未帰還者11
そう言うと西園は残念そうな顔をして肩をすぼめて若干小さくなった。
「なんで学校来ないの?苛められたの?」
「そういうんじゃないよ」
大山の問いにそう返し、西園は困ったような苦笑いを浮かべた。
この生徒を俺も大山も知らなかったと言う事は、恐らく一年の時は別のクラスだったのだろう。
俺自身、他人に興味がないから別のクラスとなると正直わからない。
よし、ここは情報を引き出すために鎌を掛けてみよう。
竹中とあの晩、電話で話した事が事実なら……
「6月21日」
それだけ言うと、西園は腕を組んでこちらから窓へ一瞬目をそらした。
ふむ……。
その反応を時間を掛けず、だがよく観察してから俺はその後の言葉を続けた。
「……からだよね?いや、正確には2、3日間を空けて学校には来ていた。でもだんだん間隔が長くなり、来なくなった。だよね?」
6月21日に反応あり、か。
あからさまな防御姿勢を取った。
腕を組むとは心理的に身を守りたい時にしてしまう動きだ。
視線を逸らした事は言うまでもない。
そこに何を隠してる?
いや、その日にあった事を調べるまでもないのかも知れない。
俺は笑顔で思考を隠した。
「まあ、何か力に成れるかもだし。メアド交換しようぜ?相談乗るし」
この事件にはほんの少し興味が沸いた。
人が死んだ日に不登校になるとはね。
竹中はこの事については何か知っている。
6月21日から来なくなった事について。
それから、俺は西園とカードゲームの話で盛り上がった。
バトル遊戯という、ライトノベルが元になったカードゲームだ。
あのカードゲームは小一の頃かじった事があるが。
半年に一回とルール改定の頻度や規模が凄まじく、それに振り回されてまで付き合ってるのがバカらしくなって、やめてしまった。
相手と同時にカードを動かし、トランプのスピードの様な激しい戦いだったハズがターン制になり、自分の番がくるまではお互い、何も出来ないと言った具合になり。
最後には一度のターンに使えるカードの枚数は3枚までとか言い始めた。
正直こうなっては、どんどん試合が長引いてしまい、もうこの時点でこのカードゲームは廃れていった。
だが、一部の熱狂的ファンの間では一番最初のスピードルールで遊ぶ事があるんだとか。
西園はその熱狂的ファンらしく、既に販売中止になったこのカードゲームを現役でやっている様子だ。
あとから異様に強いカードも発売される訳でもないので、将棋や囲碁同様に、ある物をどう使うか。
というゲームになっている。
といっても数百ある中から、50枚のカードをチョイスしなければならないが。
最低限のカードがあればとりあえず、張りのある試合がいつまでも出来るのだ。
詳細は忘れたが、ともかくスピードルール時代は面白かった記憶がある。
一年生の頃は同じバトル遊戯をするバトラーを探してカード専門店をさ迷ったものだ。
そんな話で盛り上がって、大山を全力で取り残した。
この日一日を西園なんかに費やす気にならなかったので、不自然にならないように用事をでっち上げて早々にお暇したのはもう10分ほど前だ。
俺と大山はまた、道路だけ真新しいという、なんだか不自然な田舎道を歩いている。
「バトル遊戯ねぇ……」
大山が組んだ両手を高くあげて伸びをしながら呻くように言った。
西園と語らってた時は小学生時代に帰った気分だった。




