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もふもふの伝説  作者: タニシ
獣道編
21/24

行けない!?

忙しくなりだしたので量が減る、もしくは期間が伸びると思われます。出来る限りは続けていきます。

 おはようございます。

 結局神には夜更け恐らく日付が変わるくらいまでお付き合いいただいました、はい。

 帰るときはふっと消えるので驚いたけどどこでもできるわけじゃないらしくそのポイントまで乗せて走ったら目を回してしまったのも帰るのが遅くなった原因です。軽くっていうから軽く走ったんだけどな?

 ただ、帰ってから気付いたけど、まだ聞いてないことがあった。しまったがもう遅い。神の名前も聞いてない。


 今日の朝御飯を適当に捕まえて、今日は町に行こうと思います。

 一度いったあっちの町の優しい対応してくれたお兄ちゃんならいろいろ話せると思う。

 短い時間だったけど森でえさをとったあとせっかくなので焼こうと川辺に戻ると来客者がいた。回りに他の気配はなくまた一人らしい。


「あっ」


 姿を見せてやったのだけど、俺を見た瞬間一歩引きやがった。ここで待っていたということは俺に会いにきたんじゃねーのかよ。

 と思ったのだが無理もなかった。今俺は食料用の兎をくわえ、尻尾で猪を運んでいる。

 血が滴りでているのでそれは驚いても仕方あるまい、血抜きのため普通見ると思うのだけど、この世界の常識には疎いし、冒険者(仮)でもそういう機会は少ないのかもしれない。

 一旦猪を置き近づく俺、だけど彼女は逃げてく。一回は無理矢理やらなきゃ駄目だろうな。後ろは川なのですぐ止まるが前回と比べ交戦の意思がないだけまだましであろう。

 一歩手前で止まると彼女に向かって魔法を用意して尻尾を一本差し出す。

 何がなんだかわからない様子だがおそるおそる尻尾に触ろうとする。じれったいのでその手に尻尾をぶつける。


「『アリス、でいいんだよな』」

「きゃっ」


 きゃって、きゃって……

 まぁ無理もない。神いわく「直接頭に文字が送られてくる感じ、君のもとの世界のメールを読んでいるみたいな」らしい。

 神の魔法を模倣した結果、コミュニケーションの手段は手に入れられた。しかし、完全に真似できたことがないので当然同じことはできない。頑張った結果は俺の意思を日本語で恐らく翻訳済みの文字十数文字分まで送ることに成功した。ただし一瞬でも触れてないと送れないし、慣れないせいか文字を増やすほどに燃費が悪い。それでも全然保つし、出来るようなっただけでも上出来である。

その金髪の少女アリスは回りをキョロキョロと見渡して「あなたが?」と呟く


「『それ以外誰がいる』『何しにまた来た』」


 ぺしぺしと叩いて文字を送ると彼女は目を丸くする。驚くのは構わないがさっさとして欲しいものである。町に行きたいのだが、その前に肉も焼きたいのだが。


「あなた、喋れたの、いえ、話すとは違うわね。意思疏通できたのというべきかな」


 なんがぶつぶついいながら考え出したがもう面倒になってきた。

尻尾で顔を狙って叩く


「『用がないなら帰れ』」

「ひゃ」


 見事に命中して、小さく悲鳴をあげるが無視。肉を焼く準備を始める。


「ちょ、ちょっといいかな」


 ちらりとそちらに視線を向けてやるが手と尻尾は休めない。

 少女はそれを肯定ととったのか言葉を紡いでいく。


「あなたがなんでここにいるかは分からないけれど、もともとここにいた生物ではないわよね。普通ならそこまで問題ではないのだけど多分この森の主よりあなたが強いから回りに皺寄せがいっているのです。出来るのであればこの森を出てもとの居場所に帰ってくれませんか」


 ふむ、言いたいことはわかった、だが


「『それは人間の言い分だろう』」


 ぺしりっと彼女を叩く。とりあえずまずは兎から焼いていこうか、


「で、ですが事実です。現に今までまずない街道で獣に襲われたり奥地に住んでいるはずの生き物が近場に来ていたりします!」


 そういわれても故意的でもないし帰れない。


「もう村ではあなたを討伐するために集団クエストが発行されています!このままでは殺されてしまいますよ!」


 なにも返さないことに苛立ちを感じたのか彼女の語彙は強く叫ぶように、それに俺は少しショックを受ける。討伐の対象にされるなどかもしれないとは考えていたが、実際になるとやっぱりショックではある。

 アリスははっとした様子で後退りする。大方俺に向かって叫んでしまったことに恐れを抱いたのであろう。

 狼の顔をみて感情を読み取れなど無茶であるし、ここは森で彼女は一人、しかも弓使いであるのに至近距離であるなど不安になる要素はたくさんある。そこで俺の怒りをかうなど死を連想してもおかしくはない。それでも川に飛び込んで逃げないだけ信用はしているっと思いたい。

 尻尾が届かないので彼女との距離を詰める。アリスは少し震えてはいるがその場に踏みとどまったままだ。

 少し嬉しい

 しかし、これは聞かねばならない。

 今日、初めて彼女と会ったときと同じように尻尾を彼女に差し出す。

 アリスは意を決っしたように俺の尻尾をふんわりと握る、


「『何故だ?』」

「…え」

「『何故それを俺に伝えに来た』」


 下手をすれば殺されるかもしれないのに、だ。

 彼女からすれば俺はただの狼。意思疏通の手段もあるとわかっていなかったのに何故来たのか、聞かねばならない気がした。


「私ね。狼って好きなんだよ。私の大切な人が三度の飯より大好きでそしたら私も好きになってた。」


 そいつとは気が合いそうだ。


「でもね。私は狼が嫌いだよ。私の大切な人を奪ったから。ごめんね。嫌いなんていって」

「『そうでもない。それでも』『狼が好きだというは嬉しいから』」

「ありがとう。でもね、やっぱりちょっと憎いんだよ。この前はね、子供のために薬草を取りに来てた」


 それは勝手に送り届けて悪かったかもしれない。


「でもさ、子供のためっていいながら私はあなたを討ち取ろうとしてた。もちろん子供のためってのもあるんだよ?だけど十分な量の薬草をとってももしかしたら足りないかもって更に奥に進んできた。うんん、それこそあなたを討ち取ろうとしてた。バカだよね。あの人とあなたは関係ないのに。」

「『そう簡単に』『割りきれるものでもない』」

「うん、ごめんね。そのあと、宙ずりになっちゃって死ぬかもって思ったときに助けられて、魚ももらって、猪からも助けられて何日かかかる筈なのに気づいたらもう村についてて…あれ私いたれりつくせりじゃない」

「『荷台から落ちたときもな』」

「あぁ、それもか!これだけたくさん恩があってさ、見殺しになるのが怖くてまた来ちゃいました」


てへっと笑う彼女。しかしあれだ。こいつ


「『馬鹿だな』」

「なっバカって何よ。自覚してるけどさ。それでもこう言い方ってのが」

「『ありがとな』」

「えっ、ちょっ急に、私の方こそありがとう、って私が先に言おうとしてたのに……あれ?」


 わたわたしだすがとりあえず頭を抱えるなら尻尾を放せ。とは思うのだがしばらく放っておこう。これからどうするか考えないといけない、まずは火にかけてる兎肉を尻尾で取ることからはじました。


 直ぐにアリスは次第に落ち着いてきた。心拍数は落ち着いたのに尻尾は握ったまま親指を動かし毛並みを味わう余裕があるくらいには落ち着いている。


「『おい』」

「はひっ!」


 驚いて姿勢をただすアリス。しかし尻尾は放さない。

 驚いたことに少しびっくりした、急に声をかけただけの驚きかたではなかったから。少し考えて納得した。俺が送る言葉はあくまで文字。声の抑揚や大きさなどは含まれない。文字だけでおいっとよべば怒っているようにも見えるだろう。

 それに、あれだ、うん。きっともふもふに飢えていたのだなと少し哀れむ。

 なにせ怯えたり狩ろうとした相手の毛並みをこっそり味わっているくらいなのだ。多少は多目に見てやることにする。


「で、出て行ってもらえるのかな?」


 おずおずと不安そうに問い掛けるが、手は止まらず尻尾を親指で擦り続けている。


「『まず、親指止めろ』」

「ごめん、無理」


 おどおどしていたはずのアリスはまさかの真顔で即答したのであった。




毬「……」

あかね「どうしたの、お母さん」

毬「あの子、駄目だわ」

あかね「撫でてて羨ましいから?」

毬「それもあるけど……なんか私であれば関わりたくない感じがするのよ。いえ、あの子には特に近づけてはいけないような……」

あかね「ふ~ん、まっ私達はなにも出来ないけどね」

ユグ「それもそうだろう。彼女は……」

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