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紅蓮色の空  作者: 蒼の矛
未帰還者
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未帰還者18

死神の実験に、あの女も役に立つこともあるもんだな。


耳にイヤホンを挿すと、心地よく流れてくる、この前買ったCDの曲を聴きながら、気付かないフリをして原付を引っ張り出した。




吉根美山の梺。

車道にも街灯はかなり感覚が開いており、森には灯りなんてない。


行方不明者のでる人食い山。

夜中の山なら多少迷子にもなろうと言うものだろうが、標高も低くくそんなに規模のある山でもない。


地元民も気味悪がったり、一方で心霊スポットとして廃れているので誰も近寄らない山だ。


真っ直ぐ行けば千葉県に続く大通りに出るが、交通の要所に繋がるとは思えないくらい、道路や背の低いガードレールに苔が生えていて廃れている。

滑って車道から転げ落ちては大怪我、最悪死ぬかもわからないといった具合だ。


街灯は左右に交互にあるが、どこかで断線してるのか右側の街灯だけ全て消えている始末。

民家もあると言うのに、この道路はもう半ばまで廃墟の類いだろう。


そんな事を思いながら、昔寺があった名残を探す。


この辺りにあるはずだった。


山道のすぐ隣の適当な茂みに当たりをつけて、草を踏んだり蹴りしていると程なくそれを見つけた。


コツ……と靴の裏に当たる硬い感触。


例の朽ち果てた寺に繋がる石段だった。


長い長いこの石段を登って行くと、寺の側面から正面に回れる。

いわば近道だ。


雑草やらなんやらが階段を隠しているので、まだこれが正解とはわからないが。


最初に見つけた硬い足場を踏みしめて、ゆっくりと足を伸ばす。


鋭角な角に爪先が当たった。

角の位置を参考にしてその向こうに足を置く。

平たい。


次の段があることにほっとしながら懐中電灯をつけ、この階段を登って行った。

懐中電灯の光によって目の前の闇が丸くくり貫かれる。


「……え……」


「ん?」


何か聞こえた……ような気がしてイアホンを外す。


前方には人気はない。だが後ろを見渡しても、人影らしきものは見えない。

というか暗くてわからない。

俺は割りと夜目には自信のある方だが、音の発生源らしき物は発見出来なかった。


暗くてわからないが、人の声……かと思ったんだが。


……鳥の鳴き声か何かだろうか。


いつまでもキョロキョロしても仕方無いので、足元を照らしながら慎重に石段を登っていった。


やはり苔が所々生えている。


石段中央の金属の手すりは錆び付き、巨大な蜘蛛の巣で白くなっている。


出来ればあの手すりには世話になりたくないところだ。


更に慎重に、一段一段確かめるように登って行った。


そうして時間を掛けてのんびり進んでいくと、踊り場のようなところに出た。

正面は丸い石が埋め込まれた壁だったのだろうが。

様々な植物が思い思いにそれをコーティングしていて、突き出た石に従って緑色の波を作っていた。

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