第一章〜プロローグ〜
ここはとある高等学校。全校生徒1527人と、結構規模の大きい学校だ。この学校は全国的にも有名な進学校で、他県からわざわざこの学校を受験しにくる人も少なくない。
生徒が皆クラスに入室し終わった頃、一限目の授業のチャイムが鳴った。授業は出欠確認をとってからはじまる。
「…片山、金本、如月、……ん?如月は来てないのか?如月太一〜!!」
先生が何度呼んでも返事はない。
「如月のヤツ、また遅刻だぜ。」
「ほっときなさいよ。いつものことよ。」
クラスの数人がヒソヒソと話している。どうやら如月太一という少年はクラス一の遅刻魔らしい。
一限目の授業も終わりに近づいた頃、外の自転車置き場から慌てた声が聞こえてきた。
「やばいやばいやばいー!!!」
40分の大遅刻の末、太一が登校してきた。太一は階段を二段跳ばしで駆け上がり、途中に何度かこけながらなんとかクラスに着いた。
「…はぁ、はぁ、すんません。ちょいと遅れました。」
太一は息を切らして苦笑いしながら言った。どうやら言い訳する気力もないらしい。
「まったく……。まいどまいど懲りずに遅刻してからに。早く着席しなさい。」
先生は太一の遅刻が日常茶飯事になってしまっているのに呆れている。
「へっへっへっ、すいませんねぇ。明日こそはちゃんと来るんで。」
太一はそう言って自分の席に座った。
明日が太一の人生を変えてしまう日とも知らずに……。




