未帰還者34
俺はヒュドラベビーの上に裏側のカードを3枚重ねた。
裏の柄は共通で、白と黒の格子柄に王冠と翼が描かれている。
一度数字比べをしてからすかさずカードをめくる。
「え、はや!?」
大山が目を点にして我々の繰り広げるその光景を眺めていた。
この動作は実際にかなり素早く行われている。
どの程度かと言うと、ベルトコンベアで熟練した作業員が欠陥品を一瞬で見つけ出してコンベアから弾く並みに素早い。
次のカードはクリーチャーレベル5のエンジェルスピアー。
相手はレベル8のホーリーゴーレム。
ギリシャ神話の建物のような石の体をした巨人が、金色に輝く加工をされたカードだ。
いわゆるレアカードである。
チラ見で勝ったことを確認した相手はそのまま、次のクリーチャーを重ねた。
レベル7の天使王アテム。
負けた此方は8枚カードを裏向きに捲り、次のクリーチャーを捲った。
レベル5、闇を食らうものダークイータ。
また此方の負けだった。
カードを7枚裏向きのまま捲り、クリーチャーを出す。
此方はレベル4サンクチュアリガードナー。
対する西園君は、レベル3ライトホワイトリング。
やっと勝っても4枚ポッキリだった。
次の此方のカードはクリーチャーレベル1、こそこそデビル。
相手はクリーチャーレベル7、エンジュエリー。
羽に沢山の輝く宝石やネックレスをぶら下げた天使の美女が扇情的なポーズで描かれている。
またしても光沢が眩しいレアカードだった。
流石、現役だけあってデッキの内容に金がかかっている。
比べても、こそこそデビルは小さな悪魔が壁から顔を覗かせているイラストで何の加工もされていない、誰でも持ってるノーマルカードだ。
また、裏の状態で7枚めくる。
「エンジュエリーの効果だよ、僕は捲った裏側のカードを下から5枚表にする」
西園君は最初に出したクリーチャー、リトルミューズのから上の裏カードをひっくり返してそれぞれ元に戻した。
裏のまま捲ったカードは3、8、7、7。
全て足して25。
更に出したクリーチャーの分を加算すると29枚。
此方のデッキはもう21枚と半分を下回った。
エンジュエリーの効果により西園君は捲った11枚中、裏はたった2枚。
デッキは39枚。
これは劣勢だ。
23枚分の点差を残り21枚未満のカードで削らなければならないが…
残念ながら俺のデッキにはレベル7以上のカードは1枚しかない。




