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紅蓮色の空  作者: 蒼の矛
死神
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死神7

組織的と言ったのは根拠がある。拳銃なんてこの国では個人では入手しにくいし、あの腕に巻いていた不可思議な装置。あれが何かは分からないが、あんな高価そうなもの、そうそうお目にかかれない。


……でもヤクザものの仕業ではない。

連中は数で押してくるし、そんな風でもなかった。

どちらかと言えば、警察か?自衛隊か?……他の国の諜報員か?

バカげた話になってきたが……だが、そんなような中でも洗練された、老練の兵士のような感触があった。


連中に俺が何者かも知られるのも時間の問題……。いや、知られているくらいに思わなきゃだめだろう。


狙われた理由は詳しく分からないが……

すぐさまあのオッサンが現れた事から、俺は以前からマークされていたんだろう。


出来れば殺したくは無かったが。

まあ、頭痛が酷くて話し合いどころじゃなかったんだ。


そうだ、もう痛くないのは何故だろう。

慣れか?

またあの死神を使えば痛くなるのかと思ったが。


まあいい。


「さて、今はまだ姿を消していてくれよ?家から出られない」


俺がそう言うと、死神は空気中に溶け込むように透明にぼやけて霧散していった。


どこに行こうか?

人目につきたくない。

都会と違って田舎ならどこでもそう言った場所に事欠かない。


広い場所……


「そうだ」


近場に一ヶ所あった。

少し時間をかければ廃墟まで行けるが、今は時間が惜しい。待ちきれない。


さて出掛けようと玄関にそろそろと降りていく。


懐中電灯を着けて片方の靴を履いた時、背後で戸を閉める音がした。

今家には俺の他に妹しかいない。


「兄さん……?出掛けるの?」


「ああ、少しな」


「……ダメだよ……こんな時間に……ママに怒られるよ」


……中学生でママはないだろ。


我が家には両親共にいない。

俺と妹を産み育てた両親は、両者とも事故で死んだ。

その両者に残された莫大な遺産で生活している。


振り返ると、妹がキッチンに通じる扉の前で目を半開きにして立っていた。


「お前、寝ぼけてるな?仕方ないな……」


「ふぇえ?」


靴を脱いで、海中を流されるクラゲのようにフラフラしている妹を引き寄せて、無理やりおぶった。


「やれやれ、よっこいしょ」


そういやコイツは喉が渇くとなんか飲みにキッチンまで降りる傾向があったな。

喉が渇く度、こんな調子で階段を登り降りしていたのか。

危なっかしいヤツめ。


「兄さん……」


「ああ、まてまてまだ寝んなよ?」


手の掛かる妹……

ではなかったハズなんだが……。


この子、家事は得意だし。


まぁ、たまにはいいか。


そう思いながらも同時に不安が過る。


……組織的かあの連中、妹まで手出ししないだろうか?


いや、それは……。

もう遅いか。


連中の仲間を仕方がなかったとは言え、殺害してしまったんだから。


殺らなきゃ殺られていた。


頭痛で目眩がしたほどだ。

そんな状況で、器用に戦場談判が出来るほど俺はタフじゃない。


妹のベッドまでつくと、掛け布団を剥がしてそこに寝かせた。

掛け布団を肩まで掛けて、部屋を出る。


「やれやれ」


中学生で拐われたり人質になるようなトラウマなんて……

まだ、コイツは幼いんだ。そんな目に合わせる訳にはいかない。……そうだ、幼いんだ……。


俺みたいに辛い目に……俺みたいに……?


何の……事だ?何か……ピンとこない。

俺にトラウマなんて有ったか?人の中で生きてきたのがそんなに辛かったか?……いや、なんか違う。


いや…………今はあの組織を早急に調べあげなくては。


どうせ、死神を出せば釣られてくるんだろうし。

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