死神11
盾と衝突する度に、天使の姿が見えたがそれまでは速すぎるらしくハッキリとは見えない。
死神が大きく鎌を構え始めた。
柄の下の方を握って、腰だめに。
まるで侍の居合い斬りの様だ。
そして、豪快かつ素早く、大きく振り抜いた。
天使はギリギリの所で防御に転じ爪を交差させて受けたが…………刃の重みに耐えられずに両手の爪は碎け散った。
天使に初めてこちらの攻撃が入った。
防ぐものが無くなり、そのまま鎌の刃は天使の腹に深々と突きたち、振り抜いた勢いで真っ二つに切断されて、無惨に吹き飛ばされた。
流石に致命的なダメージのはずだ……。これでいい。
頭痛に堪らず額を抑える。
そんな事より、頭痛が……。
地下鉄の時より……酷い……。
「ほー。いやはやビックリしたなあ」
だが、ガスマスクの男は光に消えていく天使の残骸を眺めながら、呑気なため息をついていた。
な……何故ため息を着いていられるんだ。
「何ともないのか!?」
「おや、心配してるのかい?大丈夫だよ。僕自身はね」
そんな……全く弱って無いなんて。
あいつには頭痛が発生しない?
「まあ、僕自身の分身がやられたわけじゃないからね。僕にダメージのフィードバックは来ないんだ」
自身の……?
なんだって言うんだ?
あの天使は偽物だとでも言うのか?
「まっ驚いたけどね。少年、君はなかなか臨機応変と言うか、器用と言うか……」
「アンタ、この力についてなんか知ってるのか?」
「んーまあね。でも、今は眠るといい」
ガスマスクが暗闇の中、一瞬腕を振るった。その時俺の何かが腹に突き刺さる。
よく見ると注射器の様なものが服に食い込んでいた。
ガスマスクのその手を良く良く見ると、拳銃らしき物が握られていた。
一瞬の出来事で何の行動も出来なかった。視線が下がる。地面がゆっくり迫る……




