4月8日2
山辺君の憂鬱2
フロンティア学園1年星組における、
次の日になったら忘れられてそうなキャラクターランキング1位に入りそうな男
それが山辺。
彼はヒガシに生涯のライバルに勝手に認定されてしまっているが
その彼もまたヒガシには只ならぬモノを感じとってしまっていた。
「東山君だっけ?」
「ん?あぁ。そうだけど」
ヒガシの返事はそっけない。
彼がどのような返答をするかだいたい想像ついているからである。
そうはいくかと、ヒガシは先に牽制をした返事をするのである。
「で、お前は誰だっけ?」
随分な返しをする男だと思いつつも、ここは男山辺。
毒舌我慢大会で予選突破した実力は伊達じゃない所を見せつけようとする。
「あぁ、僕は山辺。漢字からヤマベって言われる事が多いけどね」
「へー。確かに見た感じヤマノベって感じだもんなー」
まったくもってヒガシは話を聞いていない。
ヤマノベもそれを分かってはいるが、毒舌我慢大会(略)
その意地があった。
「とにかくよろしく」
「コチラコソ」
ヒガシはすでにロボ化しているかのように
棒読みライセンスA級レベルまで、音程の統一性を決めていた。
ヤマノベもこれには流石に我慢できない感じではあったが
毒舌(等しく略)ここまで来たら最後まで耐える所存である。
「ところで、北見さんは東山君の友人なのですか?」
やはりエビちゃん絡みの男か。
そんなヒガシの嫌な予感は的中していた。
ここで嘘をついたところで、何もメリットはない。
むしろ今の関係はヤマノベにダメージを与える事すら出来る筈だ。
ヒガシの頭の中は小っちゃい男そのものではあったが
それでも、初めが肝心だとわかっていたのである。
「エビちゃんの事?
あ、そういえばさっき5000円も出してサイン買わされて災難だったな」
話を勝手に変えるヒガシではあるが、これは逆効果である。
「災難なんてとんでもないよ。むしろ幸運と言えるね。
そして、エビちゃんの友人である東山君にもこうして出会えた」
おいおい、いきなりエビちゃん呼ばわりかよ。
ダメだ、この男。早く何とかしないと。
そう思ったヒガシは、次なる口撃をはじめる。
「幸運?そうか?
エビちゃんは人が出来てるから5000円で済んでたけど、アレ本当は5万だからな」
「な、なんだと・・・」
「それとも、ヤマノベ君にはエビちゃんのサインが
5000円ぽっきりにしか感じないのかい?」
「そ、そんな事は・・・」
「オレなら5万でも安いと思うぐらいだけどな~」
「ど、どうしたらいいんだ?東山君」
「ヤマノベ君。・・・誠意って何かね?」
何処の名せりふだよというヒガシの突っ込み。
と思ってるのは当然に当人だけ。
その一部始終を教室の教壇の陰からこっそり覗いているエビちゃんは
即座にこう思ったという。
じゃあ、ヒガシが5万払えよ。と。




