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紅蓮色の空  作者: 蒼の矛
未帰還者
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未帰還者20

レインコートの様なシルエット、黒い死神の姿だった。


昨日の深夜の学校、連中の一味と思われるガスマスクの男と戦った時には、突然発光して変化した。


黒いフードを着けた、より力強い姿に変わったあの時の黒い死神。


やはり変化した時のままだ。


……成長したらそのままらしい。


まぁ、弱体化されるよりはこの方が良いだろう。


そんな事を思っている内に死神は僅か数センチ浮き上がり、廃材をそのまま4つの内、2つ折れた地蔵のところに置いた。


成る程、飛べるのか。


あともう少し退かせば通れるか。


再び死神は廃材を運搬する。


その拍子にどこから飛んできたのか、ひらひらと揺れながら葉が落ちてきた。


「……おっと」


こちらの顔に飛んできたので、横にずれてかわす。


行く宛を失った葉は俺の足元に着地した。


しかし月明かりだけの暗闇の中、妙に白く見える。


……と言うか、葉にしては珍しい長方形をしている。


何かのチケットだろうか。


……宝くじとか?


ライトを向けてみると、直感でその正体がわかった。


「ふむ……」


明らかに墨で書かれた書体、紙質は少し厚い和紙の様だ。


墨でサラサラと走り書きされてるので下の2文字しか読めないが…


その和紙を拾いあげてみると、裏面はまっさらだ。やはりそれはどうみても御札だった。


「……之封?」


黄ばんで端がボロボロに風化した和紙に書かれた文字は授業や辞書にも出ないような難しく、また達筆過ぎて逆に読めない。


唯一読めたのは下の之封の二文字だけだ。


どこから剥がれたんだ?


それなりの寺なら、御守りなんかのグッズと一緒に御札も販売されてる場所があるが。そこから飛んできたのだろうか?

この寺はもう数十年はこのまま放置されてきたと言う事を実感した。



大木が折れる様な音に我に帰る。


目の前には本殿前の広場がポッツリと口を開けていた。

ようやく鳥居を片付け終えたようだ。


御札を捨てて、敷地に入る。


漠然とした視線はまだ感じる。

境内に入るとそれがいっそう際立った。


間違いない、境内のどこかにいる。


闇夜に乗じて何か潜んでいる。


なんでか勘はそこらの凡俗な人間より鋭いんだよなぁ……。

久々にそれを目の当たりにして内心苦笑した。


いつもそうだ、相手の立ち振舞いや、僅かな表情の変化も分かるし、空気の変化にも反応する。


こういう時の俺の勘は当てになる。

……良いのか悪いのかわからんが。いや、危険に気付けるのだから良いことなんだろう。


とにかく何か居る。


……動く気は今のところ無いようだが。


……静を貫き通して済ましている境内を何度も見回しても気になるものは見つからない。


まぁ、慌てることはない。此方には死神がいる。


気配は……多くない。死神を誰かに見られてもろくな説明が出来ないはずだし、必要なら殺してしまえばいい。

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