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第一一六話 コンサド

誤字報告、感想、ありがとうございます。励みになります!

ほんわりぼんやり書き続けております。

のんびりとお付き合いお願いします。

リクエストも募集中です♪

 コンサド


 八月二八日の金曜日。

 今日は朝から東大路がメインスポンサーになっている北海道札幌コンサドールの練習グラウンドに来ている。

 しかも、サッカー雑誌の記者やカメラマンも同行していて、この状況を記事にするらしい。


「なあ、キリリン」

「どうした。たまちゃん」

「俺たちって、こんな明るい日光の降り注ぐ下にいて良いキャラじゃないだろう」

「わかる。昼間でも日陰にいるのが本来あるべき俺たちのキャラだよな」


 天気は快晴、元気良く太陽は輝き、緑の芝生を照らしている。

 ジャージ姿になっても陰のオーラは健在で間違いなく場違いだ。

 今から俺たちは、プロサッカーの体験見学をさせてもらうことになっている。

 体験見学の相手をしてくれるのは、もちろんコンサドールの選手たちになる。

 当然のように安全には十分な配慮をしてくれるそうだが、正直言って遠慮したいところだ。

 サッカー雑誌の記者やカメラマンもいるので逃げることもできず、スタッフに呼ばれ、選手たちに混ざってストレッチから始めた。

 ライブ前にはストレッチをしているが、プロのストレッチは格別に感じる。

 折角なので覚えて帰ろう。


 その後、ゴール裏でフリーキックの見学となった。

 風切り音がすごいんだよ!

 バシッってなんか怖いんだよ!

 ゴールもビキビキ揺れるんだよ!

 恐ろしい時間が終わり、その後は俺たちを障害物に見立てたドリブル練習やミニゲームを見せてもらった。

 このプロサッカー見学は、コンサドールの予定が合うなら選手をライブに招待したいと俺が言ってしまった結果である。

 あちらが呼んでくれるなら、こちらも呼ばなければとスタッフと選手の皆さんが考えてしまったのだ。


「桐峯さん、プロサッカーってどう感じました?」

「赤川選手、安直な感想かもしれないですが運動量が常人のそれと段違いだと思いますね」

「確かにそうですよね。ここは俺らの地元よりも夏は断然に過ごしやすいから本当にやりやすいです」


 実は、この赤川選手、俺たちと同郷らしいのだ。

 大学を卒業してから、コンサドールに入り、活躍しているらしい。

 今年のコンサドールは、そこそこ勝っている。

 このまま順調にいけば、リーグ中位の成績で終われそうだ。

 下位でリーグを終えるとリーグ入れ替え戦もあるそうなので、がんばってほしい。


 そうして体験見学は終わり、サインやグッズの交換をしてから札幌の市街地に戻ることになった。

 コンサドールの選手たちは、明日の土曜日に試合で、日曜日のライブに来てくれることになっている。


 それぞれにプロモーションに出掛け、俺も夕焼けの時間の前にラジオ局に入る。

 実は、札幌でぜひ会っておきたい人物がいるのだ。

 その彼の名は小泉洋と言う。

 北海道、札幌を拠点としながらも二〇〇〇年代、二〇一〇年代を駆け抜けて日本を代表する俳優の一人になる人物だ。

 この一九九八年では、俳優よりもコメディアンとしての活動を中心にしていたようで、ラジオのパーソナリティーもしている。

 まだ東京での仕事を始める前らしく面識を持っておきたかったのだ。


 ブラウンミュージックは、あくまでレコード会社であり、ミストレーベルはこのレコード会社の所属レーベルとなっている。

 だが、俺たち個人は、ブラウンミュージックの芸能事務所であるブラウンミュージックエージェンシーに所属している。

 ブラウンミュージックエージェンシーには、音楽部門の他に、俳優部門やモデル部門などがある。

 ブラウンミュージックエージェンシーの俳優部門は、元々がミュージシャンが役者の仕事をする時のための窓口として設置された。

 だが、現在ではその仕事も音楽部門が引き受けているので、少数の俳優しか所属していない。

 この先、インターネットが普及し、ダウンロードの時代になればCDは売れなくなり、ミュージシャンたちはライブなどの仕事が多くなるだろう。

 そうなればライブハウスの運営を始めても良いかもしれない。

 そこで、ブラウンエージェンシー所属の俳優だけではなく、地元密着型の俳優や劇団も使えるステージを用意してみたらどうだろうか。

 上手くいけば、ライブハウスの稼働率が上がり、収入が増えるかもしれない。


 そうして小泉洋の話に戻る。

 彼は、地元密着型の俳優で、チームナックルと言う俳優集団の一員でもある。

 また、彼の所属する事務所の社長をしている鈴村さんは、劇団運営の実績のある人物で、北海道では有名な俳優だそうだ。

 そういうわけで、まだ全国では無名と言える小泉洋に覚えてもらうのだ。

 ラジオ局に入り、挨拶や事前の打ち合わせを終え、スタッフブースで待機する。


 時間となり放送が始まった。


「おーいおいおいおい、安井さん今日はすごいんですよ。なんと極東迷路のピアニスト、エーデルシュタインのドラマー、さらに音楽プロデューサーとしても活躍している桐峯アキラさんがゲストで来ちゃっています!」

「すごいですよねぇ。なんでこんな番組に来ちゃったんでしょうか……。小泉さん何か悪いことしたんじゃないの?」

「何もしていませんよ。それがなぜか桐峯さんから出演したいって言ってくれたそうなんですよ。わたくしたちもビッグになったってことです」

「なるほど。全道民の心を掴むだけではなく、いつの間にか全国進出をしちゃっていたんですね!」


 オープニングのトークが始まり、前半の放送が続く。

 この番組は、チームナックルの小泉さんと安井さんが議題を決めてトークを進めて行くローカル番組で、議題によっては、かなり際どい放送回もあるらしい。

 そんな番組なので、蜜柑やカレンを連れてこなかった。

 蜜柑は、音楽以外の話だと案外普通の娘さんになってしまうし、カレンのキャラを本気でいじられると、俺にも予測不可能になる。

 俺の出番は後半からなので、放送をじっくりと聴き続ける。

 今日の議題は、桐峯アキラへの質問だそうだ。

 この番組では、積極的にゲストを呼ぶことはしないそうなので、事前に届いている俺への質問を吟味するトークが流れている。

 そうして前半が終わり、俺の出番となった。


「それではラジオの前の皆さん! ゲストの桐峯アキラさんの登場です!」

「お邪魔します。桐峯アキラです。今日はよろしくお願いします」

「こちらこそよろしくお願いします。桐峯さんは、好青年って感じですねぇ」

「本当に礼儀正しい青年ですよね。北海道はどうですか?」

「高校の修学旅行で来ていますし、ライブツアーでも二度目なんですよね。広いって感じがします」


 それから、コンサドールの話題やなぜかスープカレーの話題をしたり、ほとんど音楽の話をしないままに放送は終わって行った。

 ちなみに質問では、蜜柑、木戸、カレンの三人の内で一番の好みは誰かやプロデュースしてみたい芸能人や歌手はいるかなど、無難な質問を選んでもらった。

 誰が好みかなどの質問は定番の質問であり、それぞれに違う魅力があるので選べないと答えている。

 プロデュースしてみたい芸能人や歌手は、大和田アキ子さんと答えた。

 彼女は毒舌なトークが有名だが、俺は歌声の方に魅力を感じる。

 それにオファーが来ることのなさそうな人物でもあるので、ネタに思われているかもしれない。

 本人とは、紅白で会っているし話したこともある。

 おかしなことをこちらが言わなければ、とても優しい人なので、本当にオファーが来ても問題はないと思っている。


 放送後に改めて小泉さんと安井さんと話をしていると、二人の事務所の社長の鈴村さんまで現れて、充実した時間を過ごすことができた。

 東京で仕事をしたくなったらブラウンミュージックエージェンシーに一言、声を掛けてほしいと言っておいた。


 現在、苫小牧エリアを中心に東大路グループが北海道各地に工場を建設している。

 やはり、北海道を拠点としたのは良い選択だったと思う。

 今後も、この地域とは上手く付き合っていきたい。


放送当時の様子がわからないので過去ログも調べて書いてみました。どうでしょう……。

ちなみに 検索ワードは、ゴルゴルとかです。

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― 新着の感想 ―
[一言] コンサの赤川選手のモデルは埼玉県新座市出身の黄川田選手ですかね 史実のコンサはこの年は成績が振るわずJ2に降格するんですが、桐峯君のアドバイスでスポンサーが増えてぎりぎり降格を免れるか そ…
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