にあたる今は逆に手のかかる状態。しかも今回の周期はとくに自由な育ち方をしてしまったようで制御が効かないのだという。


自然を守る邪魔をするばかりか、ある日寝相で押しつぶされ、その間にウィリデが食べられてしまう事故に見舞われた。しばらく自然の調整をしていないので早く戻って調整をしないといけないらしい。もし調整しないと異常気象とか起こっちゃうらしい。

それは作物にも大打撃となってしまうのですぐ戻って欲しいな。


「あなたのご飯があればエティはおとなしそうだから、しばらくよろしくね。」

「そりゃ、名案だな。エティの様子見がてら、たまに飯食いに行くよ!」


えー迷惑。

でもリアがとっとと了解してしまった。信者ですからしょうがないのかもだけど、えー迷惑。

しかし、抵抗虚しくエティはこちらにとどまることに。

ご飯のお礼にと、首長竜が外まで送ってくれたのでようやく亀鯨の胃袋から脱出できた。

茶色いクォーツがゴロゴロ転がる長ーい通路を抜けて。匂いこそないが、あれ、絶対あれですよね?

もう食べられるのは勘弁だけど、食材が熟成される胃袋か…。

またいつか来ちゃうかも。

次回こそは別の出口を見つけようと密かに心に誓う楽だった。

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