診断メーカーSS 〜prologue〜
花が咲き誇った。
海風は夏を誘った。
落ち葉は地を覆った。
雪は、世界を染めた。
そんな世界。
当たり前?
違う。
この世界は、空想だ。
誰が住んでいるかもわからない。
けれど、この世界にはちゃんと命が宿っている。
夢見屋がいたり、死者がいたり、半妖が居たり。
それでも、皆生きていて、息をしていて、同じ空の下で笑っている。
彼らは、どう生きるのか。
彼らは、どう笑うのか。
彼らは、どんな人生を歩くのか。
夜を過ごし、朝日を見て、青空を仰いで。
そこに一輪咲いた花は。
この世界の皆を見つめていた。
この世界に終わりが来るまで、花は揺れ続けている。