未帰還者39
最終的にはあの寺に待ち伏せするつもりだ。
現場を抑えられている以上、証拠の隠滅に乗り出すのが普通だろう。
もし、西園が現れれば俺は正解。
この死神を存分に暴れされられる……?
……正解……西園が犯人……?
違和感……。
西園は何て言った?
……僕は願っただけと言ったか?
能力。意志に反応するものだが。
……願った?願うとはまた……違う気がする。引っ掛かるニュアンスだ。
能力は的確な指示を与え、初めて動く物だ。
願う。願うだけ?
……まさか。……本当に願っただけだとしたら。
そうか、実行犯は別にいるのか……。
電車に乗って九納屋駅に着くなり大山は俺の肩を掴もうとしたが、駅の柱に付けられた鏡面に写っていたのでそれをかわすのは難しくなかった。
そしてそのまま大山は勢い余って転んだ。
柱の向こうに視線を移す。現在は午後13時。
無意識に視線を戻そうとした時、突然身体が頭で判断するより先に何かを警告した。
一瞬固まった……そうしてその警告の意味を理解した。
夏期には間違いなく不似合いなローブの男がそこに居た。
足が勝手に弾かれたように走り出した。
間違いなく不似合い。
町の光景に合わない。
普段ならあんな怪しい男は無関心で通していた。
学校の夜の出会いが無ければ。
ローブの男は俺を見るなり走り出した。
「お前っまてっ!」
改札に切符を突っ込み、滑るように飛び越えた。
ローブは家のある方向の南口とは反対側の北口にかけていった。
この街は北口を抜けて、左に折れるとかつての繁華街の名残と言えるゴーストタウンがある。
南口にショッピングモールが出来た為、繁華街も次第に南口に移っていった。
今では活気等はなく、ホームレスや不良のたまり場に成り下がった学校指定の立ち入り禁止区域だ。
別に学校て禁じられた場所に入るのになんの抵抗も、校則を破る事にどんな優越感も罪悪感も覚えるような事は無い。躊躇わずその場に飛び込んでいく。




