未帰還者8
言われてみて服装に注意を向けてみる。
白いワンピース、半袖のデニムジャケット、麦わら帽子。
夏らしい格好だ。変なところはない。
それが正直な答えだ。それ以上はない。
「……ワンピース似合ってるよ」
「本当に!?」
適当に誉めてやると俺のそばに駆けて来て、一緒に歩き出した。
さっきまで死にそうな顔で歩いていたくせにどこにそんな元気があったんだ?単純なやつだ。
「いひひ♪良かった~紫苑の為におしゃれしてきて」
俺の為にねぇ……。
別に普通でいい。
なんかダルいと言うか、めんどくさい。
暑苦しい……ウザい……。
「紫苑はさぁ、好きな人とか……その……居るの?」
「……え……?」
あれ……?おかしいな…。
今……
「だから、好きな人居るのって話よ。どうなの?」
好きな人。そのフレーズで
脳裏に赤い瞳が浮かんだ?
このイメージはなんだ?
コイツ、この瞳の主は知ってるやつか?
……いや、そんなはずない。
俺は人が大嫌いなんだから。
そして、それをひた隠しにして生きてきた。
だから好きな人なんか居やしない。
誰の事も好きになんかならない。
……あれ?
いつからそんな生活をしていたんだっけ?
いつから……人が嫌いになったんだ……?
…………思い出せない。
「紫苑?どうしたの?」
気が付くと大山が前に回り込んでいた。
ぶつからない様に立ち止まる。
「いや。……居ない……よ」
多分……。
会った覚えは……ないはずだ。
でも、アイツは誰なんだ?
「そう……居ないんだ!」
上機嫌になる大山の後ろで俺は瞳の人物の事を考えた。
……居ない……。
多分、映画か何かのワンシーンがフラッシュバックしたんだろ。
青い瞳なら外人のはずだ。
カラーコンタクトなんて、こんな田舎じゃ流行るような物じゃないだろうし。見たことがない。
居るはずがない……。俺が人を好きになるなんてあり得ない。
それから歩き続けて、俺達は西園家にたどり着いた。
腑に落ちないが、とにかく今は気持ちを切り替えていこう。
さて……面倒な事が始まるぞ……。
「西園 宗一郎君……かどんな人なんだろうね?」
「さあな、引きこもりだろ?」




