未帰還者7
そういって自販機で500mlのペットボトルを一つ購入した。
大山の所にかけ戻ってペットボトルを差し出す。
「はいよ」
日射病対策に大山にポカリを買い与えた。
「あ、ありがとっ!」
嬉しそうに受け取り、早速それを飲んでいる。
大山が倒れたら、俺が責任を問われる可能性がある。
150円で保険が掛かるなら安いものだ。
飲み終わって、1/3だけ減ったペットボトルを鞄にしまい終わるのを待って、俺達は田舎道を歩き出した。
小綺麗な駅を出てみると、左手の景色も見える。
やはり、駅と同時期に建ったであろう真新しいコンビニがある。
駐車場には錆び付いたトラクターが停まっている。
しかし、今のままじゃ儲かるのか微妙なところだ。
舗装されたばかりの道路は、所々田んぼの土が被さっていた。
「一駅隣なのに、九納屋町とは偉い違いね……」
大山の呟きは最もだ。
九納屋市、九納屋町は一面街を成している。
田畑なんかは外れにしかないし。
駅前には巨大なショッピングモールも、カラオケもある。
いや、やはり田舎だからそれが限界なんだよな。
この島の運命が決まる直前、部分的に都市開発を始めた為、境目では景色に随分差がある。
現に駅一つ跨いだらこれだ。
バス停の表を見ればバスは2時間おきらしい。
残念だが歩いた方が早い。
強すぎる日差しで辺りの景色が眩しく、鮮やかに映えている。
「この田園地帯から先は住宅地しかなさそうだな」
俺は額の汗を拭った。
蜃気楼が住宅地までの道路を軟体生物のように曲げ、在りもしない水溜まりを作っている。
そして猛暑で、熱を溜め込んだアスファルトからの熱気がまたたまったもんじゃない。
どこかに潜んでいるアマガエルの声を聞きながら重い足を進める。
「溶けそう……」
今日の最高気温は39度だったかな。
大山の呟きも最もだ。
早く行こう。
そして素早く帰る。
それが最もベストだろう。
俺は少し足を早めた。
早く秋にならないものか。
暑いのより涼しい方が好きだ。
暑さは集中力を奪い、何も手につかなくなる。
冬の方がましなくらいだ。
そうして18分経過。
大山は温くなり始めたであろうポカリを飲みながら後ろから着いてくる。
「ねぇ紫苑さん?」
……さん。だって?
オゾ気が走るからやめろってんだよ……。
「どした?」
振り返ると、大山はスカートの裾をひらひらさせたり、麦わら帽子を調整したりした。
「今日はおしゃれだねーとか、綺麗だよとか無いわけ?」
な、なんだって?
服装について感想を求めているのか?
そんなの同性の友達とか、彼氏とやって欲しい。




