表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
紅蓮色の空  作者: 蒼の矛
未帰還者#2
67/80

未帰還者#2/12

なんだこれ、なんだよ……なんなんだ……?


おかしい、何故だ。


一体どうして………?


デジャブ。いや、既視感と呼ぶには余りに……

そう、濃厚。


濃厚すぎる感覚だ。


廊下に出ただけだぞ?


一体何が。


「紫苑、大丈夫?」


その声に、ハッと意識が途切れたように思考の渦から脱した。


目の前には、打ちっぱなしで壁紙も装飾もないコンクリートが四角く長い空間を産み出していた。


じん。と、身体が妙に暖かい。


「紫苑?」


耳元から声がした。

左の頬がわさわさとこそばい。


煉に肩を抱かれていた。


「何を……した」


「えぇ?」


初めて廊下に出た瞬間。

……デジャブを感じた。


そして、改めて煉の顔を見た瞬間。それが強くなって、気付いたら脳がフリーズした。

文字どおり凍り付いた。

写真のように、その瞬間を凍り付かせた何かが……脳裏に過った。


……この廊下、煉の顔。

……煉とはここに来たことがあるのか?

いつだ?


「私は何も……あうっ」


煉を小突く様にして脱出し、もう一度顔を見る。


シルバーに見えるくらい薄い金の髪、青い目、白い肌。


昨日は暗闇で表情を読み取るのがやっとだったが、日本人のような名がありながら、容姿にその要素はまるで無かった。


「白人だったのか」


「……私は、カナダ人とのハーフ。生まれも育ちも日本」


……ハーフか。


「紫苑。あまり時間が無い早く行こう」


そう言えば、何処かに行くって話だったな。


昨日から色々ありすぎて忘れていた。


予想外が目白押しだ。頭が追い付かんな。

かぶりを振って気持ちを切り替える。


さて、どこに行くんだったか……。


「吉根美山はここから1時間は掛かる。急ごう」


吉根美山から半径一時間以内の地点にこの場所があるのか。


吉根美山かまたよりにもよって……。


「吉根美山と言ったか」


「そう、吉根美山」


西園が死体を隠していた場所とは何の因果か。


「そうか……」


西園は件の団体の一人か?


いや、そもそも能力者なんて世間に露呈してない時点で少数。


その少数の範疇であるはずの西園。


紛れ当たりする率は低くはないか。


なるほど、これは運命ってヤツか。


地上に出ると、日は既に高々と登っていた。


なんだか、数ヶ月ぶりに外に出た気分だった。


これ程までに外の空気が美味いと感じたのは初めてだった。


だが、後にも先にも無いことを祈りたい。


「……これを目につけて」


煉は両手を並べて丁寧に差し出した。


両掌の上に黒く長い布なものがだらしなく垂れている。


合理的に考えてみると一つしか出てこない。


奴等はここの正確な場所を知られたくない。と言うことだろう。


「……目隠しか」


コクン。と煉は頷いた。


相変わらず感情表現に乏しいヤツだった。


まあ、その方が此方としてもやり易いか。


何にせよ道中はこの目隠しを着けるしか無いらしい。


布を目に当てて、後頭部の辺りで縛った。


シルクの様にさらさらした軽い布だった。


厚みが無い割にはきめ細かい繊維で、着けてみると本当に何も見えない。


「エスコートは頼んだぞ。……ぐあぁっ!?」


「……任せて」


俺は腹を抱えて蹲った。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ