4
今回は短めです。 1章はこれで終わりです。次から2章です。
★
司教とか猫とかバルトさんは夜の見回りに行った。後、ウェスタとかいう司教が契約している中で、一番強い悪魔を連れ出して行ってくれた。
正直言うと、昨夜もあんま寝てなくて。ごはん食べたら眠くなってきたんだが。
宿舎の二階の角部屋。どうやら、新入りの俺と兄ちゃん、そして悪魔達の部屋らしく。半分眠りながら、兄ちゃんに手を引かれて一つしかない、ベッドに腰かけている。
ロベルトと試験の悪魔……オメガが心配そうに見降ろしていた。
「……ジャン、眠そうだな? 本当は、お前の実力見たかったんだけど。――なんか、無理っぽそうだな」
ロベルトはため息をついていた。
あのごはん、なんか薬でも入ってた? いくら俺が新米とはいえ、それなりに体だって鍛えているし。まだ十時過ぎくらいで、ここまで眠くなる訳ないのになぁ。
「しょうがねぇから、チビッ子。実力見んのは明日にしてやるからさ。今日はのんびりと話でもするか? 北部で本当に起きた恐ろしい話だぜ?」
クククと意地悪げにのどで笑うオメガ。ものすごく極悪な表情じゃねぇかよ。
どっちにしろ、その実力見るっていっても、兄ちゃんとは、こっちのオメガ、司教補佐試験の時に見たじゃねぇかよ、とは思ったが。兄ちゃんの方が強かったじゃねぇかよ、なんて、半分眠りながら思った。
しかし、それ。止めた方が。
「ジャ、ジャン! 起きろ!! 俺はそんな話、聞きたくないぞ!」
焦ったように、ゆっさゆさと俺の上半身を揺する兄ちゃん。兄ちゃんって、自身がすでに人間じゃないのに、そういう話、苦手なんだよね。真っ先に怖がってんの。
俺は心霊現象的や怪奇現象的な話を聞いても、別にどうってことはないけどね。
―――それよりずっと怖いものを知っているからね。
揺らされたせいで、なかなか心地よく。俺は眠りの中へと入っていった。
ここまで、読み進めていただき、ありがとうございます!