表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/2

ゲームスタート

初めて書きますのでこうした方がいい、などありましたら教えていただけると助かります。アドバイス等ありましたらよろしくお願いします!

最近、巷で有名な噂がある。

それは、気がつくと人が消えているというものだ。

いや、何馬鹿なことを言っているのかと思うだろう。

だが、その謎の失踪の被害者は全国に及ぶ。

そもそもの始まりは某大型掲示板にたてられたひとつのスレッドだった。


「俺の兄貴が消えたんだけど、なんか質問ある?」


スレ主が言うには昨夜までいたはずの兄が朝にはどこかに消え、1週間たった今も音信不通というものだ。

周りの反応は冷ややかなもので、「夜逃げ乙wwww」や「いい加減飽きたから」または「だからあれだけ闇金はやめろといっただろう」などといった書き込みが大多数だった。

そんな中、ひとつの書き込みが書き込まれた。


「お前の兄貴、パソコン付けっぱで消えたろ? 俺の友達も消えちまったよ」


その書き込みにスレ主は「なんでわかるの? マジで怖いんだけど……」と返した。

これをきっかけに次から次へと自分の周辺の人物が消えたという書き込みが相次いで書き込まれた。

全てに共通しているのがパソコンをつけっぱなしで消えたというところだ。

もっとも、その情報源は大型掲示板のため、信憑性はあまりない。

なかには面白半分で乗っかっているものが多いだろう。

だが、その後もスレは伸び続け、次スレまた次スレと新しいスレッドがたてられた。

原因はわからないまま、失踪報告だけが相次いだ。

これ以上は問題が肥大化するだけではないか、変に騒ぎ立てるのもまずいのでは、などの意見がポツポツと出だし、次スレは立てないという方針になりつつあった。

しかし、この流れを変える書き込みがされる。


昨日、俺の兄貴が消えたんだけど、その兄貴にゲーム勧められてたんだよね。

気分変えるためにやろーぜwwwww


その下にはURLが貼り付けてあり、問題はこのURLだった。

アクセスできる者とできない者がいたのだ。

最初こそ「スレチだ、消えろ」や「夏休みはまだだぞ? 寝ろよ」などといった書き込みが多かったのだが「アクセスできねーんだけど、ふざけた事すんなよ」という書き込みと「なかなか面白そうじゃん、気分転換にやるわ」といった書き込みがほとんどになっていた。


「いや、接続されないぞ?」

「は? 普通にアクセスできんだろ」

「いやいや、お前おかしいわ、040になるだろ」

「おれはアクセスできんだけど、俺がおかしいのか?」


といった流れになり、次第にアクセスできるといった発言が消えていった。

何とも言えない雰囲気のままそのスレは1000になり、それ以降進展はない。

ただひとつ言っておこう、まだスレは続いている。


「やっぱり、あれ以降の進展はなし、か」


俺は二桁目を超えたスレを見ながらつぶやいた。

最初から張り付いていたがあれ以降の進展はなく、もはやただの雑談スレとなっている。

そんな中でも失踪報告だけは続くので次スレまた次スレと続いているのだろう。


「と、なるとやっぱりこれが原因なのかねぇ……」


掲示板の横のタブをクリックし、ページを切り替える。

そこに表示されたのは完全オフラインオンラインゲームと銘打ってあるオンラインゲームの公式ページ。

いや、どっちだよと思うかもしれないが、このゲームはほぼオフラインゲームである。

アップデートや課金などはネットを使い、ゲーム自体でのオンライン要素は町にある掲示板で他プレイヤーと交流できる程度で他はオンライン要素はなく、ほぼオフライン、ということらしい。

この場合はオンラインゲームと言えるのだろうか。

いや、そんなことはどうでもいい、肝心なのはこのホームページはあのURLの接続先ということだ。

最初こそ半々ぐらいだったアクセスできたという書き込みが3時間も経てば全て消えていた。

十中八九、このゲームが原因だろう。


「アクセスできたはいいけど、やったら絶対なんかあるだろ、これ……」


そう、何を隠そう、俺はURLにアクセスできた組みなのである。

最初はスレチのため無視を決め込んでいたが、周りの反応が激しくなるにつれ、真実を確かめたくなりURLを踏んだのだ。

結果は見ての通りアクセスできたわけだが、いきなり始める気にもなれず、ほかの反応を見ながらゲームの詳細を見ていたのだ。

これがなかなかに面白そうで、どっぷりと読み込んでしまった。


このゲームには種族というものが存在し「人間」、「獣人」、「エルフ」、「ドワーフ」、「魔族」、「魔物」という5つの種族に分けられる。


俺の目を引いたのが、この魔物という種族。

ほかのゲームでは見ることのないものだ。

というのも、この魔物という種族はスライムやらのガチの魔物、倒されるべき敵、モンスターなのである。

ある程度知能のある魔物ならば良いが、そうでない場合は会話ができない。

この時点で半分詰んでいる。

さらに魔物は実力主義かつ同種の絆が強いらしい。

なにがいいたいかというと、スライムなんて種族になったが最後ほぼ確実に息絶える。

つよい魔物に従属しなければ生きてはいけず、スライムを従属させようなんて魔物がいるとは思えない。

しかし従属できなければ冒険者に狩られる運命にある万が一従属できても絶対にほかの魔物や冒険者に狩られないということはありえない。

言うなれば超ハードモードである。

と、そのような感じのことが公式サイトに書かれていた。

元々は結構上位の魔物のはずなのにドラ○エのせいでいつしか雑魚の筆頭になってしまった。

無念、スライム。


ほかにもゲーム開始時にランダムでスキルがいくつか付与されるのだが、このスキルというものにはハズレスキルなるものが存在し、それを取得した場合ゲーム進行が困難になるらしい。

さらにスキルの他に武器適性というものもあり、これがない場合、武器が使えない。

最悪の場合、素手のみである。


そして一番の目玉は一度ゲームを始めるとキャラの作り直しができないというところだ。

つまり、スライムにでもなったが最後、ゲームが無理ゲーになる。

キャラのデータはサーバーに保存され、デリートができない仕様らしく、そのためアンインストールしようがパソコンを買い替えようが意味はないらしい。

いやいや、別垢つくればいけるだろうと思うかもしれないがそうもいかない。

このページ、一度消すともう二度と入れない。

というのも、一度開いたあと別のタブで再度URLに接続すると404になったのだ。

おなじURLにも関わらず、だ。

複数開けないだけかもしれないと思ったが、このページを消す勇気はなかった。

そのことを掲示板に書きこんだが、その時にはすでに接続できた組みは全員掲示板から消えていたらしくボロクソに言われるか、または無視された。

それならばとパソコンのスクショを撮って貼ろうとおもったのだが、何度やってもスクショが撮れなかった。

いや、撮れない、というのには語弊がある。

撮ることはできるが真っ暗な画面がスクショに映るのだ。


「もしかしなくても、これはやばいよな……」


もう一度画面を見て呟く。

しかし、これを始めなければ真実は掴めない。

なにがそこまで俺を駆り立てるのかはわからない。

だが、なぜか無性にこのゲームをやらなければならない衝動に駆られるのだ。


「いやいやいや、まずいだろ……」


口とは裏腹に俺の指はマウスを操り登録ボタンへと進んでいた。

そのままクリックをする。

するといきなり画面に広がる『登録が完了しました!』という文字。


「隠す気がない、マジでやばいやつだこれ」


普通ならメールアドレスを打ち込み、そのメールアドレスに登録URLがおくられ、そこからサイトに飛び、各種の設定を済ませ初めて登録できるものだ。

しかし、このゲームはボタン一つで登録が完了すると来たもんだ。

怪しさ抜群である。

これじゃまるで詐欺サイトじゃないか。

いきなり膨大な額を要求されたりするんじゃ……


「詐欺じゃないのか、これ?」


いわゆるワンクリック詐欺というやつだ。

ゲーム開始をおした瞬間に莫大な料金を請求されるかもしれない。

いや、登録の時点で料金請求されるのがワンクリック詐欺というものだと思うが、油断させるためにこういう工夫をしているのかもしれない。

(登録は)無料オンラインゲームとかで、ゲームを遊ぶには金払え、みたいな……


「…………違ったかー」


ワンクリックであっさり始まったゲームのダウンロード。

そのゲージはみるみると伸びていく。


「つか、普通ワンクリックでダウンロード始まるか? 保存するか開くかの選択ウィンドウすら出なかったんだけど。マジで怖いんだけど、何これ。なんなのこれ」


焦りから手から汗がにじみ出る。

その間にもどんどんゲージは伸び続け、ついにいっぱいになる。

その途端、フルスクリーンでゲームが起動する。


「インストーラーじゃなくてゲーム自体だと!? いや、それ以前に閉じれねーんだけど!? マジでなんなの!? マジでなんなの!?」


大切なことなので二度言いましたとか普段なら言ったかもしれないが今はそんな余裕はない。

必死にウインドウを閉じようとするが閉じれない、消せない。

最終手段の強制終了を試みる。


「…………消えねぇえええええええええええええ!」


パソコン自体の電源が落なかった。

ありえない、意味がわからない意味がわからない意味がわからない。

なぜ消えない、壊れたのか? このタイミングで?

それこそありえないだろう。

最終手段のコンセントを抜くという暴挙に出る。

データ飛ぶかもしれないがそんなこと知ったこっちゃない、このままでは命が飛びかねない。


「…………いつから俺のデスクトップパソコンはノートパソコンになったのかね? あ、あはは……あはははははははははははっ!!!」


結果、パソコンの電源は落なかった。

電気ではない未知なるパワーで動いているとしか思えないパソコンを前に笑うしかない。

なにかのスイッチが入ったかのように頭がスーっとしていく。

人間、不思議なもので限界を超えた恐怖を感じると逆に冷静になるらしい。


「やってやろうじゃねーか!」


両手で頬を叩き、気合を入れる。

思いのほか力が入ったのか頬がジンジンと痛み出すが涙目でこらえる。

そのままフルスクリーンで開かれているゲームの開始ボタンを押す。


「ようこそ! ----------へ! 」


やけにポップな字でそう映し出される。

ゲームの名前だと思われる場所は読み取れなかった。

そういえば公式サイトにもゲームのタイトルはなかったな、などと考えながら文字をクリックする。


「これからいくつか質問をします。あなたの答えを打ち込んでください」


何だ、これは。

というのが俺の素直な感想だ。

質問によりスキルや種族なんかを決めるのかもしれない。

そのまま文字をクリックする。


「なりたくない種族はなんですか?」


なりたいではなく、なりたくない、ときたか。

すすんで魔物になりたがるやつはそんなにいないかもしれないし、そう言った奴への配慮かも知れない。

とりあえず一番左端の人間にカーソルを合わせる。

すると人間という種族の説明が現れる。


人間ヒューマン---全土の4割は人間。種族としては数が一番多く、バランスの良い能力を持つ。突出して育つ能力はないが、反対に突出して低く育つ能力もない。よく言えばオールラウンダー悪く言えば器用貧乏。寿命は他種族とくらべ短いが、その分スキルの習得、熟練度の上昇は早く、より多くのスキルを習得でき、比較的早く熟練することができる」


うん、なんというか、どのゲームにおいても人間という種族は似たようなものらしい。

そのまま一つずつ左へとずらしていく。


獣人ビースト---多様な耳と尻尾が特徴の種族。人間に耳と尻尾が生えた容姿で、高い筋力または素早さと生命力を持つ反面、魔力適性は低い。成長時、STRまたはAGI(どちらに補正がかかるかは種類による)、VITに上方補正。INTとMNDに下方補正。寿命は比較的長く、スキル習得、熟練度の上昇は並である」


これも他と似たようなもんか。

魔法に弱い反面、力か足が速く、生命力が高いと。

種類ってのは動物と一緒で虎だと力、うさぎだと素早さってことかな。


「エルフ----長い耳と美しい容姿が特徴の種族。基本的に整った容姿で女の場合、醜女と呼ばれているエルフでも人間と比べると綺麗な部類になる。男の個体数は少ない。高い魔力適性をもち、反面、体力は少ない。成長時、INTとMNDに上昇補正、VITとHPに下方修正。魔法関係のスキル習得、熟練度の上昇は高いが、その他は上がりにくい」


エルフはやっぱり魔法か弓だよな。

こういうのって最初に考えたのは誰なんだろうか。


「ドワーフ----屈強な体格の種族。筋骨隆々ないかつい見た目が特徴。こちらは女性の個体数が少ない。高い筋力と生命力を持つ反面、素早さは遅い。成長時、STRとVITに上方補正。AGIに下方補正。寿命が全種族中2位で、鍛冶系のスキルをかなり習得しやすいうえに熟練度も上がりやすい。他は平均をすこし下回る」


相変わらずドワーフ=鍛冶屋なんだな。

職人だから知恵は低くないし魔力もとくに下方補正かかっていないみたいだからマジックアイテムなんかも作れるのかもしれない。


「魔族----魔物以外の他種族と敵対関係にある種族。褐色がかった肌の色が特徴。地上から姿を消して久しく、その存在は書物にしか残っていない。強大な魔力をもち、その他能力も高水準。成長時、全能力に上昇補正。スキル習得、熟練度も上がりやすく寿命も最長」


まさにチートキャラである。

他種族と敵対関係っていうのはネックだけど、最強じゃないか、この種族。


魔物モンスター----多彩な種類が存在し、強大な力を持つ者ほど人型に近くなる。個体差があるため一概には言えないが成長率は全種族一で、全能力に上昇補正、かつスキル取得や熟練度の上昇も高い。だが、能力値限界が存在し、それ以上には何があろうとも育たない」


魔物だしな。

こんなもんか、といった感じである。

そりゃ無限に成長されたら勝ち目ないしな。

スライムとか、限界値低いんだろうな……


「とりあえず、人間だな。やっぱりこういうのは人間以外にしたいよな」


そのまま人間にカーソルを合わせクリックする。

本当によろしいですか? という確認にOKのボタンをクリックする。


「あなたの種族は人間になりました!」


いや、なんでやねん。

嫌がらせか、それとも文字の表示ミスか。

戻ろうにもそれはできないらしい。


「貴方は男ですか? 女ですか?」


悩んだ挙句、男をクリックする。

しかし、今度は何も出ずにそのまま次の質問にうつる。

非常に気になるところだがそのまま質問に答え続ける。

好きなものはなにか、好きな色は、好みのタイプはなどといった質問に始まり、うどんよりはそば派か、ラーメンと一緒にライスはたべるかなどといった質問などわけのわからない質問に答え続けること49問。

最後の質問です、と表示され、質問が表示される。


「貴方は、命、お金、力の中で一番大事だと思うものはなんですか?」


俺は迷わず命を選ぶ。

現状、いつ死んでもおかしくないわけだし、とにかく生きていたい。

それよりも、このパソコンはなんで動いているんだろうか。


「それは他者の命であっても?」


最後の質問じゃなかったのかよと思いつつもOKを押す。

イマイチ質問の意味はわからないが、命は大事だろう。

どうでもよかったら掲示板でも騒ぎにはならないと思うし。

お祭り騒ぎしたいだけかもしれないけど。


「以上で質問は終わりです。それでは第二の人生をおたのしみください」


表示された文字を見た瞬間、俺は全てを理解した。

やっぱりアクセスできた組みはみんな消え-------

そこで俺の意識は消えた。


「……のどかだなぁ」


気がつくと俺は辺境の村と思われる場所の中心に立っていた。

腰には一振りの剣に皮の鎧を着ていた。

動きやすいが装甲は期待できそうにない。


「どうやって帰るんだよ……というか、戻れるのか……」


考えれば考えるほど考えは悪い方向へと向かっていく。

ここで死んだらどうなるのだろうか、そのまま死んでしまうのだろうか。

親は心配していないか、友達は元気だろうか。

これから、どうすればいいのだろうか……


「……どうすりゃいいんだよ、これから」


俺の口からこぼれた言葉に答えが帰ってくることはなかった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ