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第一〇一話 大学入学

一〇〇話を超えましたので改めてご挨拶を。

お世話になっております。ノエマと申します。

私は、視覚障碍者一級ですので、どうしても誤字脱字が多くなってしまいます。

ですので誤字報告機能の活用は大歓迎しております。

また、脳内変換で問題のない方は、そちらもおすすめさせて頂きます。

それでは、今後ともよろしくおねがいします♪

 大学入学


 四月三日金曜日

 ヒデトの件は、高校野球がまだ続いているので保留状態だが、ひとつ良い策が思いついたので、俺が示した予定通りに大会が終わればヒロトさんに話してみるつもりだ。

 一つ気になっているのは、ヒデトには恋人がいるそうで、彼女に何らかのアプローチをするべきか迷っている。

 俺が未来を知っていることは、話さずに何かを伝えることができればヒデトの今後の安全も確保できるのだが、どう話すべきか迷うところだ。


 さて、今日は、慶徳義塾大学の入学式だ。


 入学式は、それぞれが通うキャンパスで行われるらしく、俺と美鈴、玉井が同じキャンパスで他の皆は、別々のキャンパスで入学式に出席する。

 蜜柑、ミーサ、歩美の三人も去年に入学をしているが留学をしていたため、実質新入生なので入学式に参加することになっており、三人もこの場にいる。

 俺たちが通うのは本部のあるキャンパスで、一番新入生が多いそうだ。


 三月の終わりから東大路本家に住み始めている俺は、美鈴と四谷さんの運転する自動車で出発していった。

 正直なところ、自動車で大学に行くよりも電車などを使って行った方が短時間で大学に到着するので、自動車での移動は遠慮したかったが、朝の通勤ラッシュの時間に、それなりに売れている芸能人がうろうろしているのは世間様に迷惑になると洋一郎さんに言われ、渋々送られることになった。

 帰りは、ほぼ毎日ブラウンミュージックなどに電車などを使って行くことになりそうなのだが、通勤ラッシュの時間を避ければ、大丈夫だろうと言う話でまとまっている。

 ちなみに、俺以外のミストレーベル大学生組は、キャンパス近くのセキュリティーの高いマンションなどに住むことになったので通学の縛りはない。

 もしトラブルが起きたら、その都度、対応することにもなっている。


 そうして、キャンパスに到着し、入学式に参加する手続きを済ませて、幾つかの配布物を受け取り、大講堂に入って行った。


 入学式は、特にこれと言う感想もなく終わり、その後は、入学式の前の手続きの時に配布された履修登録案内、いわゆるシラバスを見ながらの履修登録の方法のガイダンスが始まった。

 これは、しっかり聞いておかないと後々に困ることになるので、真剣に話を聞いていった。


 その後は、各学部学科の基礎演習クラスに別れることになり移動する。

 俺とミーサは、文学部史学科、蜜柑は外国語学部仏語学科、歩美は蜜柑と同じ学部の英米語学科、美鈴と玉井は経済学部経営学科となっている。

 俺から皆にいろいろと学部学科についてのアドバイスはしたが、蓋を開けてみるとこうなった。

 美鈴は別として、皆は基本的に芸能活動に支障がないように選んだように感じている。

 以前の俺は、経済学科に通っていたのだが、一番楽しかった分野が経済史だったので、さらに専門的に学べる史学科を選んだ。

 今生では、近世から近代の思想史や産業史も学びたいと思っている。

 またこの学科は、中学社会科、高校地理歴史科、公民科の教員免許が取得できる。

 以前の俺は、教員になるつもりはなかったが、大学で取得可能な免許の一つくらいは取っておこうと軽い気持ちで教職課程に手を出してしまった。

 その結果、バイトもしていたのでハードなスケジュールで動くことになってしまい、忙しい大学時代を過ごすことになってしまう。

 だが、教員にならなければ意味のない教員免許でも、学んだ知識は本物で、その後の大学院進学の助けになってくれたし、社会人としての生活の役にも立ってくれた。

 そんなわけで、今回も教員免許取得に動くつもりだ。

 とは言っても、ハードスケジュールになるのは目に見えているので、上手に立ち回らなければならないだろう。


 同じ史学科のミーサと一緒に基礎演習クラスの教室に入り、学籍順に着席するように黒板に指示が書かれてあったので、その通りに着席をする。


 程なく担当講師が入って来て、学科別のガイダンスが始まった。

 追加の配布物が配られ、いろいろと説明をされた。

 配布物の中にノートパソコンがあり、これを校内のネット回線に繋げることで、履修登録ができるそうだ。

 もちろん、用紙に記入しての登録もできるが、大学としてはパソコンを使った登録を推奨しているらしい。

 こうやって少しずつ情報技術の変化に対応していったのが俺たちの世代だったんだよな。


 最後に演習クラスのクラスメイトたちの自己紹介の時間が取られた。

 この演習クラスのクラスメイトたちとは、週に二回、一年を通して付き合っていくことになるので、可能な限り友好的な関係を築くべきだろう。

 無難に自己紹介を終わらせて、演習クラスでのやるべきことは終了となった。


「俺は牡鹿って言うんだけど、桐峯アキラさんだよな?」

「ああ、本名は桐山彰だから、大学では本名で呼んでくれた方がありがたい」

「芸名ってやつか。確かに大学まで仕事の名前で呼ばれるのは嫌だろうな。改めて桐山、よろしく頼む」

「おう、牡鹿、こちらこそよろしくな」

「僕は大矢って言う。桐山君よろしく」

「こちらこそよろしく」


 それから、近くの席に座っていた学生たちと改めての自己紹介が始まり、演習クラス内で孤立しなくても良さそうな雰囲気を感じた。

 牡鹿、大矢、鹿島、北村、櫛田。何人かと話してみたところ、特に友好的に接することができたのは、こんなところか。

 あ行か行ばかりなのは、五十音で学籍が決められているからのようだ。


 ミーサの方は、まだデビューしていないので、普通の学生として扱われているようで、あちらは問題なさそうだ。


 それから、牡鹿たちと学内のカフェテリアに入り、履修登録の相談会が始まった。

 皆、俺の芸能活動についての質問などはせず、真剣に履修科目の話に入った。

「必須科目は履修するとして、選択科目は、どうしたら良いんだろうな」


 牡鹿が、履修について早速話始める。


「俺は、教職課程を取るつもりだから、それに関わる科目を履修するつもりだ」

「教職課程か。教員採用試験って厳しいって聞くし、教育学部じゃないと免許を取るのも大変じゃないのか?」

「大変だと思う。でも、やってみるつもりだ」

「そうか。月曜日に教職課程のガイダンスがあるって話だから、俺も出てみるかな」

「牡鹿が何を目指しているのか、わからないが話くらいは聞きに行っても良いと思うぞ」

「桐山がそういうなら、行ってみるよ」


 牡鹿以外の他の皆も、興味を持ったようで、教職課程のガイダンスに出席する話でまとまった。

 それからも皆の雰囲気を知るために様々な話題を話していき、史学化は、趣味的要素の強い学科なので、在学中に何らかの将来の役に立つ資格を皆は取るつもりらしいとわかった。


「やっぱり桐山は、軽音楽部とかに入るのか?」

「ん、サークルの話か。今のところは未定だな」


 皆のサークルなどの話を聞くと、牡鹿と櫛田が陸上部、北村は、空手部、加島はバイト優先、大矢はバイト優先にしたいがサークル活動もしたいとの話だった。


「実は僕、北海道から来たんだ。こっちには知り合いがいなくて何かあったら、すごく困ると思うんだ」

「うーん、俺は、この大学の付属高校出身だから、先輩たちにも知り合いがそれなりにいるんだよな。大矢が不安を感じているなら先輩たちを紹介できると思う」

「それはありがたいな。履修登録のことでも相談ができると良いよね」

「史学科に進学した先輩がいるのかはわからないが、連絡は取ってみる」

「ありがとう。来週から二週間は、履修登録期間らしいから、その期間中にお願い」

「ああ、俺も先輩に相談はしたいから、なるべく早く連絡するつもりだ」


 それからも、それぞれの出身地などの話をしながら交流を深めていると、玉井から連絡が入り、一緒にブラウンミュージックに行くことになった。

 皆と別れて、玉井と移動を始める。


「玉井の方はどうだった?」

「うーん、美鈴さんと同じ講義を取るつもりだな。なんだかんだで美鈴さんは目立つから、一人にさせておくと危なっかしい」

「気を使ってくれてありがとうな」

「一応聞いておきたいんだが、美鈴さんとの関係は、恋人とかで良いんだよな?」

「まあ、そう思っておいてくれ。その内にしっかり話す時が来るから」

「まあ、美鈴さんの家が家だからな。がんばれよ」

「おう。何とかなると思ってる」


 それから、ブラウンミュージックのミストレーベル企画室に入ると、営業の胡桃沢さんが待っていた。


「例のお話、まとまりましたのでカタログを持ってきました」

「ありがとうございます。特に問題はありませんでしたか?」

「シンセサイザーやピアノは、あちらの規格のままで、ドラムは、桐峯さんのパーソナルカラーをを使いたいとのことでした」

「パーソナルカラーですか……。ドラムは基本的に、エーデルシュタインでしか使わないので、マスクの色のシルバーでどうでしょう?」

「シルバーですね。それであちらと話をしてみます」

「よろしくお願いします」


 何の話かと言うと、少し前から声を掛けられていたのだが、楽器メーカーが桐峯アキラ個人とスポンサー契約をしたいとの話が合ったのだ。

 俺は可能な限り、国産メーカーを使うようにしている。

 特にシンセサイザーやピアノは、ヤマハを使っていて、実質のシンセサイザーの師匠の浅井さんもヤマハを使っているので、それに合わせている。

 それでも、やはり周辺機器となると海外の製品も使っているし、スポンサー契約をしていないメーカーのロゴを良く見える形でライブなどで使うのも避けていた。

 だが、俺がヤマハを使っていることは、わかる人から見れば一目瞭然なので、そこにヤマハがスポンサー契約を持ちかけて来てくれたのだ。


 さらに、東大路本家に引っ越しをしたのは、良かったのだが、俺が購入した機材以外は、実家に置いてきている。

 そうなると、ドラムもピアノも東大路本家にはなく、俺に割り当てられた防音室には、シンセサイザーやパソコンなどしかない状態になってしまった。

 ピアノもドラムもすぐに新しく購入するつもりだったので、これはこれで問題に感じていなかったのだが、スポンサー契約のことを思い出し、ヤマハから貰うことにしたのだった。


 さて、カタログを眺めて行く。

 シンセサイザーを二つと、アップライトタイプの電子ピアノ、ワンバスとツーバスのドラムを一つずつ。それに周辺機材を選んでいく。

 これは、防音室に入れる分で、ライブで使う分は、また別になる。

 ライブ用には、シンセサイザー二つとグランドピアノタイプの電子ピアノとツーバスのドラムセットに周辺機器を選ぶ。

 電子ピアノよりも通常のピアノの方が良いのだが、クラシック系の音楽を好んで演奏する予定もないので、機材との相性で電子ピアノを選ぶことにした。

 ツーバスは、好みではないのだがライブで魅せるドラムプレーをするなら、ツーバスの方がわかりやすいので、チャレンジしてみることにする。

 練習は、ブラウンミュージックの練習室でもできるので、じっくり選んで行こう。


 そう言えば、清恵が中学三年になったんだよな。

 残りの二人の『いきものいいん』のメンバーは、高校一年生になっているはずだから、早々に接触したいところだ。


物語上で登場する大学のモデルはありますが、カリキュラムや学部学科名などは、全く別の内容にさせていただきました。

とは言え、実在するいくつかの大学のカリキュラムを参考にしておりますので、極端な違和感はでないように書き続けたいと思っております。

そのあたりのこと、どうぞご理解ください。

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