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第三話 忍と異世界人

 落ち葉の中から出て、隠れている間に外で何があったのかを確認する忍…


 そこには忍に襲い掛かってきたキマイラの成れの果てが横たわっていた。


 落ち葉の中から聞こえた、生命が斬られる音の通りキマイラの身体には剣で斬られたような跡が残っておりそこから大量に血を流していた。


 そのキマイラの成れの果てを三人グループが囲んでいた。


 一人は剣を持ち、鎧を着こなしたガタイのよさそうな男。


 もう一人は杖を握っている修道女に見える女。


 最後の一人は魔法使いにも学者にも捉えられる姿をした眼鏡を掛け、エルフの耳を持った長髪の男。


 どこからどうみてもファンタジーの冒険者パーティーであった……


 「なんだこのコスプレ集団は……って現実逃避はやめよう。これは現実なんだ、そうじゃなきゃあのライオンみたいなやつも、変わったラフレシアだってないもんな…」


 「ということはあの三人はこの世界の住民って訳だな」


 と、忍は遠くで三人パーティーを観察している。


 観察している間に三人は安堵をしたように木にもたれ、会話を始めるだろう。


「いやぁ、これでギルドに依頼されたキマイラの討伐は完了したな。二人のサポートのおかげだ、ありがとう!」

 戦士は修道女と魔法使いに笑顔で感謝の言葉を贈ることだろう。


「いえ、貴方様がいたおかげで依頼を完遂できたまでのこと…」

 修道女は謙虚ながらも照れながら戦士にそう返す。


 「しかし、この辺りにキマイラが出ることも珍しい…放置していればここに住んでいる生物を喰らい尽くし生態バランスが崩れるどころか…この付近に商人が通る道もありますので、商人を襲っていた可能性もあるでしょう!とにかく戦士殿、一刻も早く研究所でキマイラの生態調査を行いたいので遺体をギルドに持ち運びましょう!」

 魔法使いエルフは興奮気味に戦士に提案する。


 「お、おう…お前ご丁寧にこいつを運ぶための荷台まで用意してるもんな。どちらにせよ討伐した証を持ってギルドに報告しないといけないし…この際こいつを丸ごと持ってくか!」

 ガタイのいい力持ちな戦士、なんとライオンよりもデカいであろうキマイラを両手で持ち上げる!この馬鹿力、並大抵のものではない!


 「(すげぇ、ライオンみたいなやつ持ち上げやがった…そういえばギルドかなんかとか言ってたよな…そこには人がいるとこかもしれないな………事情を話せば多分分かってくれるだろう、よし!この人達に助けを求めよう!)」

 忍は三人に向かって走り、

 「すみませ~ん!」

 と、三人に対し手を振るだろう。


 「なんだお前は!?てかくっさ!ラフレシアンの腐臭がするぞ!人間の臭いじゃねぇ!」

 戦士は腐臭に対して鼻をつまみたそうだがキマイラを両手で持っているためつまむことができない、かわいそう。


 「(あ、あのラフレシア…ラフレシアンっていうんだ。シンプルな名前…)すみません、この森で遭難をしてしまってですね…そもそもこの森がどこなのかも分からないのですが…」


 「ほほう、説明しますとここは隠れの森といいましてね。この森には様々な隠れ場所があると言われ、身を潜ませて暮らす生物達の住処となっております。結構複雑な森ですので人が遭難するのもあり得ますね。」

 と魔法使いエルフは忍にそう解説することだろう。


 「(なるほど、だからあんなに都合よく隠れ場所が見つかった訳か)」

 忍、一人で納得!


 「しかし…貴方、その恰好はなんですか?この辺りでは見ない恰好ですが?」

 エルフ、忍に問いかける!そういえば忍が未だに学生服姿である!


 「え、いやその…実は俺別世界から来…」

 「それに私の識別スキルで貴方の種別を鑑定しましたが…どの種族にも当てはまらないみたいですね。ヒューマン族に容姿は似ていますが…ヒューマン族であるなら識別スキルですぐ判断するはずなのですが…怪しいですね。」

 「いやだから俺は別の世界から…」

 エルフ、聞く耳持たずッ!しかし本来ならこれが正常な反応、未知の存在に警戒するものなのだ!全ての世界で異世界から来ましたへはいようこそと言ってくれる訳じゃあないッ!


 「人間に化けた魔物?もしそうなら識別スキルでは看破できない…看破スキルが必要となりますがこの中では誰も持ってないですし、疑似的に看破できるとしたら…そうだ、そういえば貴女、人が生まれながらに与えられた加護を判別することができるスキルを持っていましたよね?もし彼が人間であるなら神に与えられた加護があるはずですが…」

 とエルフは修道女に提案する。


 「そうですね、彼が人の子であるのであれば必ず主のご加護がございます。しかし、加護が無い…というのであれば人かどうか怪しい…ということになりますね」

 と修道女はスキルを使用するのか、静かに目を瞑った。


 …不味いことになった。


 そう簡単に別の世界から来たなんて信じてもらえるはずもなく、魔物ではないんだけどこれからどう証明していけばいいのか分からない。


 すぐに何かされないのは分かる、スキル…は良くわからないがおそらく疑似的な判断をしてから専門家に任せる気だろう。


 そこからどうなるかは分からない、魔物ではないと証明したとしても不可思議な生物として研究されるかもしれない…下手したら解剖も……!


 「…!この人、主に与えられし加護がございません!」

 「やはりですね、戦士殿!とにかく奴も捕らえ専門家に見てもらわなければなりません!」

 「だな、お前には恨みはないが…」

 と三人の視線が恐ろしい、戦士も一旦キマイラを下ろし剣を構えた。このまま強行手段で捕らえる気だ!


 「だから俺、別の世界から来たんですって!」

 「ますます信用ならん!覚悟ッ!」

 「うわーーーーーッ!」

 三人が忍を強引に捕えようとしたその時!


 「まてぇーーーーーーーーーい!!!」

 と木の上から誰かが叫びながら飛び降りてきた。


 「今度はなんだってばよ!」

 

 飛び降りてきた存在は男だった、その男は半裸で鎌のような武器を背負っていた。


 髪型はスキンヘッドでマスクをつけており、マスクの生地には「殺」と書かれていた!


 「いや、一人だけむっちゃ世界観違うんかい!」

 と忍が突っ込んだところで…


 「………!」

 三人は世界観が全く違う男に驚いたように…しかし彼の存在を知っているかのような…とにかく唖然としていた…!しばらくした後戦士は口を開き…

「貴方は『デスサイズ・ヘル』さん!!!」

 と彼の名を叫ぶ。


 「ヒッヒッヒ…ご名答、俺様こそ『デスサイズ・ヘル』様だァ!」

 デスサイズ・ヘルはマスクをズラし、自身の鎌をペロリと舐めることだろう。

次回、この世界について…デスサイズ・ヘルについて忍は知ることとなるッ!

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