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紅蓮色の空  作者: 蒼の矛
未帰還者
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未帰還者21

さて、死神だ。

そのままこの未だに茫漠と闇に浮かび上がる寺。

そのどこかに監視する者が居る中で、いましがたどけた廃材の側でただ、立っている死神に向き合った。


木々が落とす暗闇の中で、赤い瞳が野獣のような光を放ち、鎌の刃が鈍く月光を照り返していた。


……何度見ても、こいつは現実じゃない。


この死神はあまりにも常識から逸脱した存在だ。


でも、ここにいる。

俺を手助けする存在。


「答えろ死神。お前はなんだ?」


「……」


やはり彼は何も言わない。


「対話が出来ないのか?喋ることができないのか?ジェスチャーでも何でもいい、なにか意思表示をしてみろ」


「…………」


これにも微動だにしなかった。

ただ、そこにそうあるのが当然のように…置物みたいに動かない。


「ふむ……」


やはり学校で出会ったあの男曰く、対話をするという事は無いのか。


だが、これでは死神の正体も、どこから来たのかも分かりはしない。


多分、知ってるとしたら……あの組織の連中か。


前は向こうから来たが、こちらからコンタクトするにはどうしたら良いのか……。


この力を手にして間もなく、冷静に俺を攻撃してきた。


奴等はこの手の力を持った者を襲う?

いや、誰でも化け物は倒そうとするだろう。


じゃあ、学校で出会った男は?

天使を呼び出して俺を攻撃してきておきながら、殺す気は無いとか言っていたが……。

地下鉄で会ったオッサンは殺す気満々だったのと比べて、食い違っている。


……まだ、組織を全容を判断するのは早い、ということか。


「ふぅ、参ったな」


やはり、命の危険を省みずに組織の人間に聞くべきか。


捕虜を獲得する事がこの死神の、延いてはこの力のヒントを獲得する事に繋がる。


まあいい、せっかくここまで来たんだ。


現場の調査の前に死神をもっと……


「あ……が……」


咄嗟にその場で社の方に注視する。

死神が俺を庇うように前に立った。


どこからか……誰かの声が?さっき麓で聞いた声と似ている。

やはり、あの鳥居を跨いで寺に居る?

麓で俺を見掛けてから、先回って待っていたのか。


しばらくそのままで待機したが、何も襲っては来ない。

死神を消してこちらから探す事にした。

ズボンのポケットに両手を突っ込み、辺りを見渡す。

来ないなら、此方から探す他ない。


本殿の様子が朧気に月光に浮かび上がっている。

右端、正面、屋根の上、左端……素早く目を動かして確認した。両側面は既に暗闇に沈んでいて、ライトの光も吸い込まれてしまって奥までは見えない。

除き覗き込まれていてもこれじゃ分からない。

屋根が中程で折れて、その割れ目は土台まで及んでいた。


誰かが持ち去ったのか、賽銭箱があったはずの場所の向こう。木戸が破壊され、中に入れそうだ。

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