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第二話 忍、異世界へ!

遂に異世界に飛ばされることになるぞ!オイオイ大丈夫か?こいつ、かくれんぼしかできないんだぜ?

否ッ!!!忍のかくれんぼ能力は「チート級ッ!!!」

 とある森の湖…水面から何かが這い上がる。

「…プハァ!」

 

 それは高校三年生、かくれんぼマスター霧島 忍の姿であった。


「え、俺生きてるやん…というか外来種野郎に深いとこまで引きずり込まれたはずなのに…地上に上がれるものなのか…?」


 忍はそう戸惑いながらも陸へと這い上がる、しかし忍は違和感に気付く。


「あれ?公園の池を囲んでる柵がないぞ?」

 

 そう、忍は今公園の池の陸に這い上がったと思っている。


 しかし、池を囲んでいた柵がないのだ!あとよいこは広い公園とかにある立ち入り禁止指定されて柵を立てられている池の中に入っちゃダメだよ!


「いや、ここは公園じゃない?も、森だ!しかもこれ…日本で見るような植物ばかりだ!」


 忍は気付いた、ここは公園ではない…どこかの森であるッ!しかも日本とは思えない森ッ!見たこともない植物が生い茂っており、聞いたことのない動物の鳴き声が森中に響き渡るッ!!!


「なんだぁ、いつの間にか日本は外来種まみれになっちまったんだぁ?こんなのTVのSOSの池抜く企画のやつが何度あっても駆除できないぜ!」


「というよりも日本じゃないよね?ここどこ?」


 忍の脳は未知の世界ということを認知し、戸惑い始める…

 

 その時であったッ!


 忍の前に、ゆっくり…ゆっくりと…ある生物が近づいてくる。


 それは人ではないことは確かだった。


「な、なんだぁ!?」


 その生物は一見ライオンであった、しかしそのライオンは背に山羊の頭、蛇の尾を持っていた。


 ファンタジーで言うなればキマイラというところだろう、こんな生物は日本…いや地球上で見るはずのない生物だ。


「な、なんだァ~~~!?このライオンは…こんなの見たことねぇ、というよりも誰も見たことのない生物だ!謎解き冒険バラエティーでも一生取り上げられることはないぜ!」


「というかさ、俺の目の前に現れるってことは…餌として認識してるってことだよね…?」


 忍の悪い予想は的中する、キマイラは腹を空かせているのかよだれを垂らしている…キマイラの忍に対する眼は獲物を狙う眼そのものだった!


「ひ、ひぃッ!い、いや…ここは怯えて背を向けては駄目だ…まずは相手の目を見つめて威嚇し返すんだ…時間を稼ぎつつどうこの事態を挽回するか考えるんだ!」

 

 忍はキマイラの眼を見つめて威嚇し返す、果たして現世の猛獣が現れたときの対応は通用するのか…キマイラはゆっくりと忍に近づいてくる…今にも飛び掛かってきそうだ。


「(ここでファンタジーなら勇者ご一行が助けにきてくれる…という展開はなさそうだ。第一そんなの運だ……運なんて頼らずに自分の力で切り抜けなきゃならないんだ!…そうだ、ここでかくれんぼの時間だ!俺のかくれんぼは通用するかどうかは分からないが…ここは森だ、隠れる場所なんて沢山あるじゃあないか!)」


 ここで「かくれんぼマスター」のかくれんぼが始まったッ!まずは大きく目を開き周囲の地形をサーチする!忍の眼は千里眼の如く、全てを見渡し確実にかくれんぼに勝つことができる場所を探し当てるのだッ!


「ここだッ!」


 忍、素早く動く!それと同時にキマイラも飛び掛かる!しかし…!


「じっと隠れるのが『隠れる』じゃあないんだぜ!」


 忍、森の樹木を利用してキマイラを翻弄していく…!ジグザグに動き、瞬間的に木に隠れ時にはわざと音を鳴らしていくッ!だがどんなに翻弄してもただの人間ごときの体力だとタフな体力を持つファンタジー生物には到底敵わない。


 ましてや下手なところに隠れれば、優れた嗅覚ですぐに見つかってしまうだろう…だが「かくれんぼマスター」のかくれんぼはある場所にたどり着くことによって終了していたッ!


 「着いたぞ!」


 それはラフレシアだった、しかもただのラフレシアではなかったッ!地球上にあるラフレシアよりも悪臭を放つし若干形も違う、いわゆるファンタジー補正のあるファンタジーラフレシアだ!


「俺は植物なんか詳しくないし実際にラフレシアの臭いを嗅いだ訳ではない…だが単純な回答だけどよ、地形をサーチした瞬間ただのラフレシアではないということが分かったぜッ!だが臭い!近づく程に気絶してしまいそうだ……本能も実際そう言っている……」


「だがな…そういった本能よりも……『生きる』という生存本能でこの腐臭、耐えさせてもらうぜッ!」


 何故、忍はラフレシア付近で隠れようとしたのか…それは自分よりより強い臭い、それも悪臭により自身の臭いをかき消そうとしているのだッ!


「耐えろ…俺、ここに都合よく落ち葉が溜まって、かつ溝の深いところがある!落ち葉に潜って姿を現さないように…!」


 落ち葉の中に音を鳴らさずに隠れることは「かくれんぼマスター」には容易いことだ、あとはおそらく人が耐えられないであろう腐臭と向き合うだけだ。


 キマイラが近づく音が聞こえる、忍を探しに…


 キマイラは嗅覚に頼る、忍の臭いを嗅ぎ、特定する為に…


 そして…


「ヴォエッ!ゲホッ!」

 というキマイラのむせたような、嫌そうな感じのトーンの混ざった声が聞こえた。


 ラフレシアに近づきたくないと、キマイラはそそくさにこの場を去るだろう…


 異世界かくれんぼ…勝者、かくれんぼマスター忍ッ!!!


「お、俺…ファンタジー生物にかくれんぼで勝ったのか…?す、すごいぜ俺ッ!伊達にかくれんぼマスターをやってきた訳じゃねぇな!」

 と、落ち葉の中で喚起に満ちている中…


「せぃやぁぁぁぁァァァァァァァァァ!!!」

 という誰かの掛け声のようなものが聞こえ…それと同時に生命が斬られる音、先ほどのキマイラの悲鳴のような鳴き声が響き渡った。


「こ、今度はなんでぃ!!?」

 忍は恐る恐る落ち葉の中から出て何が起こったのかを確認する……

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