未帰還者#2/20
「あーうっさいなぁ。出掛けるつってるだろが」
なんだかイライラしてきた。
コイツら存在ごと消し飛ばしたい。
タイムマシンがあるなら、生まれてこなかった事にしたい。
特に大山を。
「私も着いてく!」
やだこの馬鹿、なんかいってる。
「はぁ?」
「だって!変態と一緒じゃ心配だもん!」
「大丈夫だ。問題ない」
「それ死亡フラグだから」
「うっせ」
まさか大山に突っ込まれるとはな。
「私が!この私が紫苑を守って見せるわ!」
「要らん、ウザイ、臭い、消えろ」
「最近やけに私に冷たいよね。なんでなん?」
あ、しまった。
うっかり本音がポロリした。
「紫苑。年頃の女の子に臭いはないと思う。流石に謝るべき」
いよいよ煉をもが口を開いて、しかも此方を攻撃してきた。
「はぁ……」
3人になるとこうして派閥が出来、大抵はみ出し者は黙って従うしかないから嫌だ。
今の嘆息が地の底か、天高くに霧散していくように
コイツらの肉体も直ちにナノレベルに雲散霧消してくれないものか。
そうすれば派閥なんてなくなる。平和が訪れるのに……。
「だが抗おう」
「「え?」」
これが俺の英断だ。
「断る」
「紫苑。それでは彼女は出来ない」
「そーだそーだ!」
ちょっとまて。俺がいつ、彼女が欲しいと言った。
「要らねーよ。欲しいのは自由な時間と金だけだ」
世の中、資本があれば幸せに暮らせる様にできてんだ。
金があればそれでいい。
金があれば趣味に興じれる。
興味の有ることに金を注ぎ込み、税金だのの余計な支払いは最小限にする。
それで俺の人生は万々歳だ。
他人なんかより、金はよっぽど信用できる。
そしてそれをあえて暴露することで、コイツらは引く。
今までベタベタズカズカしていたが、俺を警戒して距離をとる。
もう2度と近寄って欲しくない。
いっそクラスに言いふらしてもらっても構わないしな。
「人との繋がりより金とは……紫苑。腹黒い」
「サイッテーなんですけど」
「ふん、何とでも言え」
予想通り、二人が三白目で批難してきた。
これで少しは牽制になったか。
俺の人生設計において、お前らは邪魔な要素だ。
「じゃ、俺急ぐから」
俺はヘッドフォンを着けてゲーセンに向かって歩を進める。
さて、作戦開始時刻がいつかは解らんが……
それまでにこれからの事を予想しよう。
煉と吉津根美山に連れられて、団体とやらを倒す。
果たして何人と戦うのか、そもそも此方は煉と二人で挑むのか?
少なくとも西園ともう一人……。少なくとも真犯人だけは来る。そうなるように既に仕向けてある。
相手は頭の弱い所詮素人の学生。人生が掛かってるとあればまず、来ないはずはない。
だが、それより危惧すべきはもし相手が3人以上の場合。こうなっては勝ち目は薄い。不利になる。
また、煉から今すぐ逃げても団体同様、組織に本格的に追われてしまう。
妹に迷惑が掛からないとも限らない。




