閑話あるいは第一二話 謎の桐山
悪乗り気味のホラー風です。
謎の桐山
SIDE木戸静香
今朝、高校の近くで中学から一緒に進学した別のクラスの友達に会い、ちょっとした噂話を聞いた。
昨日から始まった部活見学で軽音部に行った友達が、クロスのヨキシみたいな人を見つけたというのだ。
詳しく聞いてみると、見た目は、可愛い系の男子で、普通のギターを弾きながら歌ったと思えば、エレキギターで、三年生と演奏を始めたという。
それが終わったら、今度はピアノでクロスの曲を弾きはじめ、また三年生と、演奏を始めたらしい。
最後に、もうよくわからないハイスピードのドラムを叩きまくり、皆ポカーンとしていたそうだ。
なにそれ、すごい……、そんなすごい人、一年生にいるなら、見に行きたい!
どこのクラスにいるのかと聞いたら、なんと私のクラスメイトでした!
驚いた!
でも、名前までは、覚えていなかったそうで、私のクラスでその友達と、ヨキシもどきをさがすことになった。
このクラスの男子は、大きく分けて、三つに分かれている。
一つ目は、中川を中心にした、盗んだバイクで走りだしそうな人達。
あれは、ちょっと残念な感性を持った昔ながらのヤンキーな雰囲気がするんだよね。
二つ目は、桐山が率いる可愛い系男子たちを集めたグループ。
私が思うに、桐山は、男が好きか、男も好きかのどちらかだと思う。
三つめは、グループに入れなかったのか、一人でぼそぼそしている男子たち。
これは論外だね。
それで、そのヨキシもどきの顔を知っている中学からの友達を交えて、クラスの女子、ほとんどで、ヨキシもどきの正体は誰だってことになりました。
男子が入ってくるたびに、確認をし、違う!
と言うのを数人、繰り返し、そうして彼女が見たヨキシもどきは、桐山でした。
間違いないのかと、何度も彼女に聞いたのだけど、桐山がヨキシもどきで合っているそうだ。
うーん、桐山がヨキシもどきだったのかー。
。
桐山なら許す!
うん、それがクラスの女子の総意となった。
そういえば、桐山は、音楽委員だったのを思い出した。
音楽室の鍵を自由に使えるとか、噂があったけど、どうなんだろう……。
謎がまだ多い桐山なので、情報収集が始まりました。
はい、速報です。昨日の月曜日のお昼、桐山は、教室にも食堂にもいなかったそうです。
どこかで、ぼっち飯をしているってことは、さすがにないだろうから、中学からの友達のところでお昼ご飯を食べているのかな。
お昼になり、追跡班が、出発!
特別棟の第四ピアノ室に消えて行ったが、その先は、追跡がばれるので、あきらめたそうだ。
やっぱりピアノを弾いているのだろうか?
それとも、誰かに会っているっていう線もあり得る。
授業後に、私が追跡班となり、桐山、大江、矢沢のなかよし可愛い系男子三人組を追跡します。
語学演習室に入ったぞ。
私も入って、様子を伺っていると、どうやら、ここは、フォークソング部のアジトらしい。
軽音部だけでは、飽き足らず、フォークソング部でも、何かをやらかすつもりか?
フォークソングというのは、よくわからないが、ギターを弾いて歌うことのようだ。
私も音楽は好きだけど、ジャンルとかよくわからないんだよね。
でも、安室様、かっこいいので、好きです。愛してます。
なので、私は、ダンス部にはいるんだぜ。
桐山たちは、いつの間にか、退室していたようで、追跡はここまでのようだ。
うーん、桐山に最接近した時に、香水っぽい香りがしたんだよね。
香水は、校則でだめっぽいから、香り袋みたいなのを持っているのかな。
明日、クラスの女子たちに、桐山は、なぜか良い香りがするって、教えよう。
香りの謎を調べるのも、面白そうだよね。
それにしても、ピアノ室の謎は、興味が出てきたな。
今から見に行ってみるか。
特別棟に入り、第四ピアノ室の前に来た。
うーん?
スケジュール表とやらには、第四ピアノ室は、使用不可の様な感じで書かれている。
わけが分からないよ!
ドア窓から覗いてみようかと、近づいてみると、扉が急に開いた。
え、何、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い……。
気が付いた時、私は、保健室のベッドの上にいた。
第四ピアノ室は、近づいちゃだめだ!
あれは、普通じゃない。
でも、優しい人だったのかな。
保健室に、私がいるってことは、あの人が、知らせてくれたんだよね。
お礼は良いから、二度とこないで、って言われた気がする。
ごめんなさい。もう、あの部屋には近づきません。
桐山もあの人の関係者なのかな。
近づきすぎないようにしよう。
うん、それが良い。
でも、あの人の事は、クラスメイトにも言っちゃだめな気がする。
しょうがないよね。
ダメなものはダメなんだよね。
そうして、私は、保健室をでて、教室で荷物をまとめてから、下校した。
「あっくんとスーと私の場所にこないでね」