定番強敵!?2
はい、ご都合主義です。すみません。
前回のと合わせてここまでするつもりでしたのに長くなって分けました。
切るタイミングを間違えたのではと考えてます…
今回は少し短いです。
大きな首筋は俺の顎に収まりきらない。よって噛み千切るつもりでいたのだが、魔力を込めてもサイクロプスの皮膚は堅かった。勢いをつけた牙は少ししか通らず、諦めて離脱…!?
牙が抜けない!?
サイクロプスの皮膚表面に嫌な感じがする。両手両足全尻尾使ってもピクリともしない。
…マズイ
考えても俺に出来ることなどなく、そのままサイクロプスに掴まれてしまう。
さらに、グンッと引っ張られそのまま投げられる。
っ!!
斜め下に叩きつけるように投げられたようで、地面が迫る。
俺に出来たのは、尻尾をクッションにすることぐらいだけだった。
もちろん勢いを押さえることなど到底出来ず、後ろ足からぶつかる。
情けない悲鳴を上げなかっただけ誉めてもらいたい。あげればキャインと甲高い声が出そうだからではない。
世界が回る、俺はぐるぐる回る。もう何回目だこういうの…
止まったのは自然に地面を擦って、俺は横たわったままだ。
サイクロプスはまだ追いかけて着ていない。
全身が痛い。生きているのが不思議な位強い衝撃だった。
掴まれたとき必死だったからまだ生きていた。生きているだけだった。
…駄目だな、もう。
意識ははっきりしている。魔力もまだ残っている。
でも後ろ足は動かなかった。
恐らく、折れている。
尻尾も同様、動かそうとすれば激痛が走る。
あぁ、失敗したな…
それは、飛び降りたことでの後悔ではない。
あそこで飛び出さなければ、きっと俺は俺でなくなってしまうから。
後悔はもっとやれたのではないかというもの。
もっと上手く
もっと利口な
そんな方法が在ったのではないかという思い。
サイクロプスは徐々に歩いて距離を詰めてくる。
少しずつ大きくなっていく足音に死が近づいてくるのが分かる。
鹿や小熊はどうなるだろう。
きっと待っているはずの兄弟は。
生きていたい。
だが、考えるれば考えるほどどうしようもない現在が目の前に迫る。
ついにサイクロプスが俺のところについてしまった。
そのまま右手でつまみ上げられる。
頭より高い位置に持ち上げられていく。
あぁ、食われるのだな…
俺も殺めた命は出来るだけ食べた。
あのリザードマンやオークですら食える部分はないかと探したものだ。
今度は俺が食われる側に回っただけ。
ふわふわした感覚とどっと脱力感が俺を襲う。
兄姉弟妹…ごめん。
先に母さんのところへ行くことになりそう。
…………
感覚が鋭敏になっているからか、持ち上げられている時間が長く感じる。
成ればついつい他のことも考えてしまうものだ。
まず、死にかけた回数。
こちらに来てから4年もたっていないはずだが、始めのリザードマンから何度死にかけただろうか。
次ふわふわ感覚。
浮遊感なら、つり橋からや滝から落ちたとき、母に幼いころぐるぐる回されたとき
あと、あの日ぐらいか。
この脱力感も味わったことがある、あれは…俺の治療期間中だったかな。
あれでも、一番それを感じたのって母が…
!?
急に俺は放り投げられる。
先ほどの叩きつけるようではなく、思わず放したように放物線を描きながら。
俺は必死になって体を中でひねり着地する。
あれ、足痛くない?
俺はしっかり4つの足で着地した。
確かに折れてしまったと思っていたのだが…
「グォォ!!」
考えるのは後、まずは目の前のサイクロプスを見据える。
そのまま拳を降り下ろしてくるのを後退して避ける。次々拳を叩きつけるが先ほどとはうってかわって単調。
分かりやすくかわすことが出来ている。
何か怒らせるようなことしたかな…
ふと、サイクロプスが真っ直ぐ俺を見据えていることに違和感を持った。
暗闇で見えてなかったはずなのに何故?
そこで洞窟内が先ほどとは違い仄かに明るいままなことに気が付く。
明滅は俺が動くたび揺めき光源が移動していることがわかる。
光っているのは俺!?
てか、燃えてる!?
前足おも炎を纏い、全身火だるまのようだった。
それはまるで姉が使っていた魔法
だが、熱さを感じない。それにこの魔力は姉のもののように感じた。
それはまるで俺を守るかのように暖かかった。
サイクロプスの行動が少し理解出来た。
喰おうとしたタイミングで俺が発火し落とした。そして
俺の炎が放つ光を目印に殴りかかってきているのだろう。
さらに、サイクロプスの右手の指が少し溶けている。硬くて溶けるなどゴムのようだ。
疑問が増えたが、まだやれそうである。
こちらの場所はバレたままではあるが、攻撃手段を手に入れた。
いつまでもつかわからないのでまずは足を狙い始めた。
そこからは一方的であった。
サイクロプスの攻撃は当たらないのにこちらは近づくだけでダメージになるのだ。
途中からサイクロプスは防御と回避に集中しはじめた。
だが、鋭い眼光はそのまま、反撃の機会を伺っているようであった。
しかし、遂にサイクロプスが膝をつく。
今しかない!
俺は隙をついたつもりではあったが、
サイクロプスも分かっていたようで飛びかかった瞬間を狙われてしまった。
勝利を確信し、焦って飛び出したところを狙う。それはよくあることであった。
そして、サイクロプスの拳は炎貫き粉砕してしまった。
しかし、サイクロプスの目は驚愕に見開かれる。
それもそのはず、手応えが全くなかったからだ。
俺は俺の纏う炎切り離して囮にサイクロプスの反撃を紙一重でかわしたのだ。
出来ると考えてなかったが、まるで咄嗟に炎が動いたようでもあった。
サイクロプスの腕のうえを走り一気に距離を詰める。
お願いもう一度だけ…!!
サイクロプスの首に深く深く噛みついた。
すると体の中から熱を感じ牙に炎が灯っり今度こそ噛み千切った。
毬「………」
ユグ「おや、泣かないのかい。」
毬「…そうね」
???「………z…」
ユグ「僕はてっきり…」
毬「…私が泣くとこの子が泣けないでしょ」
ユグ「で、何故膝枕?」
毬「……………やってみたかったのよ。悪い」
ユグ「悪いとはいっていないけどね。
君がやるということに凄く違和かアグァ!」




