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もふもふの伝説  作者: タニシ
獣道編
15/24

送り火。

また短いです。

でも、続くように頑張る。


……続けられるかな………

 ふと、目が覚めるとそこは洞窟の中であった。

 倒れたまま動かぬ大きな巨体。すぐ側に鹿が丸くなり眠っている。心配して見に来てしまったのだろう。と尻尾で頭を優しく撫でる。


 そうか……サイクロプスが倒れたのを見てそのまま俺もぶっ倒れたのか……

 結局サイクロプスは何故ここに来たのだろう。

 あの炎は、足が治っていたのは…まさか火事場の馬鹿力でもあるまい。


 わからないことだらけだ。

 ただ、俺が生きているのは奇跡に近い。

 火や、足のことだけではない。サイクロプスは途中から冷静であった。

 ここが奴に対して狭い空間でなければ、プライドか何か知らないが、もし岩を攻撃の手段として用いていたならば、まず間違いなく死んでいたのは俺のほうであったはずである。


 スッと寄りかかる鹿を起こさないように立ち上がる。

 すぐには気が付かなかったがサイクロプスは蜘蛛や鼠と同じ生き物のような何かのようだ。それに気いたのはつい先ほどではある。食えるところを探すつもりではいるが、恐らく水晶みたいな部分だけだろう。


 俺は最近生き物のような何かしか殺していなかった。

 人間と接触し、殺すことに心のどこかで戸惑いを感じてしまったのかも知れない。

 鹿のように、まるで人間のな獣もいることを知ったこともあるかもしれない。

 だが、サイクロプスはそうだと知らずに殺した。

 サイクロプスは明らかに明確な意思を持っていた。しっかりと生きていた。

 もしかしたら何か重大な目的があったのかもしれない。大切なものがあったのかもしれない。少なからず俺はサイクロプスに同情していた。

 それと同時に感謝してもいた。何かが吹っ切れた気がしたから。それは、俺にとって、狼にとって大切なものであることに違いなかった。




 昨日放置してしまったが、子熊は大丈夫だろうか。

 崩れた岩の天井付近に軽く動かせるものがないか探す。まわっていくのが面倒なだけなのだが、動かせそうな岩を見つけたとき使った魔力を考えればまわっていた方が楽だった気がする。時間的には速かっただろうけど。

 もう仄かに明るくなっており、空気が軽く湿っている。昨夜雨が降ったのだろう。

 子熊は母熊によりかかって眠っている。気を失っているという表現の方が正しいような気もする。

 血の匂いを漂わせているのにハイエナっぽいのなどに狙われなかったのは奇跡といっていいだろう。幸い水は子熊のところまで到達していないし、雨のおかげで他の獣から免れたのだろう。

まだ生きている。良かったと思う反面どうしようかと悩む。

 このままここに留まってしまうわけにはいかない。人が来るかもしれないし、サイクロプスの仲間が来るかもしれない。母熊の遺体は食べるわけにもいかないし、埋めても掘り返されてしまうだろう。

 とりあえず、無事を確認したのでサイクロプスの食えるところの取りだしをしてしまう。その間に考えるしかない。




 サイクロプスの体は堅いゴムのようで作業には苦労した。例のごとく、内臓も血管もない肉の塊なのである。もちろん味もない。でも抜けなくなるということもなく、ゆっくりと心臓のあたりえぐるといつものように水晶が出てきた。それは予想と反してとても小さく色の濃いコンタクトより一回り大きいくらいの凸レンズ型をしていたのだ。

 これではお腹の足しにもならない。かといって捨てるのはもったいないし、持っておくことにした。首裏の部分において、毛によって固定しておく。

 そのあたりで鹿が起きてきた。気にせずぱっぱと瓦礫に昇ると鹿も昇ってくる。強化を教えても少し手間取って後ろ脚を踏み外したり、次昇ところを見定めながらゆっくりきている姿に和む。昨日の 命のやり取りが嘘のように感じる。

 目をむけると子熊も起きていた。昨日のように母を揺すりだすかと思えば少し離れてじっと母熊を見つめている。


 どうするべきか……

 そんなものは決まっている。母熊も子熊も食べるべきだ。

 どうしたいか……か……

 俺はどうしたいんだ……


 自問にすぐ俺は答えることが出来ない。子熊を育てる責任も持てないし、俺にそんな余裕も資格もないように思えるからだ。

 それなら鹿のことも同じか……

 結局はそこなのだ。名前もない鹿に対してここまで世話を焼いているのだ。一匹も二匹もかわりあるまい。子熊は育てる。一人立ち出来るようになったらさせる。そうと決めれば俺は瓦礫のうえから降りていく。子熊は俺が近くに来ると一度だけこちらを向いたがまた母熊を見つめ続ける。

 生きる気がないのか、絶望してしまったのか、その目に光を写しているように見えなかった。

 まずは、母熊からだ。どうするかはもう決めてある。

 そうしようとすると鹿が俺の横をすり抜けていく。それに思わず行動をとめる。

 どうするつもりなのか。

 鹿はゆっくり子熊へ近づく。子熊の方が一回り小さいとはいえ前の世界ではあり得ない行動である。子熊のすぐそばまでいくと頭を地面に近づけいつの間にかくわえていた小さな木の実をおく。

俺が瓦礫上で考えている間に上まで登って探して来ていたのだろう。

 鹿が鼻先で子熊をつつく。子熊はじっと鹿を見つめる。

 周りは木の葉の擦れる風の音だけ。いつも聞き慣れているとの音に哀愁を感じる。

 鹿が数歩下がると、子熊はとまるまで鹿を見つめ次第に足下の木の実に目を向けた。やがて尻をついて座ると木の実を一つずつ丁寧に食べ始めた。

 甘くて少し酸っぱい木の実は少ししょっぱい味がしたことだろう。





















 母熊は川まで運んで焼いた。


 母熊を抱えて瓦礫を上がるとき思っていたほど辛くなかった。母熊の中の血液が大半抜けてしまっているせいであった。少し悲しくなってしまった。きっと子熊を助けようと必死だったのだ。

 その役目は俺が引き継がせてもらうよ。

 雨で湿気ってはいたがそこまでの大雨でもなかったらしく、まだ乾いた落ち葉や木は存在していたのでそれらも集め、周りに移らないようにしたが石の川辺までくると落ち葉などで埋めて集中して種火をだした。昨日のように体を包むような火ではなく、練習していた小さな火だ。

 あれはやはり一時的なものだったらしい。

 子熊は瓦礫を登るとき持ち上げただけで後は自発的についてきていた。母熊を抱えていたからかもしれないが、いよいよ燃やすだけとなったとき子熊は母熊に近づいて頭を擦りつけると離れて距離をとった。

 どうやら理解しているらしい。その目には悲しみはあれど生きることへの絶望は感じなかった。


 ごうごうと燃える炎

 それを子熊はただじっと見ていた。

 天高く舞い上がる火の粉。それはまるで死者があの世へいくかのようにみえた。

 子熊も俺も鹿も、火が消えるまで見続けていた。見届けていた。







???「………ん………あれぇ、ここは?」

ユグ「やぁ、おはよう。僕はユグで彼女は毬だよ。」

毬「大丈夫どこか痛くない?」

???「えっ、はい。大丈夫です。」

ユグ「で、君は」

あかね「あかねといいます。妹が、みつばが着けてくれました。」

ユグ「(´·ω·`)」

毬「…そんなに名付けたかったの?」

あかね「で、あのここはいったい」

毬「…ごめんね。頑張ったね」

あかね「えっ、あ、えぇ!?この…匂い…は…」

毬「…グスン」

あかね「うぅ…」

ユグ「結局二人とも泣くウググッ」

あかね「あ、アイアンクロー!?」

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