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プロローグ―少女の声―

♢♢小説の内容を大幅に変更しました。♢♢

うっすらとした蝋燭の灯りの下。


薄暗い部屋の中にふたつの影があった。


1つは月のように儚く美しい。銀髪の少女。


1つは太陽のように強く温かい。赤い髪の少女。


ふたつの少女は小さな蝋燭の下で揺れていた。


銀色の少女は薄暗く埃っぽい部屋の奥へとゆっくりと歩いていく。その一歩後ろを赤い髪の少女はついていくのだった。


部屋の一番奥の暗闇にたどり着くと少女達は壁に向かって何かを描き始めた。


ひとりは均等な全くの歪みのない円や幾何学的な模様をもうひとりはその絵の回りに文字や数字を何重にも重ねて書き続けていた。


やがて、2人の手は止まった。壁は不可思議な記号や文字で埋め尽くされていた。


銀色の髪の少女は満足げに頷くと感情の籠っていない冷たい声で鳥のさえずりのように美しい唄を唄い始めた。


「ー我異界の門を開く鍵なり、我の呼び声に応え、その姿を現せー」


少女の声が部屋の中に響き渡る。

その声に反応したからなのか、壁に描かれた模様が弱々しく青白い光を放ち始めた。


「ー異界への道しるべとして、我の血を肉を捧げるー」



少女の唄が続くと何処からともなく光が現れ壁に集まっていく。壁が光を吸収していくそんな風に思える光景だった。



「ー深淵の奥深くへ続く。姿無き。隠されし門よ姿を現せー」


光は渦を巻き。壁の絵はどこまでも続く底の見えない螺旋を描きながら回りだした。


「ー異界の地。セフィラの地。ふたつの地をつなぐ者ー」


壁はゆっくりと盛り上がり形を変えていった。門のようだった。びっしりと固く閉ざされた扉所々に豪華な装飾が施された巨大は門がそこにあった。


「-異界への門を開き。我の願いを届けよ-」


少女の呼び声に応えゆっくりと閉ざされていた扉が開く。先の見えない真っ白な闇が入り口があった。


扉が開くと少女は声をあげるのを辞めた。


少女は声を出すことをやめたのではない、出すことができなかったのだ。


喉の奥を何者かに強く締め付けられたような呼吸の出来ない苦しみが少女を襲っていた。


原因はわかっていた。目の前にある妖しく美しく光る門だ。


門の中へ自分の力が吸い込まれていくのがわかった。



門は少女の力を命を生気を奪っていく。

少女が弱っていくほど門は大きく、美しくなっていた。

まるで少女の全てを奪い喰いつくそうとしているかのようだった。


部屋を灯す蝋燭の火は揺れながら小さくなっていった。


銀色の少女の呼吸は乱れていた。叫び声をあげることもできずに、ただ不規則で苦しげな喘ぎ声を出す事しか出来なかった。


紅い少女は心配そうに苦しみ続ける銀色の少女を見つめていた。

出来ることなら今すぐにでも辞めさせたかった。


しかし、紅い少女には止めることはできなかった。


銀色の少女の儚くも強い願いを途切れさせることが出来なかったからだ。


だから、今こうして苦しむ友を目の前にして血が滲むほど唇を噛むことしか出来なかった。


銀色の少女はやがて立っていることが出来なくなりその場に崩れ落ち床に膝をついた。


門は少女の様子を見て嘲笑うかのように鮮やかに強く光った。


もうこれ以上は無理だ・・・。

紅い少女は友の苦しむ姿をこれ以上見ていられなかった。


銀色の小さな肩を抱き、願う。


ー私の力も捧げます。だから!もうこれ以上彼女から奪わないでー


紅い少女は門に自ら自分の持つ力を注ぎ始めた。



少しでも腕の中で苦しそうに呻く友の為になるのならば自分がどうなろうと構わなかった。


門は紅い少女からも力を奪い始める。


どのくらいの時間がたっただろうか?

この苦しみはいつまで続くんだろう?


終わりの見えない苦しみの中に少女達はいた。


だが、終わりは突然やってきた。


突然門は目の眩むような激しい閃光を放つ。


目の前が真っ白に染まった。

光が止むと部屋は真っ暗な闇に包まれていた。


門は跡形もなく消え去っていた。何事もなかったかのようになんの変化もなかった。


紅い少女はゆっくりと立ち上がり震える膝に僅な力を込めて立ち上がる。


何が起こったのか何もわからかった。


紅い少女は消えてしまった蝋燭に再び火を灯した。



埃っぽい薄汚れた部屋のなかには3つの影があった。



「なぁ……ここは何処だよ?。お前達誰だ?……俺はどうしたんだ?……」


3つ目の影は不安げにそう呟いた。


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