第一〇三話 小説投稿サイトを作ろう
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思うところがあって閉じていた感想欄を開けました。
感想欄の内容に問題があって閉じていたわけではありませんので、なにかありましたら気軽にどうぞ。
小説投稿サイトを作ろう
四月十一日土曜日
今日は、ミストレーベル企画室で四月に入ってから東大路グループに入った佐久間書店グループの情報を整理している。
佐久間書店グループは、様々な分野に手を出していて中核となる出版分野でも無駄が多いと感じてしまう。
佐久間会長が元々新聞を手掛けていた影響が色濃く反映されているのだろう。
マスメディア関係は、東大路のインターネット部門の中核となっているヤホージャパンに統合した方が良いだろう。
自前の記者を育てるよりも、佐久間書店の記者を使った方が効率が良いし、人材を手放さなくても済む。
さらに、自前の情報技術部門もあるので、そちらもヤホージャパンにまとめるしかない。
小説などの文庫部門や新書部門は、レーベルが分かれ過ぎていて混乱してしまう。
これは書籍のサイズから違う部門もあるので、徹底的な整理が必要だな。
作家やタイトルもレーベルが分かれている意味があまりなさそうなので、なるべく新たなレーベルを作らずに既存のレーベルに移していく方が良さそうだ。
それにしても名作や良作と呼ばれるタイトルは、幾つもあるのだが、この一九九八年から続く流れを考えると全体的に厳しいタイトルが目立つ。
おそらく中高年を対象にした作家やタイトルを集めているのだろうが、もう少し気楽に読めるタイトルを増やしてほしい。
例えば、銀河英傑伝説だ。
この作品は、地球から旅立った人類が様々な試練を超えて広い銀河の星々に定住するようになった時代のスペースファンタジーで、対立するイデオロギーのぶつかり合いも描いた読み応えのある深いベストセラー作品となっている。
銀河英傑伝説の良いところは、子供が読めば、子供なりの解釈ができ、大人が読めば大人なりの解釈ができるところにある。
だが子供でも読めるとは言え、難解な文章であることは否めない。
他のタイトルになれば一部を除き、さらに子供には読みにくい作品が多い。
スタジオギブリ作品でもアニメ映画としてなら受け入れられても、文章となると難易度が高くなる作品もある。
全体的に若年層をターゲットとしていない作品が多いのだ。
時代は、多少難解でもアニメやドラマにしやすい作品がヒットしている。
完全に佐久間書店は、この流れに乗り遅れているようだ。
アニメージャのようなアニメ専門雑誌を取り扱っているのに、残念でならない。
実写映画やアニメ映画を作るノウハウはあるので、映像化しやすい作品を書ける作家を探さなければならないのだろう。
さらに、自前の芸能事務所があり、ミュージシャンや俳優が所属している。
ミュージシャンは、そのままブラウンミュージックに所属を変えてもらい、残った事務所には俳優とタレントを担当してもらう。
ブラウンミュージックの養成所では、芽がでなかったが、俳優やモデルとしてなら活躍できそうな人材はいるので丁度良いだろう。
そして、映像部門となるスタジオギブリなどはバンタイへ移動してもらい、ガンガムシリーズの三ライスと共同で、アニメ映画を製作可能か模索してもらいたい。
無駄になるかもしれないが話し合いをすることで何かしらの刺激にはなるだろうから、それを期待したいところだ。
その他の細かい部門は、東大路グループの同一部署や業務内容が近い部署に引き取ってもらう。
そうして、佐久間書店グループは解体されて佐久間書店だけが残り、出版事業だけに集中することになる。
一つ問題になるのが、佐久間会長のことだ。
彼は、間違いなく逸材と呼べる人材なので、東大路の外部役員の席を用意した。
だが佐久間書店グループは、学校運営にまで手を出していて、学校の理事長を佐久間会長が務めており、今後は学校運営のみに専念したいとのことらしい。
洋一郎さんは、佐久間会長の能力を高く評価しているので、役員として活躍してほしいようだが、どうにもならないようだ。
東大路としては学校運営を始めたばかりなので系列校ができたことは単純にありがたいし、この学校の卒業者たちには、様々な分野で活躍する者たちが多くいるので頼りになる味方を大量に確保できたとも考えられる。
佐久間会長の今後がどうなるかはわからないが、しばらく様子見になるようだ。
他に追加で何かできそうなことはないかと考えていると、小説投稿サイトのことを思い出した。
確かインターネット創世記のころから、自作の小説を載せていた個人サイトはあったはずだ。
佐久間書店主導で、気軽に投稿のできる小説投稿サイトを作れば、利用してくれる小説家の卵たちはいるだろう。
その中から良作を佐久間書店から出版してもらえば、新人発掘の役にも立つ。
ついでに画像投稿サイトも運営してもらえば、イラストレイターやデザイナーなども拾えるかもしれない。
基本はバナーなどの広告収入だけになるが、提案だけはしておこう。
動画投稿サイトは、洋一郎さんの方で将来に成功する者たちへ投資をしているので、こちらは気にしなくても良い。
後は、簡単に製作できるブログなどの開発も始めないといけないな。
何人かいるこの手の技術の先駆者たちに声をかけて任せたいところだ。
そういえば、大学でのサークルを決めた。
恵先輩にサークルを決めかねていることを話すと、自分が所属するサークルを見に来てほしいといわれ、これも付き合いだと覗きに行ったところ、思いのほか良さそうなサークルだったので、即決した。
恵先輩が所属するサークルは、現代文芸部と言う名で、純文学よりも気軽に読めるような小説などを取り扱っている団体だった。
ちなみに、慶徳大には、文芸部もあり、そちらは純文学を中心に取り扱っているとのことだった。
この現代文芸部は、部員が約五十人で文科系の中では大きい方になる。
主な活動は、学園祭で販売する文芸誌の発行と個人で行う公募参加、文芸系のイベント参加となっていて、それらがそのまま活動実績となっている。
また、小説の書き方や構成などの指導もしてくれるそうなので、俺も何か書いてみようと思っている。
実は、秘密ノートの重要となる書き込みは一通り終わっており、後は細かい書き込みを随時行うことになる。
そこで、未来の記憶は何らかの役に立つと思い、続けて俺の好んでいた物の記憶を書き続けている。
そんな中にライトノベルなどを含む小説、映画、アニメのことも書き込んでいた。
これらをそのまま書き起こしてしまうと、未来の作家の方々の迷惑にしかならないのでアイディアノートとして使わせてもらおうと思う。
ライトノベル系で好んでいたのは、異世界転生や時間逆行を題材にした物語だった。
これらの題材は、この一九九八年以前でもある題材なので、俺が取り扱っても不思議には思われない。
だが、桐峯アキラ名義で文章を書くとなると、イメージの問題が出てくる。
特に好んで読んでいた異世界でスライムに転生し、大魔王になるような物語をかいてはならない。
そういえば、あの物語のWEB版は、何度も読んだが書籍版は、最後まで読めなかったな……。
二〇二〇年以降になれば、あの物語の最終巻も出るだろうから、それまで我慢しよう。
俺個人は、現代文芸部で修行するとして、部員やOBOGの方々に小説投稿サイトのテスターになってもらえば使い心地や必要な機能などがわかるだろう。
まずは、テスト版のサイトができなければ話にもならないので、早々にサイト作成に動いてもらうべきだな。
二〇〇〇年以降に流行る物は、わかっているし躍進する企業もわかる。
だが、全てを取り込むわけには行かないし、何を取り込むべきか難しいところだ。
それに、そろそろ持ち株会社方式にグループの再編を始めてほしいとも考えている。
俺と美鈴が大学を卒業するころ辺りが、完全移行に丁度良い時期かもしれないな。
この間に大きな事件となるアメリカ同時多発テロがある。
被害者となる方々には申しわけないが、停められない事件だと思っているので、可能な限りビジネスチャンスとして考えて行きたい。
洋一郎さんと康仁さんも考えているだろうが、国内で暗躍するいくつかの大企業たちをここで抑えることができたなら、今後の日本の経済は、俺が知っている未来よりかは多少ましになるだろう。
俺も全力でやれることをやって行こう。