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もふもふの伝説  作者: タニシ
獣道編
20/24

魔法とは!?

ちょっとした説明会、

次回からやっと町に入るために頑張れる。

「まず、魔法の種類から、魔法には大きくわけて4つに分類されるんだ。基礎魔法、種族魔法、眷族魔法、固有魔法と別れてそこからさらに系統で別れるんだけど省略するね」


 すでによくわからんな。


「もう、口を挟まないでよって無理か。僕が勝手に読んでいるわけだしね。簡単に説明すると

 基礎魔法は身体強化など、誰でも使える魔法

 種族魔法はその名のとおり種族共通で使える魔法

 眷族魔法は大きな力を持つものによって与えられた魔法

 固有魔法はその人だけが使える魔法だね」


 ふむ、で俺の魔法はどれに分類するんだ?


「全部だね」


 全部!?

 基礎はわかる、種族と固有もわからんがあってもおかしくはないと思う。だけど眷族魔法だけはわからんぞ。


「順に説明するよ。基礎魔法はまぁわかるよね。ちなみに魔力玉もここに分類するよ。種族魔法というよりは特性かな? 魔力を知覚できるようになること、これは人間でも修行を積めば出来るようになる。毛の鎧もここに属するね。」


 ふむ、普通だと思っていたがこれは普通じゃないのか。


「そうだね。出来るようになるといったところで普通十年単位の話だし、今の君のレベルまでできるようになるには人生じゃ全然足りないね」


 笑顔で言われるが笑っていられることではない。

 それすなわち魔力知覚はすでに化け物といわれているようなもんだ。俺の種族って結構やばかったらしい。


「ちなみにだけど、ハクヤは君の兄弟達の3倍はあるからね」


 なんと!? なぜに!?


「それはあとにして、眷族魔法だけど」


 あとか……兄弟たちと比べても異常なのか……

 でそれは俺に身に覚えもないけれど

 首を捻って考えてみるが力を持つものによって与えられた? そんな奴と出会ったことも貰った覚えもない。


「君にかかっている眷族魔法は魔力の質をほんの少しだけ上げてくれるものなんだ」


 質?


「そもそも魔力から魔法に移るまでに3つの要素が関わってくるんだ。一つ目は魔力量これはわかるよね。二つ目は魔力効率、同じ火でも息を吹き込むと高温になったりするのと同じでもれなく効率よく燃やすことで力が変わること。これらは練習や体力で向上するし、気持ちで一時的に増えたりもする。

三つ目が質、こればかりは生まれ持ったもので魔法を火に例えると魔力が水の人もいれば紙の人、爆薬の人だっている。僕の眷族魔法はこれを少しだけよくしてくれる」


 …僕の?


「僕の」


 そうだよな、神だしおかしくない、というか他にいないのに何故思い付かなかったろうか。なんか見返りを求められそう……


「僕が担当した気に入った人にあげてるだけだよ。魔法は僕の手をはなれてるから消えることはないし、ほんの少しだしね。強いて言うなら欠片集め頑張ってくらいかな?」


 そうか、それで固有魔法は


「これがまた面倒なんだけど、とりあえず僕が開花させた君の固有魔法は魔力掌握」


 掌握?


「簡単にいうと、魔力を思い通りにあやつる魔法だった」


 だった?

 何故過去形なんだ。実際思い通り動かしてないが。


「固有魔法はその人の魔力の特徴、性質により十人十色なんだ。魔力を感じれる君にはわかるよね。君の魔法はその性質を変化、操作してしまうものだった」


 なにそのチート


「変質させるにも魔力を使うだろうから燃費は最悪だろうけどね。それを補って余りある魔法だった」


 今の俺にはそれはないのか?


「ないということはない。君も薄々わかっているだろうけどさっきの電撃も固有魔法。劣化しているけどそれが君の固有魔法だよ」


 うむ、便利な魔法だな、普通と思っていたことが固有のものだと言われるのは不思議な感じがするけれども、でも、兄弟にはあった得意魔法が俺にはなくて劣等感を感じたものだが俺にも得意魔法もとい固有魔法があってほっとしている。

 でも、なんで劣化しているんだ?


「君の魔法は試行錯誤でなんでもできる、といったよね? まぁ、賢者と呼ばれるような人たちも似たようなことは出来るけれど、君のそれは異常でね」


 異常だらけかよ、落ち込むぞおい。


「上には上があるから気にしなくていいよ」


 気にするわ!?


「続けるよ。魔力には器があると考えてくれていいんだけど、その器が魔力を貯めて特徴を決定付けるんだ。僕はそこに石をいれて固有魔法の開花を促す感じ。だけど、君は君の魔法でその石を砕いちゃった」


 えっなんで!?


「知らないよ。とにかく砕いて7つに別れたそれらを君は家族に配っちゃったんだ。大方死んでほしくなくて力を分けたんじゃないの?」


 そうか、記憶がない時に無意識にやっちゃったわけか。

 それにしても7つ? 俺たち兄弟で5、母も入れて6なんだが


「父親の方にも行ってるみたいだよ。」


 それで7つ全部か。


「それによって思わぬ作用も出てるんだ」


 兄弟達の固有魔法の開花か

 ほかの群れに出会ったとき毛の色が変わっているような奴もいなかったし


「そうだね、珍しいはずの固有魔法が兄弟全員使えるのはその作用といっていい」


 固有魔法って珍しいんだ。


「でも、僕が言いたいのはそうじゃない。君も薄々わかってるんじゃないかい?」


 ……………


「考えないようにしているね。だけど、わからないと思えない時点でわかってしまっているのとかわらないよ。」


 ……そうか

 確証なんて全くなかったのに、そんなことはないと、大丈夫だと思いたかったのに、僅かな希望さえなくなった。


「簡潔にいうとね。君は君の石の破片を渡した子の魔力の器を引き継いでいる。その子の死というタイミングでね」


 姉は死んだのか……

 あの時の炎は俺のではない。まず間違いなく姉のものである。そう思うと涙が溢れる。大切な家族が死んでしまったという事実に、俺がその場にいれば守れたのではという想いに、看取ってすらやれなかった不甲斐なさに、胸が張り裂けそうになる。


「そうだね。命を落としてしまっている。だけど、そのお陰で君は助かっている。それもまた事実だよ。そのことに関しては彼女も……妹君があかねと決めた君の家族も喜んでいるのではないかな」


あかね……そうか、妹がそう決めたのか。妹の名前は決まったのか?


「ミツバ、だそうだよ、それはあかねが決めたらしい」


 あかねにミツバか……俺がいなくなったあとで意思疏通の手段を手にいれたんだな……

 もう少し留まることができたなら、姉と妹と兄弟と言葉をかわすことができたかもしれないと考えると悲しくなる。


「君が持っている器は3つ。君の分とあかねの分、そして君の母親の分だ」


母か、母にも名前あったのか? もしないのなら考えてあげたかった。


「僭越ながら毬と名付けさせて貰ったよ」


 死んでから神にあったのか。それはよかった。

 他の兄弟はまだ生きているということだし、早く戻りたいという気持ちが強くなる。

 そういえば母がなくなった次の日からしばらく脱力感にみまわれたが。


「魔力の器の譲渡による副作用じゃないかな。魔力事態は引き継がれないみたいだし、空の器が急に来て魔力が足りなくなったんだろうね」


それじゃ、姉はサイクロプスと戦ってたあの日に


「それはちょっと違うかな。君はまだ他の人の器を使いこなせてはいないだろう。それが、君の制御とは関係なく働くタイミングがある」


 俺が死にかけたときか……


「そう、そのとき君の器の封がとかれ、魔力が器に注がれると共に魔法が発動した。脱力感はそのせいと思うよ」


 つまりはもっと前に死んでいてもおかしくはないと、ほんと、後悔しないと意気込んで出た筈なのに後悔しそうなことばかりじゃないか。


「君の母、毬にも固有魔法があってね。癒し、という本来は精神的落ち着きを与える魔法なんだけど、彼女は魔力に物言わせて肉体的傷も癒すことができた」


何度も、兄弟と喧嘩したときも、滝に落ちたときも、サイクロプスに叩きつけられたときも、思い出せる疑問に思っていた回復力。錯覚かと思っていたけれどすべて母の魔法によるものだったのか。

情けない、死してなお、俺は家族に守られているらしい。


「別に君はまだ子供なのだから気にしなくたっていいさ」


 でも、二人とも死んでしまったのに俺にはなにも出来なかった。


「そうでもないさ、魔力とは言わば精神。それを君が持っているんだ。それは君の中で彼女達の精神が生きているとはいえないかい」


 詭弁だ。わかってる。

 俺の中に母の精神も、姉の精神もない。だけど、その慰めの言葉は嬉しかった。

 そっか、俺の中で生きているのか。


「そうだね」


 じゃあ、強く生きなきゃな。


「そうだね」


 だけど、今は泣いてもいいよな。


「そうだね」


 その日俺は全力で泣いた、明日を強く生きるために。全力過ぎて遠吠えとかしちゃったけど大丈夫だよね?

 と少し心配にはなった。






















「で、説明も終わったし僕もう帰りたいんだけど」


 貸しを返してからにしろ。


「いや、あれは横暴だよ!?」


 魚食ったろ


「あっ、はい。美味しかったです」


 伸ばした手を尻尾で叩くという攻防を話ながら繰り広げていたが、俺が泣いているのにつけこんで残りも食べてしまった神。

 食い意地張ってる神なんて信仰しているところは大丈夫かと不安になるが、こいつには実験体になってもらおうと思う。


「い、痛いのは勘弁ね」


 絞まらない神様である。





ユグ「ただいフグッ!?」

あかね「ちょっ、お母さん!いきなり絞め技かけちゃダメだって」

毬「……チッ」

ユグ「あかね、ありがとう、助かったよ」

あかね「で、ユグさん。あの子、ハクヤを泣かせましたよね」

ユグ「えっ、あの、それは不可抗力と言いますか」

あかね「泣かせましたよね」

ユグ「……はい」

あかね「じゃあ、罰が必要ですよね」

ユグ「えっ、ちょ、フグッ、あ、あかねさん、腕きってるんですけど」

あかね「きめてるんですよ。お母さん足お願い」

毬「了解」

ユグ「ちょっとこれ、洒落にならなあああああああああ!」




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