定番強敵!?
久しぶりの投稿。
余裕は出来てきたので後はやる気の問題。
話を作っても上手く文字に表せないからもやもやする。
あと、前回から会話が書きたくてミニコーナー的なものを作りました。
そちらも徐々に進んでいきます。
鹿を助けて一週間。
ちょっと後悔してる。どこにいくにもついてきて、急斜面やついてこれないほどの距離をとったとしても無理してでもついてこようとする。
結局危なくなったら助けてしまう俺も俺なのだけど。
情が移ってしまっているらしく、置いていったりある程度無視もできるけど怪我や命に関わりそうになると手を出してしまう。
獣に出会うと鹿は逃げ切れないこともあり、俺が追い払うのだけど、いつ俺がいなくなるかも分からないので修行させてみた。
修行といっても、やっぱり鹿なので少々心許ない。
なので、魔力の扱いを練習させてみている。
二本の尻尾を鹿に当てて魔力を流し循環させる。
出来るか分からなかったけど案外できた。鹿との差があるのと抵抗が無かったためであるだろう。
始めた日にはすぐにぐったりしてしまったが、3日目には多少こつを掴んだのか結構もった。出来るのはささやかな身体能力の強化だけだが、もう他の鹿に負けることなどあり得ないだろう。
これで、肉食動物達から逃げられるだろうし、練習していけば、いつか逆に倒してしまうかもしれない。でもそのせいで、ついてくるところが増えた。すごく増えた。本気を出さないとまけないようになった的な……
俺は俺で鹿との修行の間に色々練習していた。
魔力ダッシュの効率化や急な角度、急停止、バック等出来ることを増やそうとしていた。
俺が強いと過信していた訳でもないが、強い奴はたくさんいるだろう。
世界樹の家族の元へ帰る前に死んでしまっては意味がない。それに前回のような失態をおかさず、兄弟皆を守れるよう少しでも強くなろうとした。
……本当は、人に見られて町に行くのが怖くなったのだ。
もしかしたら、討伐依頼なぞ発行されていまいか心配である。それでも行かなければ手がかりすらないので、人の噂も75日…つまり2ヵ月近くは近づかないことにした。
兄弟達が心配ではあるが、皆俺より強いし心配ないだろうと思うことにする。
それより、俺の命の方が危険だ。折角もふもふな家族に囲まれて幸せ満点だったのにこんなところで死んではたまらない。ゆっくり慎重にことを進めるつもりだ。どうすればよいか検討もつかないが……
もうひとつ練習していたものがある。
兄弟達の魔力の流れを真似して俺も使えないかと試していたのだ。
最初は失敗。だけど、魔力は消費した。諦めず続けていたらその日の夕暮れ成功した。
最初に真似していたのは姉のもの、炎はイメージしやすかったという理由である。
姉は最終的に体に炎を灯したり、広げた尻尾の中心に大きな火の玉まで作っていたはずだ。それが、俺は爪先にマッチの火程度。練習で少しはましになるといいな。
だけど、この程度でも凄く集中しないと出来ないし、戦闘に使うのは当分無理な話であろう。
他の兄弟達のものもできはした。時間かかったけど。けど、妹のは直径10cmの円を1cm程度盛り上がらせ、種からは芽がでただけ。弟のは落ちてくる葉の影を踏んで動きがゆっくりになるだけ。兄に関しては何度やっても発動しないと思ったらいきなりバチッと静電気に当てられる感覚が襲ってきた。結構痛い。
どれも集中しないと出来ないので、特に使い道も少ない。結局は武器作りに走った。
この辺りの木は世界樹に比べると柔らかいのでナイフのようなものは難しいだろう。枝では心許ないので木一本丸々倒して大きめに木刀もどきを作った。
柔らかいといっても、世界樹が鉄みたいに固いだけでこの辺りの木はアカギ、ツバキ位固さはある。ヒノキより少し固い位。木刀は世界樹の時のように切れはしないけれど、というか、鉄すら切ったあれがおかしいのだけれど、もとの木より魔力を注げば硬くなる。そうして武器にした。
で、一週間たったわけだけど……暇だ。
あと70日近くあの町に近づかないというのは厳しいかもしれない。
魔力を使った修行は疲れるし、木刀作りは手応えがなくて飽き、鹿との戯れは手加減しなければならない。ようするにストレス発散をしたいわけだ。
逃げるだけの奴を追うことも出来ないし、かかってくる奴もいない。
それは初日から感じていたことではあったが、すぐに町へ向かわなかったのは、あの夜のことがあったからであろう。あんな化け物みたいな人間がゴロゴロいたら堪ったものではないが、あの町にあの人たち以上の人間がいないとも限らない。
殺されるかも知れないという恐怖が俺を踏みとどまらせていた。
結局そのままなにもせず昨日と同じように過ごすだけだった。
明日は雨が降るかな……
その日の朝は何にもなかった。ただただ退屈な昨日と変わらない新しい日常を過ごしていただけ、ほんの少しずつ鹿が強くなっていくただの日常。退屈ではあったけれど、別に刺激的なことを望んでいたわけではない。決してだ。命は大切だし、だからこそ町へ行くことに躊躇した。
だが、現実は、世界は厳しいということを改めて思い知らされた。
雨が降りそうなので雨宿りできる場所を探して早めに今日の修行を切り上げた。木の下では俺の体のサイズは心許ないから。でも、都合よく雨宿りできる場所など有るわけがなく、最悪熊のいたあの洞窟に雨の間だけでも居させて貰おうかと思っている。奥に行かなければ会うこともないだろうし、近づいてくればすぐ分かるので襲ってきたら逃げてしまえばいい。
その洞窟の方向に歩いて行きながら雨宿りできる場所を探していくが、もうすぐで洞窟についてしまう。
やはり、雨宿りは洞窟でさせてもらおうかと考えていると
ズガンッ
地面が揺れた!?
だが、地震ではない。何かが崩れたような衝撃。
俺の感覚では洞窟の奥の方、正確にはその上から感じた。
着いて来るなという合図である鹿の頭を尻尾で叩き音の方向へ走り出す。
もしものために魔力は温存したいので魔力は使わず、自力だけだが全力で走る。
今回は本気で無視して鹿が着いてこないこともしくは、そんな事態になっていないことを祈る。
だけど、俺の祈りなぞ通じた試しがない。
洞窟の入り口を飛び越して音の辺りまで来ると呆けてしまった。
日の下、洞窟の道筋にそって進んできた。そこにはまるでクレーターの様な大穴が空いており、洞窟へと繋がっていた。先ほどの地 響きは此処が崩れたことによるものだろう。
問題はこれが自然発生したか誰かが起こしたかである。
そこはもう面倒な限りで崩れた残骸の中心に何かいる。
もう明らかに人ではなく肌は濃い緑で堅そう。頭に一本の角があり8mくらいの身長で上に手を伸ばせば洞窟の天井に届くだろう。
それをファンタジーの世界で例えるとサイクロプス
棍棒はないし、後ろ姿で正面は見えないけれど。
感覚などなくともヤバいと肌で感じる。関わるべきではない。
引きかえそうとしたとき、奥の壁に熊が倒れているのを見つける。全身血まみれで既に息はないだろう。
日差しが当たっているわけではないのに血まで見えた。
それは、小さな小さな……
サイクロプスが動く、まるで目障りな虫を払うように腕を振り上げ……
ズガンッ
あぁ、もう何をやっているのだろう。
今のは見捨てるべきであった。それは間違いない。あいつらは運が悪かっただけだし、この世は弱肉強食。弱いもの運のないものは死んでしまう。
家族でも知り合いですらない生き物など、助ける義理などあるはずもない。
なのに……
何故俺は飛び降りたのだろうか…
甘い性格はなかなか直らないらしい。
飛び上がって木の枝を蹴り下向きに加速、落下の力と回転の遠心力を加え、木刀に魔力を込めてサイクロプスの後頭部へ叩きつけた。
木刀がへし折れる位の一撃にサイクロプスは膝をつくが、片手を地につき顔だけをこちらにむける。
目は2つ眼光は鋭く睨んでくる。
悪寒が走り逃げ出したくなる。
それでも逃げなかったのはポカンとした子熊が見えていたからかもしれない。
踏みとどまったのはいいがどうするか。あの巨体では爪や牙では致命傷にならないかもしれない。子熊を守りながらという余裕はないだろう。俺を無視して子熊に襲いかかれば恐らくは……
感覚からして格上にヘイトを稼ぎながら子熊を連れて逃げるもしくは一撃で致命傷を与えなければならない。この狭い洞窟であの巨体を抜き子熊を抱えて更に抜くのは難しく感じる。
何より追いかけてくるかもしれない。撒けるかどうか分からないし、撒ければ俺達はいいがもし人里まで行ってしまえば被害がない訳にはいかないだろう。
まだ見ぬ人の為に働く訳ではないが、もしそうなれば気分は良くない。
倒すなら警戒されているであろう、首にそれも爪より強い牙を深くえぐらなければいけない。
そう考えると今からやろうとしていることは無謀にしか思えない。
……帰ってくれないかな。
出来れば他どこにもいかないで真っ直ぐ住みかへ帰ってくれないかな……
「グワァァァ!」
ですよねぇぇぇ!!
もう頭に一撃いれてしまってるし怒って当然ですよねぇぇぇ!
立ち上がり際に腕をなぎはらい、後ろに飛んで避けるけど目を開けるのが難しいほどの風圧が俺を襲う。追撃がくると身を屈めるが、サイクロプスは動かなかった。サイクロプスは俺を見下ろして恐ろしい形相で口角をあげていた。それは新しい玩具を見つけた子供のようで悪寒は強くなる一方だ。
痛めつける相手が来たから喜んでいる、という感じではなく攻撃される敵が来て喜んでいるように見える。
つい手を出したけど、出来れば争いは避けたいのだが無理そうである。
弱い奴に興味ないとかならいいけどあのままだと子熊は死んでただろうし、見逃してくれそうにもない。
とまぁ、こう考えているからまだ甘いのだろうが
ズンッ
大きく一歩踏み出すだけでこの振動……
ヤバいな~と思う。逃げない俺は馬鹿だ。うん。自覚してる。
大きく振りかぶった右ストレートを右斜め後ろに飛んで回避する。
ドカンッと凄い音がして下の岩が砕ける。
だが、これだけ危ない橋を渡っていても、俺だけ逃げる選択がどんどん薄れていくのだから仕方あるまい。兄弟達……死んだらごめん。
二撃目、今度は左足での蹴り。左後ろに大きく回避。
今のは隙があった。流石に慣れない相手で咄嗟には動けなかったけど、次は抜けそう。
今度は蹴りあげた足での踏みつけ、かわすが強い振動で足をとられる。捕らえようとする手をなんとか避ける。
不意討ちでこそ一撃入ったが、この巨体でかなり速い。
どんどん後退していっているが、狭い洞窟の中に結構入ったので地の利を使ってどうにかするしかない。このままではいずれ反撃する前に避けきれなくなる。もしくは、もう一度あの蹴りをしてくれればいいのだが、運が良ければ子熊を連れて逃げられるかもしれない。
蹴り!? 来た!
遂にきた蹴りを真横に飛んで回避、地面に着いた瞬間魔力ダッシュ始動。直角に急加速する。体に負荷が掛かるがこの際気にしてられない。サイクロプスの股下を抜け、子熊のもとまで駆けつけようと
ズンッ
ドカンッ
!?
そう、甘くはなかったらしい。
使ってなかった左手に石というかサイズ的に岩を持っていたらしく。それを投げてきた。
魔力を使った速さには反応仕切れなかったようであるが、サイクロプスが狙ったのは天井。
丸く空いた穴の縁である。当然あっさり崩れ落ち、俺は停止、バックを強要される。
土煙をあげながら落ちてくるそれらからの被害からはなんとか逃れたが、洞窟が完全に塞がれ日の光さえ遮られてしまった。
サイクロプスは強く地面を叩く。
辺りを下からの光が照すと地響きを響かせながら迫ってくる。
どうやら、俺ほど暗闇で目が効かないのかもしれない。
向かってくるサイクロプスに俺は右側に魔力を込めて跳ぶ。
壁は普通の土である。蹴って方向を変えれば不意を付けるかもしれない。
どうくるか分からないのですり抜けられるように壁を蹴る。
サイクロプスは左手を振り回し、俺の頭の真上を通った。怖っ!!
だが、右手で頭を守った。
やはり、暗闇でよく見えていないようだ。左手だけならまだ分からなかったが、見えているのならさっきまでしなかった守るという 行動は取らないであろう。
背後を取って着地するとサイクロプスが素早く辺りを見渡し、俺に気付いて向き直る。
さて、どうする。
速いが間に合わないのは手や足の先だけで、ただ逃げるのであれば魔力を使いはしないといけないが距離は出来て行くだろう。
しかし、そこには鹿がいるし、サイクロプスが崩れた瓦礫を吹き飛ばせば子熊は死んでしまうだろう。
もう一度地面を叩き、向かってくるサイクロプス。
もう一度壁に跳んでやり過ごすが跳ぶ方向はばれてしまう。このままではいつかやられる。
魔力を使ってでも洞窟の壁から壁には届きもしない。どうする……
再度向かってくるサイクロプス。三度壁に向かって跳ぶ、が振って くる腕が当たりそうだと咄嗟に後ろ向きに軌道を変える。
着地したのに光らなかった。そこは崩れた瓦礫の上。ただの岩だったのだ。
光を探し振り返るサイクロプス。
このチャンスを逃すものかと瓦礫を駆け上がり、魔力も使ってサイクロプスの後ろから首に噛み付いた。
??「やぁ、こんにちは。僕はユグ」
?「ねぇ、誰と話てんの?」
ユグ「彼女は毬、僕が名付けた。」
毬「なんかいるの?」
ユグ「ここは狭間。運と僕の気分でここに人が訪れる場所」
毬「無視とかムカつくんですけど~」
ユグ「毬、その歳でその言い方はアガァ!?」
毬「えっと、誰かは分からないけど失礼しました。」




